【ジャパンオープン2024】山口が会場沸かして4強入り、五輪銅「ワタガシ」と「シダマツ」敗退〈4日目結果〉

ダイハツ・ジャパンオープンは、23日に横浜アリーナで各種目の準々決勝を行ない、2年ぶり4度目の優勝をねらう女子シングルスの山口茜(再春館製薬所)らが準決勝進出を決めた。

山口は、日本選手2人を破って勝ち上がってきた韓悦(ハン・ユェ/中国)と対戦。第1ゲームを落としたが「第2ゲームの途中から、自分からスピードを上げて積極的にやれて、楽しむとはこういうことかという感じだった。自分のプレーがよくなっていくのと比例して、会場もだんだん一体感が出てきたりとか、盛り上がったりというのをすごく感じられた。こういうプレーをしなきゃな、と思った」とリミッターを解除。走る、飛ぶ、跳ねる、転ぶ、飛びつく――精力的で積極的でダイナミックなプレーの連続に、会場が沸いた。パリ五輪直後でコンディションが万全とは言い難い中、好プレーと声援の好循環によるエネルギーで1時間5分の熱戦を制した。

また、女子ダブルスで日本勢対決を制した中西貴映/岩永鈴(BIPROGY)と、男子シングルスの奈良岡功大(NTT東日本)が勝ち上がり、ともに初の4強入りを決めた。

中西/岩永は、パリ五輪銅メダルの志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)に2-1で逆転勝利。五輪から調整不足の志田/松山は、ファイナルゲームもねばったが、フィジカル面では限界。試合後、松山は体調不良で取材対応ができなかった。勝った中西/岩永は、シャトルが飛ばない環境でも積極的に攻撃を展開。中西は「最後は、観客の皆さんがすごく声を出して相手の応援をされていて、それだけすごい選手だと感じたし、何としても勝つんだという気持ちだった」とアウェーの雰囲気を感じ取りながらも、負けん気を発揮した試合を振り返った。

奈良岡は、長身の王子維(ワン・ツーウェイ/台湾)との初対戦に2-1で競り勝った。相手のリーチが長く、得意のヘアピンショットをネット前の高い位置から返されるため、ドライブ戦に持ち込むなど、引き出しの多さを生かした戦いぶりで勝利を手にした。

混合ダブルスでは、今大会後のペア解消を発表した、パリ五輪銅メダルの渡辺勇大/東野有紗(BIPROGY)が、楊博軒(ヤン・ポーシュアン)/胡綾芳(フー・リンファン/台湾)に0-2で敗れた。相手の得意なドライブ戦から逃げられずに押し切られる形で、ペアとして最後の試合を終えた。東野が「13年間も組んできているペアは、なかなかないと思う。ここまでやってこられたのは、本当に勇大くんのおかげ」と言えば、渡辺も「ありがとう、しかない。つらいことの方が圧倒的に多い競技人生だけど、一瞬の喜び、一瞬の優勝のためにここまで支え合いながらできた」とパートナーに感謝を示した。

大堀彩(トナミ運輸)は、同じ1996年生まれのブサナン・ンバルンパン(タイ)と1時間29分の激闘を展開したが、ファイナルゲーム21-23で敗れた。ファイナルゲームは序盤のビハインドから何度も追いつき、激戦となった。静かな会場に響いたのは、甲高い子どもたちの「大堀1本、彩ちゃん1本」のコール。ねばりを見せた大堀は「何回も何回も(気持ちが)折れかけたけど、子どもたちも見てくれている。夢や希望を少しでも与えられれば、やっている価値がある。いい背中を見せられるようにと思ってやっていた」と話した。

男子シングルスの西本拳太(ジェイテクト)は、19歳の新鋭アレックス・ラニエ(フランス)に0-2で敗戦。田中湧士(NTT東日本)は、世界ランク1位の石宇奇(シー・ユーチー/中国)から第1ゲームを奪う健闘を見せたが、逆転負けを喫した。女子シングルスの仁平菜月は、元世界ランク1位の戴資穎(タイ・ツーイン/台湾)にストレートで敗戦。男子ダブルスの岡村洋輝/三橋健也(BIPROGY)も、カルナンド/マウラナ(インドネシア)にストレート負けを喫した。

24日は、各種目の準決勝が行われる。

【男子シングルス】

▼準々決勝(8月23日)

奈良岡功大②〔21−13、19−21、21−16〕1●王子維(台湾)76分

田中湧士●1〔21−10、9−21、11−21〕②石宇奇(中国)57分

西本拳太●0〔14−21、14−21〕②アレックス・ラニエ(フランス)50分

【女子シングルス】

▼準々決勝(8月23日)

仁平菜月●0〔13−21、14−21〕②戴資穎(台湾)43分

大堀彩●1〔25−23、19−21、21−23〕②ブサナン・ンバルンパン(タイ)89分

山口茜②〔18−21、21−15、21−18〕1●韓悦(中国)65分

【男子ダブルス】

▼準々決勝(8月23日)

三橋健也/岡村洋輝●0〔14−21、14−21〕② カルナンド/マウラナ(インドネシア)39分

【女子ダブルス】

▼準々決勝(8月23日)

中西貴映/岩永鈴②〔23−25、21−19、21−18〕1●志田千陽/松山奈未93分

【混合ダブルス】

▼準々決勝(8月23日)

渡辺勇大/東野有紗●0〔9−21、17−21〕②楊博軒/胡綾芳(台湾)30分

取材・文/平野貴也

構成/バドミントン・マガジン編集部 写真/黒崎雅久

投稿日:2024/08/24
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