『第9回DAIHATSU 日本障がい者バドミントン選手権』が、1月27日から東京都町田市の町田市立総合体育館で開催中だ。1月27日は、各クラスのシングルスが行なわれた。
今年8月には、パリ・パラリンピックが開催され、現在、多くの選手たちがパラリンピック出場権獲得に向けてレースを戦っているが、今回の大会にはその主力選手たちも出場している。
この日本選手権では、第1回大会から7連覇中の下肢障がい立位クラスSL3の藤原大輔は、決勝のファイナルゲームで末永敏明に先行を許すなど苦しい戦いだったが、インターバル後にギアを上げて逆転。連覇を8に伸ばした。「世界選手権に向けて、今は追い込んでいる時期なので体力的にはきつかったが、ここで負けるわけにいかないと思って、苦しくても足を出した」と藤原。28日のダブルスでは、上肢障がいSU5の今井大湧と組んで、SU5+(立位混合)クラスに出場する。
そのSU5+は、上肢障がいのSU5クラスと、聴覚障がいや精神障がいなどの選手が加わった、日本選手権のみ設けられたクラス。男子シングルスには、もっともエントリー数の多い10選手が出場。3連覇中の今井がリーグ戦から全試合ストレート勝利で、4連覇を果たした。
女子SU5+では、BWFパラリンピックレースランキングで上位争いを繰り広げる杉野明子、豊田まみ子、亀山楓がリーグ戦で直接対決。4選手によるリーグ戦を負けなしの3勝で戦い終えた杉野明子が初優勝を果たした。杉野と豊田の試合は、ファイナルゲーム21-19で杉野が勝利。優勝を決めた杉野は、「この大会は、今、取り組んでいることを試合で試すことを重視して臨んだ。何よりもケガなく終えられたことがよかった」と話した。
車いすクラスでも新チャンピオンが誕生。障がいの重いWH1の男子シングルスでは、過去2大会での3位が最高成績だった西村啓汰が初優勝した。準決勝で長島理をストレートで破ると、続く決勝では、準決勝で昨年の覇者・村山浩を破って勝ち上がった大山廉織をファイナルゲームの接戦の末に退けた。初の頂点に立った西村は「優勝したら泣いてしまうかと思っていたけど、笑みが止まらないくらいうれしい」と喜びを表現した。
また、WH2は男女とも東京パラリンピックの金メダリストが第一人者の力を発揮。女子WH1は里見紗李奈、男子WH2は梶原大暉が優勝した。
各クラスの優勝者は下記の通り。
【男子シングルス】
WH1 西村啓汰
WH2 梶原大暉
SL3 藤原大輔
SL4 中村海斗
SU5+ 今井大湧
SH6 畠山洋平
ID7 髙橋元太
【女子シングルス】
WH1 里見紗李奈
SL3 伊藤則子
SL4 藤野遼
SU5+ 杉野明子
SH6 杉本沙弥佳
ID7 千葉すず
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/齋藤 豊