「コンディションが不安な中で準優勝できたのは、自分の中で自信になった」(松山)「五輪を経験して、自分の中の変化を前向きに受け入れたことで視野が広がった」(志田)<ワールドツーファイナルズ帰国コメント>

12月16日夜、BWFワールドツアーファイナルズ(中国・杭州)に出場した日本選手が帰国した。12月11日から15日まで開催されたワールドツアー最終戦、ワールドツアーファイナルズは、ワールドツアーの年間ランキング上位8名/ペアのみに出場権が与えられ、年間王者を決める大会に位置付けられる。日本からはシングルス男女3選手、女子ダブルス2組、混合ダブルス1組が出場。女子ダブルスの志田千陽/松山奈未が準優勝、女子シングルスの大堀彩がベスト4入りした。

ここでは、準優勝を果たした志田千陽/松山奈未の帰国後のコメントを紹介する。

志田千陽(右)&松山奈未

――2度目の準優勝というすばらしい成績だが、どう受け止めていますか

志田 本当に、ツアーファイナルズまであっという間でした。自分の中では、五輪以降、モチベーションの部分できついと感じるところは意外となかったのですが、やっぱり五輪までのパフォーマンスや試合中に湧き上がって来る気持ちには違いがあり、もっとできるはずなのにと感じながら過ごしている部分もありました。吹っ切れるのに少し時間は必要でしたけど、熊本マズターズジャパンくらいからは、自分の中でいい意味で切り替えて、自分のパフォーマンスにフォーカスしながらできました。それが、今大会では本当によい方向にいって、自分のできることはすべて出せた結果かなと思います。本当に今季最後だから楽しもうという気持ちでコートに立っていました。本当にに楽しめたので、満足のいく大会でした。

松山 今年は1回も優勝がなかったので、このファイナルズで優勝したい気持ちで挑みました。五輪のときの自分のコンディションが100パーセントだとしたら、それに比べてしまうと不安な部分はいっぱいありましたけど、そんな中でも自分が今できることでどこまで行けるか、正直、楽しみにはしていました。その結果が準優勝だったので、少し自分の中でも自信になりましたし、準優勝という結果は素直にうれしかったです。

――松山選手は、熊本で中島慶コーチに言われた「相手を見る」ことを意識していた?

松山 そうですね。シャトルがあまり飛ばない印象だったので、ディフェンスは余裕を持ってやれていました。グループリーグの最初は思うようなプレーをできませんでしたけど(第3戦の)インドペアとの対戦くらいでレシーブから展開を作っていけたので、 少しレシーブが安定して、自分が(相手の)空いているところを見つけながらできているのかなとは、ちょっと思いました。

――志田選手は、準決勝、決勝で右足を気にしている様子が気になりました

志田 足は、最初は気になっていましたが、痛みを感じながら試合をしているわけではなく、普通に楽しんでプレーできていました。

――準決勝は、パリ五輪金メダルの陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジャ・イーファン/中国)を撃破したが?

志田 陳清晨選手は(パリ五輪後)長い間休養されていたので、そこは、コートの中で(影響を)感じましたけど、それでもプレーの方法がいいし、精度もすごく高くて、本当に長いラリーになるなと思ってプレーしていました。でも、この相手と対戦できるのも、これで最後かもしれないと思いながら、本当に一つひとつのラリーを噛みしめながら、夢中になってプレーしていた感じでした。本当に楽しかったですし、最後に勝ててよかったかなと思っています。

――韓国の李紹希(イ・ソヒ)/ペク・ハナとの決勝は、だいぶ長いラリーが多く、牙城を崩せなかったが?

志田 私自身は、やっぱり、出だしの時点で少し足(の状態)を気にしてしまう部分もありました。もっとスピードゲームもしたかったんですけど、スピードを上げて行きすぎても相手はずっと後ろを使ってくる(ゆっくりとした展開に戻す)ような展開だったので、本当に前に行くことはしなくていいと思い、割り切ってロングラリーを受け入れて、やっていこうと思っていました。ただ、スピードを上げたいところで、自分たちのフィジカルの部分が足りず、以前はもっと決まっていたよなという部分が、やっぱり決まらない。相手のディフェンスのすばらしさもありましたし、自分たちのフィジカル部分の問題もあると感じていました。ロングラリーの中から展開を作っていったのですが、ペク・ハナ選手は、こちらのディフェンスを外すのが本当にうまくて、うまくローテーションをさせてもらえなかったり、少し仕掛けていった場面でカウンターを受けたり、本当に相手がすごく上手だったと思いました。

松山 大会の試合をすべて通して、ロングラリーで来るだろうと覚悟はしていましたが、その中でもやっぱり(自分が担当する)前衛が機能しないと点数は取れないなとあらためて感じましたし、そこは次に向けての課題になったかなと思います。

――10月のデンマークオープン以降は、ベスト4以上が続いているが、五輪以降の進化のイメージは見えてきている?

志田 五輪が終わって、デンマークオープンで久しぶりに中国の選手にボコボコに負けて、手応えを感じないまま負けた試合は久しぶりでした。今までは気持ち、気合いで、足を動かしてというイメージでしたけど、それがなくて、これがもしかしたら五輪後の難しさなのかなと感じました。でも、たくさんの経験をしてきた山口茜選手が近くにいるので(参考になる)言葉ももらいながら、また、ほかの先輩選手たちが落ち着いていく姿を見て、こうやって落ち着いていくものなのかなと。五輪を経験して、自分の中で変化していくことを、もっと前向きに受け入れようと思った結果、意外と今までは見えていなかったところが見えたりして、視野が広がるというか、ディフェンスでも少しゆとりが持てるとか、いろいろなことができるようになっているかなと感じます。ネット前への入り方も、今までは無理矢理に走っていましたけど、ちょっと相手を見ながらできるようになっているのも感じていて、冷静にプレーすることができている。ディフェンスからの展開も今はすごく楽しくできているので、そういう部分では、新しい自分のプレースタイルを採り入れられるのかなという楽しみがあります。パワーゲームもついていけるようにしなければいけませんけど、ディフェンスとか、柔らかいプレー、視野を広げたプレーというのも少しずつ見えてきているので、そこはもっと磨いていけたらいけたらいいですし、楽しみを持ちながらやれているかなと思います。

――今季の国際大会を戦い切ったところですが、来週には全日本総合があります。意気込みを聞かせてください

松山 全日本総合は本当に久しぶりなので、優勝を目指して頑張りたいです。

志田 3年ぶりぐらいの全日本総合で、一度もタイトルが取れていませんし、ベスト4に一度入ったきり。全然、いい結果を残せていない。本当に今年最後の試合で、優勝を目指して、笑顔で締めくくれたらいいなと思うので、しっかりコンディションを整えて臨みたいと思います。

写真/平野貴也

投稿日:2024/12/16

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