3月4日、ヨネックス株式会社は、富山県立山町との進出協定を締結し、バドミントンラケットおよびバドミントンストリングを製造する新工場を設立することを発表した。富山県立山町の立山インター産業用地に、約2万6000平米の敷地面積の工場を2027年に竣工する予定。26年春の着工をめざす。

同日、富山県立山町の立山防災児童館複合施設「アカリエ」アカリエホールで記者会見が行なわれ、立山町の舟橋貴之町長、富山県の新田八朗知事、ヨネックスのアリサ ヨネヤマ代表取締役社長が出席。また、地元・富山県に拠点を置くトナミ運輸バドミントン部からパリ五輪に出場した保木卓朗選手、小林優吾選手、同じくパリ五輪でベスト8に入り、昨年12月に現役を引退した大堀彩さんが出席した。
ヨネックスのアリサ ヨネヤマ社長は、記者会見の冒頭で「バドミントンは近年、世界中で人気が高まり、多くのプレーヤーに愛されるスポーツになりました。それに伴い、ラケットやストリングなどの需要も増えています。より多くのお客様に製品を安定して持続的に届けられるように、この度、富山県立山町に新工場を建設することを決めました」と、その経緯について話した。新潟県内や埼玉県内に複数の工場を持つヨネックスが、新たに富山県に工場を建設する意図について、「富山は自然の美しさと文化の豊かさが調和する、すばらしい地域で、バドミントンもとても盛ん。日本最高峰のS/Jリーグで何度も優勝を誇り、2024年も見事優勝したトナミ運輸バドミントン部があり、バドミントンが根付いた地域でもある。バドミントンをはじめとするスポーツのさらなる発展に貢献できればと考えています」と説明した。
富山県立山町の舟橋貴之町長は「ヨネックスさんが立山町に来ていただけると知って、本当にうれしい」と歓迎。「富山県内はバドミントンが盛んですが、立山町も地元にスポーツ少年団があり、少子化の中でも小中学生は60名を超える部員がいる。これを機会に、子どもたちの健康面での育成にあたって、連携協定を結べたらいいなと考えています」と話した。また、新田八朗知事は、地域の雇用創出について言及。「誰もが知る日本のブランドの一つ、ヨネックスさんが富山県に来ていただけることは、富山県の産業の振興につながり、新しい雇用にもつながる」と、歓迎した。
ヨネックス製品を使用する現役選手として会見に出席した保木卓朗と小林優吾は、「立山町で作られたラケットを手にするのはまだ先になりますが、この工場で作られたラケットで、世界で戦いたいという目標ができた。それを持って、2028年のロサンゼルスオリンピックに出場することをめざしたい。新たな目標ができた」(保木)、「新しい工場でできたラケットを使って、世界ランキング1位をめざしていきたい。ロスオリンピックでそのラケットを使って戦いたいし、新工場を通して富山県の子どもたちとバドミントンで交流していくこともできたら」(小林)と、モチベーションを新たにしていた。
一方、2024年で現役を引退した大堀彩さんは、「ここまでヨネックス製品をずっと使わせていただいて、海外で活躍するプレーヤーになるという自分の目標を達成することができた。ヨネックスを使ってプレーしてきた一員として、バドミントン界やヨネックスさんに恩返しできたら」と、今後について話した。

なお、ヨネックス株式会社の岩野美之 取締役 生産・技術本部長によれば、新工場では、既存工場で生産している商品の30パーセントほどの生産量をめざし、国内全体での生産量拡大をめざしていく。また、新工場で生産された商品の一部は、海外へも輸出される予定だ。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/ヨネックス、バドミントン・マガジン編集部