5月27日に開幕した国内のトップ選手が集う2023日本ランキングサーキット（埼玉・サイデン化学アリーナ）。勢いある若手やベテラン選手らが活躍する大会3日目の29日は各種目準々決勝が行なわれ、ベスト4が出そろった。ここでは男子ダブルスのダイジェストを紹介する。

【男子ダブルス】

ベスト4一番乗りは、柴田一樹（上写真・右）／山田尚輝（NTT東日本）。柴田は混合ダブルスでも一番乗りと、今大会絶好調だ。長身の柴田は豪快なジャンプスマッシュが目立つが、ロングレシーブも武器の一つ。相手を振り回してチャンスをつくり、攻撃につなげることができる。サウスポー・山田の速いタッチも冴えて、ファイナル勝負の2回戦を勝ち上がった農口拓弥／林谷理貴（大同特殊鋼／三菱自動車京都）を、14本、12本と圧倒。悲願の初タイトルに向けて、明日も2人で攻めまくる。

柴田／山田の相手となるのが、柴田にとって埼玉栄高の先輩にあたる竹内宏気（上写真・右）／小川桂汰（丸杉）だ。大学生、高校生を退けてきたベテランは、長身の左右ペア、西川裕次郎／仁平澄也（NTT東日本）にストレート勝ち。3種目にエントリーし、すべてで貪欲に勝利を奪いにいく竹内は、試合運びが秀逸だ。エンジン全開で入って序盤からリードする展開をつくり、リードされたとしても2点差以内でついていく。じわじわと追い詰められた相手が気持ちで引いて、ミスを連発するようになれば、こっちのもの。準々決勝も、まさにその展開だった。名門チームでプレーしてきた西川／仁平が思うようにプレーできず、元気者のパートナー、小川のテンションは上がっていく。スタンドに陣取る丸杉メンバーの声援も後押しとなり、まさにゲームを支配した。

反対側の山を勝ち上がったのは、昨年優勝の金子真大（パートナーは園田啓悟）と高校卒1年目の大田隼也（上写真・右）が組む、名門・トナミ運輸のペア。昨年は大先輩に引っ張られた金子が、ルーキーとのペアでベスト4に進出した。準々決勝は、大学生の小川航汰／熊谷翔（日本大）に第1ゲームを18-21で失うも、しっかり立て直して攻めまくり2-1で勝利。4人の中で一番年下となる大田は、大きな声を出して自分を鼓舞しながら厳しい戦いを勝ちきった。最後の1点は大田の渾身のスマッシュ。打ち抜いた大田は絶叫して床に寝転び、コーチ席の舛田圭太監督は両手を突き上げた。

この日、最後にベスト4進出を決めたのは、霜上雄一（上写真・左）／野村拓海（日立情報通信エンジニアリング）。B代表の西田陽耶／目崎駿太郎（トナミ運輸）に対し、第1ゲーム序盤から攻めまくって21-12で先取。集中力を失うことなく気持ちを高め、名門・トナミ運輸の系譜を継ぐ西田／目崎を圧倒した。第2ゲームは22-20で西田／目崎が奪い返し、勝負はファイナルゲームへ。「サービスの次だぞ！」というコーチ席からの声にうなずく霜上／野村は、サービスまわりから主導権を握ってラリーを支配。後手に回った西田／目崎は、ドライブレシーブでもミスを連発し、点差をつけられていく。17-20まで追いついた西田／目崎だが、最後は野村のスマッシュに対する目崎のドライブレシーブが、ネットにかかってゲームオーバー。会心の勝利をあげた霜上／野村は絶叫し、コートを出るとスタンドに笑顔を向け、手を振って声援に感謝した。準決勝の相手はトナミ運輸の金子／大田。互いにどんな作戦で臨むのか、チームとしての戦いにもなる。

▼準々決勝（5月29日）

金子真大／大田隼也（トナミ運輸）②〔18-21、21-8、21-15〕１●小川航汰／熊谷翔（日本大）

霜上雄一／野村拓海（日立情報通信エンジニアリング）②〔21-12、20-22、21-17〕１●西田陽耶／目崎駿太郎（トナミ運輸）

竹内宏気／小川桂汰（丸杉）②〔21-16、21-18〕０●西川裕次郎／仁平澄也（NTT東日本）

柴田一樹／山田尚輝（NTT東日本）②〔21-14、21-12〕０●農口拓弥／林谷理貴（大同特殊鋼／三菱自動車京都）

▼準決勝（5月30日）

金子真大／大田隼也（トナミ運輸）　−　霜上雄一／野村拓海（日立情報通信エンジニアリング）

竹内宏気／小川桂汰（丸杉）　−　柴田一樹／山田尚輝（NTT東日本）

取材・文／平田美穂

写真／菅原淳