スポーツ庁委託事業「Sports in Life 推進プロジェクト」において、スポーツデータバンク株式会社、NTT東日本がプロジェクトチームを結成し、中学生のスポーツ実施率の向上およびスポーツ環境整備の推進に向けた取り組みをスタートさせたことを、11月24日、記者説明会で発表した。
コロナ禍における学校生活の変化の中で、オンライン環境の整備やDX(デジタルトランスフォーメーション)化などが加速。スポーツの分野でも、新しいスポーツ体験の機会が広がっている一方、地域の実情やスポーツ環境・指導者の不足などによって、子どもたちのスポーツ機会が奪われないように、環境整備が求められている背景もあり、デジタルならではのメリットを生かしてスポーツ環境整備の課題を解決していこうというのが、この新たな取り組みだ。
具体的には、指導元と指導先を学校配備のギガスクール端末などを活用しながら、ICTでつなぎ、専門指導者による遠隔指導を実施するというもの。今年10月から2023年1月までの実証実験では、NTT東日本のバドミントン部と野球部が指導元となり、バドミントンは北海道登別市内の中学校、野球は北海道富良野市内の中学校の部活動に所属する生徒に対し、合計7回の遠隔(および対面)指導を行なう予定だ。
また、今後は、国内トップレベルの実業団でもあるNTT東日本の選手たちがプレーする動画コンテンツ『お手本動画レッスン』や、指導先の選手の動画を指導元が添削して改善点を提案する『動画添削レッスン』などのデジタルレッスンコンテンツも開発していく予定だという。記者会見に出席したNTT東日本・経営企画部営業戦略推進室の佐野雅啓課長によれば、この実証実験を経て、2023年度の事業化をめざしていく。
11月24日に行なわれた記者説明会では、「Sport in Life プロジェクト」について、スポーツ庁健康スポーツ課課長の和田訓氏、スポーツデータバンク株式会社社長室室長の長瀬貴紘氏、NTT東日本の佐野氏より説明があったあと、実際に実証実験で行なわれている遠隔指導の実演を披露。桃田賢斗がカットとクリアーの打ち分けについて、登別市内の中学生たちに指導を行なった。
遠隔指導を終えた桃田は、「直接シャトルを打ち合えるわけではないので、難しさはあると感じましたが、その分、いつもよりどんな動きをするのか見るように心がけたり、言葉にして伝えようと心がけました。教える側としては、もっと勉強しないといけない」と感想を語り、「自分が無意識でやっていることを言葉で伝えることの難しさをあらためて感じましが、それを考えて、言葉にすることで、技術が明確に自分のものになるとも感じました。自分のバドミントンにも生きるんじゃないか」と、現役選手として指導することのメリットについてもふれた。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部