11月1日から国立代々木競技場第一体育館で開催されたパラバドミントン世界選手権は、11月6日、各種目の決勝が行なわれ、22種目でチャンピオンが誕生した。
日本勢は5種目で決勝に進出し、3つの金メダルを獲得した。 先陣を切ったのは、東京パラリンピック2冠の里見紗李奈(WH1)だ。 女子シングルスでシンシア・マセズ(スイス)を9点、10点で退ける快勝で2連覇。「勝たなきゃいけないプレッシャーのなか、勝てたことがよかった」と振り返った。
続く山崎悠麻(WH2)との女子ダブルスは初優勝。 「3年ぶりくらいの対戦」というエミネ・セッキン(トルコ)/マン・ケイトゥ(ベルギー)に対し、第1ゲームは8-8まで競った展開だったが、ゆっくりとしたラリーで流れをつかむと、第1ゲームを11点に抑えて奪取。 相手のプレーが「見えてきた」という後半は、10オールから一度もリードを許さずに決着をつけた。
里見は世界選手権での2冠は初めて。 山崎は単複を通して世界選手権初Vとなり「素直にうれしい」と笑顔だった。
男子は、WH2男子シングルスの梶原大暉が初優勝を遂げた。 世界選手権5連覇をねらうキム・ジョンジュン(韓国)をコート奥にくぎ付けにするドリブンクリアーが絶品で、12点、11点に抑える快勝だった。 優勝の瞬間、力強くこぶしをあげた梶原は、「自分のバドミントンができたと思う」と充実の表情を見せていた。
世界選手権で初の決勝進出を遂げたSL3女子シングルスの藤野遼は、格上のヘレ・ソフィー・ソゴイ(ノルウェー)に対し、ファイナルゲームに持ち込む奮闘を見せた。 そのファイナルゲームでは、4-4から一度もリードを奪えず、10点に抑えられて終幕したが、「悔しいけれど、これで終わりじゃない」と前を向いていた。
また、2013年以来、2度目の優勝をめざしたSU5女子シングルスの豊田まみ子は、2ゲームとも15点でインドの若手選手に敗れた。 それでも、試合後は笑顔を浮かべながら、「今回、持った自信を糧に(来年からの)パラリンピック出場権レースを戦い抜きたい」と誓っていた。
なお、全試合の終了後、日本勢の戦いぶりを平野一美理事長が総括。 金3、銀2、銅5の合計10個のメダルを獲得した結果について、「ある程度、予測していた範囲の結果は残せた」と評価していた。
▼決勝の結果
【WH2男子シングルス】
梶原大暉②〔21-12、21-11〕0● キム・ジョンジュン(韓国)
【WH1女子シングルス】
里見紗李奈 ②〔21-9、21-10〕0●シンシア・マセズ(スイス)
【SL4女子シングルス】
藤野遼●1〔9-21、21-19、10-21〕②ヘレ・ソフィー・ソゴイ(ノルウェー)
【SU5女子シングルス】
豊田まみ子●0〔15-21、15-21〕②マニシャ・マラダス(インド)
【WH1- WH2女子ダブルス】
里見紗李奈 /山崎悠麻②〔21-11、21-15〕0●エミネ・セッキン(トルコ)/マン・ケイトゥ(ベルギー)
取材・文/鈴木快美
写真/井出秀人