日本の頂点をかけて争われる第77回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)。大会最終日が行なわれた30日は、各種目決勝戦が行なわれた。ここでは、混合ダブルスのダイジェストを紹介する。
【混合ダブルス】
混合ダブルス決勝は、パリ五輪代表枠を争うA代表、山下恭平(上写真・左)/篠谷菜留(NTT東日本)と金子祐樹/松友美佐紀(BIPROGY)の対決。昨年と同じ対戦カードは、山下/篠谷がファイナル勝負を制してリベンジ。初優勝を果たした。
先にペースをつかんだのは、連覇をねらう金子/松友。松友のネット前での動きがよく、金子の左腕からの鋭いスマッシュが決まる。初優勝をねらう山下/篠谷は、松友のネット前でのスピードに、なかなか自分たちの形をつくれず。金子/松友は、金子が山下のフォアサイドにストレートスマッシュを決めるなど、攻撃力でプレッシャーをかけていく。序盤は金子/松友のよさが目立ったが、山下/篠谷もしっかり食らいつき、14-18から金子のスマッシュミスなどもあって連続4得点。18-18で追いついた。しかし、冷静にラリーをつくる金子/松友は、金子が沈めて松友が仕留める得意の形で21-19。第1ゲームを奪った。
第2ゲームは金子(上写真・左)/松友にミスが重なり、山下/篠谷がリード。しかし、レシーブでラケットを立てて前に入るチャンスをうかがう松友と、後ろからしっかりスマッシュを打ち込む金子のコンビネーションが冴えて8オール。金子/松友が11-9とリードしたが、ネットミスが重なってしまう。試合後、「11-9から本当に簡単なミスで点を取られてしまった。そこがすべて」と金子が振り返ったように、そこから点差を詰めることはできず。それでも20-20としたのはさすがだったが、最後は相手のサービスリターンを篠谷がうまく落とし、山下/篠谷が22-20でゲームを奪い返した。
ファイナルゲームに入ると、山下/篠谷が相手をうまく動かしてチャンスをつくれるようになり、序盤からリード。金子/松友は、第1ゲームからあったサービスミスが最後まで修正できず、流れをつかめない。勢いを増す山下/篠谷は、山下がジャンピングスマッシュを叩き込んで点を奪い、ネット前に詰めてきた松友の後ろをねらうなど、巧みなシャトル運びも見せて20-14でマッチポイント。山下がセンターに打ち込んだスマッシュが、浅く返ってきたところを篠谷が仕留めてゲームオーバー。篠谷は両手を握りしめ、コートを出ると笑顔で観客席に両手を突き上げた。試合後、「ずっとずっと苦しかった。二人でなんとか足を動かして、気持ちを出して乗り越えて戦えた」と篠谷が言えば、「1ゲーム目から最後の最後まで苦しい展開。要所要所でねばりきって、最後の最後まであきらめなかったことが、勝ちにつながったのかなと思います」と山下。苦しみを乗り越えて得た日本一の称号だった。
▼決勝(12月30日)
山下恭平/篠谷菜留(NTT東日本)②〔19-21、22-20、21-14〕1●金子祐樹/松友美佐紀(BIPROGY)
バドミントン・マガジン1月号が好評発売中!
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳