4年に一度、アジアの頂点を決めるアジア大会(中国・杭州)バドミントン競技は、9月29日に男子団体戦の準々決勝が行なわれた。1回戦を制した日本は、香港と対戦。3-1で勝利を飾り、準決勝進出とメダル獲得が決めた。
第1シングルスは、日本のエース奈良岡功大(上写真)が、李卓耀(リー・チョクイゥ)と対戦。奈良岡は序盤から自慢のテクニックを披露し、連続攻撃を意識した組み立てで相手を崩していった。しかし、スピードを上げた相手の精度の高いヘアピン、スマッシュに振り回され、14オールから5連続失点。15-21で第1ゲームを失う。
第2ゲームは、奈良岡が3点ほどの差を追う展開が続いたが、16-19から3連続得点で同点。19-20で先にマッチポイントを握られたが、高精度のヘアピンで追いつくと、相手が攻めるラリーをしのぎ切って21点目。最後はカウンターレシーブで22点と大逆転に成功してファイナルゲームに持ち込んだ。ただ「全面でのゲーム練習もできていないまま試合に入ることになって、どこまでできるかわからなかった」と話したとおり、後半は体力面で失速。フォア前に落とされる球に反応できなくなり、最後は11本で押し切られた。
相手に先行された日本だったが、すぐに流れを取り戻す。第1ダブルスの保木卓朗/小林優吾(上写真・右)が、鄒軒朗/呂俊瑋を2-0で撃破。試合時間33分の早業だった。保木は「相手に流れを持っていかれないように、こちらが先にプレッシャーをかける展開を心がけた」と先手必勝を貫徹。素早く攻撃の形に持ち込み、連打で押し切った。
この流れを加速させたのが、第2シングルスの西本拳太(上写真)だった。伍家朗(ン・カロン)との勝負は、実力伯仲。第1ゲームは、中盤16オールから連続得点で突き放し、21-17と先取に成功。朴柱奉ヘッドコーチの「今、スピードを上げないで、いつ上げるの」という叱咤激励に応えて勝負所を制した。第2ゲームは序盤で引き離されると、あえてクリアーを連発して相手に攻めさせる展開に持ち込み、10本でゲームを失ったが、そのぶん体力温存に成功。
ファイナルゲームは11-10から相手のミスを誘って3連続得点で突き放すと、互いにねばりながらファインショットを連発する大激戦を展開。西本の鋭いカットをヘアピンでネットインされて17-16の1点差に追い上げられたが、体力を振り絞ってスピードアップ。ネット前に残り、相手のドライブに対して無理な体勢で強引に対応した19点目、下がらずに前で跳びつきスマッシュを打ち込んで21点目を奪う、フィジカル全開の戦い方で勝利をもぎ取った。試合後、西本は「前回よりいいメダルを取りたい。自分たちの年代が団体戦で優勝をねらえるのは、最後かもしれないと思ってやっている」と前回の銅メダル超えにかける執念を示した。
2-1と逆転した試合を締めくくったのは、第2ダブルスの古賀輝/齋藤太一(上写真・右)だった。第1ゲームは守備主体で逆襲をねらう形で21-17。インターバルでアドバイスを受けてレシーブ場面でのロブを少なくし、攻撃的な返球を増やした第2ゲームは15本で取り切った。古賀/齋藤がストレートで勝利を収めて、日本が3-1の逆転で香港に勝利。準決勝進出とメダル獲得を決めた。
30日の準決勝の相手は、地元の中国。優勝候補筆頭の強敵に対し、シングルスのエース奈良岡が不調なのが気がかりだが、西本は「どこにでも負ける可能性がある。でも、どこにでも勝つ可能性があるとも思っている」と怖がらずに臨む姿勢を示し、齋藤も「中国のペアは、自分たちよりランキングが上の選手になりますけど、勝ったことはある。本当にチャンスはゼロではないと思う。立ち向かっていければチャンスはある。チームのために戦いたい」と意気込みを語った。相手にとって予想外の出来事が起これば、相手一色の応援が相手のプレッシャーに変わる展開にもなり得る。団体戦ならではの流れをつかめるかどうか、大一番に挑む。
▼準々決勝(9月29日)
MS1 奈良岡功大●1〔15−21、22−20、11−21〕②李卓耀77分
MD1 保木卓朗/小林優吾②〔21−10、21−13〕0●鄒軒朗/呂俊瑋33分
MS2 西本拳太②〔21−17、10−21、21−16〕1●伍家朗79分
MD2 古賀輝/齋藤太一②〔21−17、21−15〕0●李晉熙/楊盛才41分
▼準決勝(9月30日)
日本 – 中国
韓国 – インド
取材・文/平野貴也
写真/BADMINTONPHOTO