11月17日に開催されたBWFワールドツアー・熊本マスターズジャパン(Super500/熊本県立総合体育館)最終日は、各種目決勝戦が行なわれた。日本勢は3種目で決勝に進出。地元のタイトル獲得に向けて、ライバルたちとの勝負に挑んだ。
決勝のみが行なわれる最終日の第2試合に登場したのが、女子ダブルスの福島由紀(上写真・右)/松本麻佑。今大会から初めてペアを組む2人は、他のライバルたちを退けて決勝へと勝ち上がった。ペアとして初参戦での初優勝に王手をかけた。決勝の相手は、準決勝で日本の志田千陽/松山奈未を2-0で下している譚寧(タン・ニン)/劉聖書(リュウ・シュアンシュ/中国)。パリ五輪で銀メダルを獲得して以降は、ジャパンOP(S750)やアークテッィクOP(S500)などを優勝しており、女子ダブルスの中では、いま最も勢いと強さを誇る実力ペアだ。
試合は、出だしから中国ペアの勢いに押された福島/松本が、0-7でリードを許す。なかなか主導権を握れないまま試合は進み、第1ゲームは15-21で福島/松本が落とした。第2ゲームに入っても、福島/松本は攻撃展開につなげられず、ポイントは中国ペアに。最後は21-5で譚寧/劉聖書が制し、今大会初優勝。福島/松本は完敗に終わったものの、2人の初陣は準優勝の好成績で大会を終えている。
女子ダブルスの次に試合が組まれた男子ダブルス。ここには、日本の保木卓朗/小林優吾が登場。プレッシャーが少ない状況で、試合を楽しみながら勝ち進んできた二人にとっては、昨年のシンガポールOP(S750)以来となるツアー優勝に王手。決勝の相手は、インドネシアの試合巧者、アルディアント/アルフィアン(インドネシア)だ。
第1ゲームは、序盤からポイントを奪ったインドネシアペアが点差を広げる。攻撃の糸口をつかめない保木/小林が連続失点を喫し、15-21で第1ゲームを失った。第2ゲームに入ると、今度は日本ペアが中盤に16-8とリードを広げ、そのまま押し切ってファイナルゲームへ。優勝まであと一歩まで迫った勝負は、激しい主導権の奪い合いに。中盤、保木/小林は6-12とされたものの、後半にじわじわと点差を縮めて17オール。流れをつかみ、ようやく相手をとらえたまではよかったが、ここからアルディアント/アルフィアンが底力を発揮。一気に4連続得点を奪って21-17。インドネシアペアが優勝をつかみとった。保木/小林は敗れたものの、今大会は持ち味を存分に出し切っての準優勝だった。
先に試合を終えた日本の2ペアが決勝で敗れる中、日本の最後の砦として最終試合のコートに立ったのが、女子シングルスの山口茜(上写真)。相手は、昨年この大会を制したディフェンディング・チャンピオンのグレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)。パリ五輪でも銅メダルを獲得した相手に対し、無欲の山口が挑んだ。
第1ゲームは、相手の鋭いカットを抑えながら、ペースを握った山口がリード。コンスタントに連続得点で差を広げ、21−12で先制する。第2ゲームに入っても、主導権は山口が握ったまま。トゥンジュンもスピードを上げて対抗したが、山口はねばり強くシャトルを拾い、自分のリズムを崩さない。11−9のインターバル後、山口が3連続得点で引き離すと、さらに6連続得点などで19-11。最後も一気に押し切った山口が21−12で制し、2-0のストレート勝ちでタイトルを獲得。熊本マスターズの最初の日本人優勝者となった。
11月17日(決勝戦)の結果は以下の通り。
【男子シングルス】
李詩灃(中国)②〔21−10、21−13〕0●レオン・ジュンハオ(マレーシア)44分
【女子シングルス】
山口茜②〔21−12、21−12〕0●グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)34分
【男子ダブルス】
アルディアント/アルフィアン(インドネシア)②〔21−15、17−21、21−17〕1●保木卓朗/小林優吾68分
【女子ダブルス】
譚寧/劉聖書(中国)②〔21−15、21−5〕0●福島由紀/松本麻佑46分
【混合ダブルス】
デチャポル/スピッサラ(タイ)②〔21−16、10−21、21−17〕1●ジケル/デリュウィ(フランス)62分
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/BADMINTONPHOTO
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