4年に一度、アジアの頂点を決めるアジア大会(中国・杭州)バドミントン競技は、9月30日に女子団体戦の準決勝が行なわれた。2018年のジャカルタ大会からの団体連覇をねらった日本女子は、地元中国に1-3で敗れ銅メダルに終わった。
日本は前日の準々決勝で負傷棄権したシングルスのエース山口茜を欠くオーダー。第1シングルスは、日本2番手の大堀彩(上写真)。過去0勝9敗と苦しめられている東京オリンピック女王の陳雨菲(チェン・ユーフェイ)に挑んだ。
立ち上がりは、負けられない緊張感を漂わせる陳雨菲のミスが目立ち、大堀がリード。しかし、18-15からスピードを上げて多彩なアタックを見せた陳雨菲に猛追されて18-19で逆転を許し、19-21で第1ゲームを失った。第2ゲームも同様に相手のミスが多く、さらに陳雨菲が体力温存モードに切り替えたため、スペースを突く大堀の配球が光り、21-12でゲームを取り返した。
最終ゲーム、テンポを上げた相手のラリーに大堀のミスが増えて6-11の折り返し。上からの鋭い球で追い上げて15-18としたが、スタミナ切れから攻め急いでミスが出る展開で3連続失点。ファイナルゲームの末に敗れた大堀は、チャンスもあっただけに「第1シングルスでも勝負できる姿を見せたかったのですが。やっぱり勝ち切るのが難しい」と悔しがった。
中国を相手に一矢報いたのは、第1ダブルスの志田千陽(上写真・奥)/松山奈未だった。8月の世界選手権(デンマーク・コペンハーゲン)で敗れた陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジャ・イーファン)と対戦。志田/松山は相手前衛の陳清晨を後ろに下げながら、引かずに高い打点を取りにいく積極的なプレーが目立った。低いレシーブからの形勢逆転、志田のネット前への球の質、松山が前で止めるプレーなどでプレッシャーをかけて互角の展開。第1ゲームは19本で取られたが、第2ゲームは21-9と圧倒。ファイナルゲームは、一進一退の激闘となったが、21-17で競り勝った。
4連敗中だった天敵を破り、松山は「本当に超えたくて超えたくて仕方なかったので、この団体戦で勝てたことは、これからの自分たちのプラスになると思う」と手応えを示した。
第2シングルスは、今大会初試合となる仁平菜月が登場。何冰嬌(へ・ビンジャオ)との試合に臨んだ。序盤からスピードを出して格上選手に食らいついたが、第1ゲームは中盤で突き放されて12-21。第2ゲームは、ドライブ戦で先にミスが出るなど攻撃のテンポが上がらず 14-21。仁平は「相手が嫌がることをできていたのが相手だった。自分が嫌がるラリーをされて、自分は相手のやりやすいようにしてしまった」と悔しがった。
負けたら終わりとなる1-2で臨んだ第2ダブルスは、福島由紀(上写真・左)/篠谷菜留の即席ペア。前日の準々決勝では福島/東野の起用だったが、12年前の2011年に青森山田高でインターハイ女王に輝いたペアが復活。本来の福島/廣田彩花のペアで3連敗している鄭雨/張殊賢と対戦。第1ゲーム序盤は、リードできたが、次第に相手の攻撃力に押される展開となり19-21。第2ゲームも崩した場面でねばられ、クリアー合戦から篠谷のドロップをねらわれてプッシュを打たれるなど、相手の攻撃的なスタイルに点を許す展開を強いられ13本に抑え込まれた。普段は混合ダブルスに出場している篠谷は「コートに入る前、心臓がバクバクしていた。でも、由紀と組んでアジアの大きな大会に出られることは、今後ないと思う。うれしかった。由紀が声をかけてくれて楽しみながらプレーできた」とパートナーに感謝を示した。
日本は連覇を逃したが、銅メダル。福島は「フルメンバーでもなく、コンディションもバラバラな中、一人ひとりが頑張ってくれたことが、銅メダルにつながったかなと思います。(山口)茜もLINEをくれて、応援してくれているのは伝わっていましたし、一緒に戦っていた。(連覇を逃して)悔しいですけど、みんなでカバーやフォローをし合いながらやった結果の銅メダルかなと思っています」と満身創痍のメンバーでプレッシャーと戦い、勝ち取ったメダルに胸を張った。
30日の結果は以下の通り。
▼準決勝(9月30日)
日本 1-3 中国
WS1 大堀彩●1〔19−21、21−12、15−21〕②陳雨菲80分
WD1 志田千陽/松山奈未②〔19−21、21−9、21−17〕1●陳清晨/賈一凡97分
WS2 仁平菜月●0〔12−21、14−21〕②何冰嬌57分
WD2 福島由紀/篠谷菜留●0〔19−21、13−21〕②鄭雨/張殊賢77分
韓国 3-1 タイ
WS1 アン・セヨン②〔21−12、18−21、21−15〕1●ポンパウィ・チョチュウォン78分
WD2 李紹希/ペク・ハナ②〔23−25、21−13、21−5〕1●ジョンコパン/ラウィンダ104分
WS2 金ガウン●1〔22−24、21−14、13−21〕②ブサナン・ンバルンパン80分
WD2 金昭英/孔熙容②〔21−19、21−12〕0●ヌンタカン/ベンヤパ58分
▼決勝(10月1日)
中国 − 韓国
取材・文/平野貴也
写真/BADMINTONPHOTO