8月5日に開催されたパリオリンピック・バドミントン競技(会場:ポルト・ドゥ・ラ・シャペル・アリーナ)最終日は、後半セッションで男子シングルス決勝戦・3位決定戦が行なわれた。ここでは、パリ五輪のラスト飾った熱戦をお伝えする。
世界の注目を集めた男子シングルス決勝戦。コートには、オリンピック連覇に王手をかけたビクター・アクセルセン(デンマーク/上写真)と、昨年の世界選手権王者で、タイ初の金メダルをねらうクンラビット・ビティサランが立った。
満員となった会場で始まった試合は、序盤からクンラビットが攻勢を仕掛ける。いつもなら慎重にラリーをつくっていくが、先手必勝とばかりに積極的にスマッシュを打って、アクセルセンにプレッシャーをかけた。しかし、2度目の五輪決勝となったアクセルセンは、これを冷静に対処。攻撃をことごとくはね返すと、サイドライン際をねらうクンラビットのショットがわずかに外れ、アクセルセンにポイントが入る。攻略の糸口をなかなかつかめないクンラビットに対し、アクセルセンは的確にスマッシュを沈め、21-11。第1ゲームを先制した。
金メダルに大きく近づいたアクセルセン。第2ゲームに入ると、連覇をねらう男がラリーを支配していく。「もっと攻撃したかったけど、アクセルセンが広くコートをカバーしてなかなか決まらなかった」とはクンラビット。スピードを一段階上げてペースを奪い返しにいくが、アクセルセンは長い手足でレシーブし、逆にクンラビットのミスを誘う。
11-3で折り返したアクセルセンは、その後も鋭いアタックを連発。18-4と大量をリードをつかむ。クンラビットもここから4連続得点などで点差を縮めたが、反撃は届かず。最後はアクセルセンが強烈なスマッシュを決め、東京五輪に続く金メダルを獲得。「東京で優勝したときも夢のようだったのに、今は2つ目の金メダルを手にしている。とてもすごいことだし、なんて人生なんだと思う」と喜びを語ったアクセルセン。オリンピックの同種目では、自身が憧れの選手というレジェンド・林丹(中国)以来となる連覇を達成した。
銅メダルをかけて行なわれた3位決定戦は、インド男子勢にとって初のメダルをねらうラクシャ・センと、マレーシアのリー・ジジャが激突。第1ゲームはセンが13本で先制したが、第2ゲームはリー・ジジャが持ち味のアタックから16本で取り返し、ファイナルゲームに持ち込む。
メダルをかけて負けられない勝負は、後半にスピードが失速したセンに対し、攻撃の手を緩めないリー・ジジャが主導権を握ってリード。最後まで抵抗するセンを抑えたリー・ジジャが21-11で勝利し、銅メダルを獲得。マレーシアの同種目では、母国の英雄リー・チョンウェイ以来となるメダルをつかみとった。
8月5日の後半セッションの結果は以下の通り。
【男子シングルス】
▼決勝(8月5日)
ビクター・アクセルセン(デンマーク)②〔21−11、21−11〕0●クンラビット・ビティサラン(タイ)52分
▼3位決定戦
リー・ジジャ(マレーシア)②〔13−21、21−16、21−11〕1●ラクシャ・セン(インド)72分
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取材/バドミントン・マガジン編集部
写真/Getty Images