10月22日から東京都渋谷区・国立代々木競技場第一体育館で『ヒューリック・ダイハツJapan パラバドミントン国際大会2024』が開催中だ。26日には、各種目の準決勝などが行なわれた。
車いすの女子WH2(障がいが軽いクラス)には、WH1の里見紗李奈とのダブルスで、東京パラリンピックで金メダル、パリパラリンピックで銀メダルを獲得した山崎悠麻が出場。エントリーが5選手だったため、ラウンドロビン(リーグ戦)で順位が争われ、山崎は、大会3日目までに3戦3勝。この日の最終戦もストレート勝利で、この種目を制した。選手としては「この大会が最後」と臨んだ山崎は、試合後「シングルスはずっと得意でなかったですが、日本で皆さんが見ている中で、優勝という形で終わることができて、うれしい」と笑顔。27日に里見とのダブルス1試合を残しており、「サリちゃんとのダブルスも最後になるので、楽しく勝って終わりたい」と話した。
一方、WH1(障がいが重いクラス)の里見は、シングルス準決勝で、高校3年生の友寄星名に、21-10、21-6と貫録勝ち。シングルスでは、連覇をめざしてスイス選手と対戦する。
男子WH1では、パリパラリンピックに出場した村山浩と長島理が対戦。力強いクリアーで押した村山が、第1、第2ゲームともに長島を15点におさえ、決勝進出を決めた。過去に何度も対戦したライバルとの試合で、時に笑顔を見せながらプレーした長島は、「(バドミントンは)パリまでというイメージで頑張ってきた。今後についてはまだ考えているところ」とし、「たとえ、これが最後となったとしても、村山選手と対戦できてよかった。自分の力を出し切れた」と、敗戦後も笑顔だった。
男子WH1のもう一方の準決勝は、大山廉織が西村啓汰を21-11、21-10で破って、決勝へ。試合後、大山は「西村選手には日本選手権で完敗。予選リーグでは勝利したけれど、課題の残る内容だった。憧れでもあり、倒したい相手でした」と涙を見せ、決勝戦に向けて「村山選手は経験値もある。今日みたいに攻めていきたい」と意気込んだ。
同じく車いすの男子WH2では、パラリンピック2大会連続金メダルの梶原大暉、そしてパリパラリンピックでは予選リーグで梶原と対戦した松本卓巳が決勝進出。WH1-2のダブルスでは、梶原/村山、西村/松本が決勝進出を果たしており、男子車いすクラスは、3種目すべてで日本選手同士の決勝カードとなっている。
立位では、男子はSL3(下肢障がい/障がいが重いクラス)の藤原大輔、SU5(上肢障がい)の今井大湧が準決勝を制し、決勝進出。今井はSL3の伊藤則子と組んだ混合ダブルスでも決勝進出を決め、27日の決勝では2冠をねらう。パリパラリンピックでの経験について「観客の応援が熱くて、人生で一番感動した瞬間だった」と話す今井は、「その経験をしたことで、モチベーションが上がっている」とキッパリ。「決勝は自分のプレーで、見ている人を沸かせたい」と力を込めた。
女子SL4(下肢障がい/障がいが軽いクラス)は、パリパラリンピック出場の藤野遼のほか、17歳の中村鈴、20歳の澤田詩歩がベスト4入り。経験豊富な藤野が中村を21-7、21-7で退け、決勝進出。澤田もストレート勝利で決勝進出を決めており、決勝は藤野と澤田が対戦する。
また、女子SU5の準決勝では、豊田まみ子が亀山楓を破って決勝進出を決めている。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/齋藤豊