4年に一度、アジアの頂点を決めるアジア大会(中国・杭州)バドミントン競技は、10月5日、個人戦準々決勝が行なわれ、男子シングルスの奈良岡功大、女子シングルスの大堀彩、女子ダブルスの福島由紀/廣田彩花、混合ダブルスの渡辺勇大/東野有紗が勝利し、銅メダル以上を確定させた。
3回戦で戴資穎を破る金星を挙げた大堀は、この日もキレのある動きとショットで躍動。世界ランキング7位のグレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)に対して、第1ゲームを21-10で奪うと、第2ゲームは1-6のビハインドから挽回。「第2ゲームに入って相手がスピードを上げてきて、先にミスをしてしまった」という展開から、じりじりと追いつき8オールに。そこからは一進一退の攻防で終盤に突入したが、大堀の集中力が上回り、19オールからトゥンジュンがネット際のチャンス球で痛恨のミス。大堀は1本目のマッチポイントで、スマッシュを決め切り、勝利をもぎとった。
男子シングルスの奈良岡は、マレーシアのン・ツェヨンと対戦。第1ゲームは20オールと終盤まで接戦の展開も、21-20のゲームポイントで長いラリーを展開し、奈良岡のクロスネットがアウトの判定。これを奈良岡がチャレンジし、シャトルはオンラインでイン。22-20でこのゲームをものにすると、第2ゲームは終始リードする展開で、ストレート勝利で準決勝進出を決めた。
混合ダブルスの渡辺/東野は、東京五輪の銅メダルマッチでも対戦した香港の鄧俊文/謝影雪(タン・チュンマン/ツェ・イエンスエット)と対戦。これまで何度も対戦し、手の内を知り尽くした相手に、試合の中で試行錯誤しながら、接戦を展開。第1ゲームを17オールから抜け出し、21-18で奪うと、第2ゲームも16オールから終盤に集中力を発揮して21-18。「ゲーム終盤の競った場面での戦い方は、少しずつうまくなっている感じはする」(渡辺)という手応えのある勝ち方で、準決勝へ駒を進めた。
また、この日のスケジュールで最後に組まれた福島由紀/廣田彩花が、約2時間の激闘を制して準決勝進出を決めた。福島/廣田は、これまで勝利したことのなかった中国の鄭雨/張殊賢(ツェン・ユー/チャン・シューシャン)に、第1ゲームを24-22で先制。第2ゲームは1点差、2点差を追う流れで、その差が詰まらず、17-21。ファイナルゲームも前半で5-10と最大5点差をつけられる展開も、レシーブでねばり5連続得点で10オールに。苦しい体勢でもレシーブを返球し続け、一瞬のチャンスでは廣田がプッシュ、福島がネット前でヘアピンを捻じ込むなど勝利への執念を見せた。最後は23-21。現地時間で深夜0時を回る激闘で、「本当に疲れた」と言いながら貴重な勝利に笑顔を見せた。
そのほか、女子ダブルスの志田千陽/松山奈未は団体戦準決勝で勝利した陳清晨/賈一凡(中国)にリベンジを許し、メダル獲得には届かなかった。
【男子シングルス】
▼準々決勝
奈良岡功大②〔22−20、21−15〕0●ン・ツェヨン(マレーシア)
【女子シングルス】
▼準々決勝
大堀彩②〔21−10、21−19〕0●グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)
【女子ダブルス】
▼2回戦
志田千陽/松山奈未●0〔17−21、18−21〕②陳清晨/賈一凡(中国)
福島由紀/廣田彩花②〔24−22、17−21、23-21〕1●鄭雨/張殊賢(中国)
【混合ダブルス】
▼準々決勝
渡辺勇大/東野有紗②〔21−18、21−18〕0●鄧俊文/謝影雪(香港)
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/Badmintonphoto