11月12日に、BWFワールドツアー・熊本マスターズジャパン(Super500/熊本県立総合体育館)が開幕した。昨年から新たに始まった大会に、世界のトップ選手らが集結。大会初日は各種目予選、本戦1回戦などが行なわれ、日本選手も出場した。ここでは、注目選手の試合後のコメントを紹介する。
保木卓朗(左)&小林優吾
男子ダブルス
1回戦はマレーシアペアに2-0で勝利
――試合を振り返って
保木 相手は、マレーシアの若手ペア。勢いで押されるとキツいので、最初からこちらがしっかりと球を落として攻撃にいく展開をつくりました。第2ゲームも中盤ぐらいまでは競っている場面がありましたが、自分たちの経験値で終盤に逆転できたのはよかったのかなと思います。
――パリ五輪が終わってから、どんな思いで戦っているか
小林 自分たちのペアとしてのプレーは一周したと思う。新たな挑戦というか、ここから今までの記憶はなしにしてやっていこうと、2人で話しています。イチからつくり直して、新しいホキコバをつくっていきたいと思っています。
保木 今までは勝ちにこだわりすぎて、バドミントンを楽しめていなかった部分がある。どうしても五輪が大きな目標で、そこに対して思い詰めていた。自分たちが(世界選手権を制するなど)飛躍した2021年は、どちらかというと、楽しんで思い切ってプレーできていたと思う。成績を残す戦いの中で、期待が大きくなり、自分たちのプレーを見失っていた部分もあると思うので、本当にペア結成初年度くらいの気持ちでやりたいと思っています。
小林 以前は、1点を欲しさに引いてしまうところがあって、勝ったとしても、2人で納得している感じのプレーがなかった。今は、見ている人たちからも、楽しくやっているな、自信を持ってやっているんだなと伝わるくらい、2人で盛り上げてコミュニケーションを取りながらやっていければと思っています。
――パートナーの好プレーに対して、本当に興奮している様子も見られた。思いきったプレーも多くなっている
保木 負けてもいいや、というくらいの開き直った自分たちがいるので、今はどんな場面でも思いきっていけますし、そういうところが、今の自分たちのいいところかなと思います。
小林 あれが、今までの自分たちにはなかったかなと思います。個人のプレーの改善ばかり考えていて、お互いが苦しかったし、互いが仕事をしている感覚でやっていました。今は、互いを引き出すというか、パートナーのショットを喜ぶとか(バドミントンを楽しむ部分で)普通のことができていなかったと思います。
今は、互いのプレーで盛り上がるし、点数も関係ない。ラリーの中で、疲れも感じない感覚。そういうのが大事という思いがありました。長年経験している自分たちが、そういう感覚でやっていけたら、最強なんじゃないかと思っているので、楽しく、盛り上げながら。そうすることでプレーもメリハリが出る。また新しく勝てるようになるかなという実感があります。
保木 五輪までは、オンとオフをしっかりしたいとか、プレー以外ではリラックスしたいと言っていましたが、結局、バドミントンのことばかり考えていて、精神的も極限まで追い込まれていた感覚。普通に過ごしているだけで疲れている感じがありました。今は、バドミントンをやっていても、思いきりのいい「野生の優吾」のプレーですごく助かる部分もあるので、こういうカタチでやっていけば、もっと強くなれるんじゃないかと思っています。
――今後に向けて
保木 多分、ツアーファイナルズ出場は(ポイントが)難しいと思うので、今年は、この大会と来週の中国マスターズ(Super750)。この2大会で、五輪イヤーのいい締めくくりができればと思っています。この大会は、日本で行われる数少ない国際大会。日本のファンの前で、しっかりと頑張りたいです。
取材・文・写真/平野貴也
【過去の大会結果】
ベースボール・マガジン社 販売部
(0120‐911‐410)