12月30日に開催された第76回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ)最終日は、各種目決勝戦が行なわれた。ここでは、男子シングルスの戦いをダイジェストでお伝えする。
【男子シングルス】
男子シングルスは、ともに28歳の桃田賢斗(NTT東日本/上写真)と西本拳太(ジェイテクト)による頂上決戦。総合の決勝で2人が対峙するのは2019年以来3年ぶり。この時は絶頂期を迎えていた桃田が、2-0で西本を下している。準決勝後、西本は「彼には全日本総合でずっと負け続けている。総合の借りは総合で返したい」と久々のリベンジのチャンスを前に、気合をみなぎらせていた。
その決勝は、第1ゲーム序盤こそ互いに相手の動きを見ながら好機を探る展開だったが、7-6の場面でギアを上げた桃田が一気に8連続得点。15-6と大量リードを奪うと、そのまま西本を抑えて21-11で先制する。
第2ゲームに入っても主導権は桃田がつかんだ。「風は少しあったけど、どちらのコートに入ってもロビングの精度がよく、以前よりも攻撃的なスタイルをまぜてきた」と西本が振り返るように、積極的にスマッシュを打ち込む桃田が、最後までペースを譲らない。「2ゲーム目の中盤あたりから攻めの姿勢を貫いたのが、勝ちにつながった」と本人も語ったように、スマッシュ、プッシュの激しいアタックを仕掛けて21-16。西本も決して調子は悪くなかったが、「入り方などは悪くなかったけど、今日は相手がシンプルに僕より強かった」というほど、王者の強さが際立った。
2年ぶり5回目の総合優勝を果たした桃田は、試合後「苦しい1年間でした。ワールドツアーも正直、出ても勝てないというか、出たくないなというネガティブな気持ちもあった」と当時の心境を吐露。「国内の大会で勝てたのはすごくうれしいですけど、世界の大会に出た時の明確なイメージができていない」と続けたが、西本や後輩たちとの対戦でつかんだ手応えはあったはず。この優勝で不安がすべて払拭されたわけではないが、「今日は向かっていくだけ。迷いなくプレーできた」(桃田)という試合の積み重ねが、本当の意味での復活につながっていくに違いない。
▼決勝(12月30日)
桃田賢斗(NTT東日本)②〔21-11、21-16〕0●西本拳太(ジェイテクト)
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳