国内のトップ選手が集う2022日本ランキングサーキット大会（埼玉・サイデン化学アリーナ）が、5月28日に開幕した。トマス・ユーバー杯と重なることが多い日程だが、今年は重ならず。両大会に出場したメンバーも参戦し、ハイレベルな戦いがスタートした。
【男子シングルス】
トマス杯を終えての出場となった奈良岡功大（IMG）は、第1シードらしく落ち着いた試合運びで勝利。29日の2回戦は、同じトマス杯メンバーの秦野陸（トナミ運輸）と直接対決だ。
苦戦を強いられたのが、A代表として唯一この種目に出場している渡邉航貴（BIPROGY）。高校生の岩野滉也（ふたば未来学園高）に対し、第1ゲームを21−11で奪うも、第2ゲームはミスが重なり16−21。嫌な流れで迎えたファイナルゲームだったが、声を出して気持ちを上げ、持ち味の躍動感あるプレーを披露。最後は岩野がサービスリターンをネットにかけ、21−13でゲームオーバーとなった。
B代表勢は大会連覇をねらう古賀穂（NTT東日本）、昨年末の全日本総合優勝の田中湧士（NTT東日本）が2−0で勝利。ケガから代表復帰をめざす大林拓真（トナミ運輸）は、高校卒1年目の武井凛生（NTT東日本）との激闘、ファイナル21−17を制して2回戦進出を決めている。
【女子シングルス】
ユーバー杯メンバーの川上紗恵奈（北都銀行）、郡司莉子（再春館製薬所）は、いずれも2−0で勝利。日本A代表の髙橋明日香（ヨネックス）も2−0で勝ったものの、同チームの後輩である木村百伽に食いつかれ、第2ゲームは26−24。それでもゲームポイントを握られた場面で揺らぐことなく、きっちりスマッシュを打ち込んで得点を奪ってみせたのは、さすがの一言だった。
高校生で唯一、この種目に出場している明地陽菜（柳井商工高）は、社会人の林樂（ACT SAIKYO）に21−11、21−18とストレート勝利。しなやかなフットワークと、サウスポーから独特の軌道で落ちるカットが冴えて得点を重ねた。29日の2回戦では、高校の先輩にあたる水津愛美（ACT SAIKYO）と対戦する。
昨年優勝の水井ひらり（NTT東日本）、大堀彩、仁平菜月（いずれもトナミ運輸）といったB代表も、ストレート勝利で初戦突破を果たしている。
【男子ダブルス】
昨年末の全日本総合優勝の高野将斗／玉手勝輝（日立情報通信エンジニアリング）、同ベスト4の武井優太／遠藤彩斗（明治大）、緒方友哉／柴田一樹（NTT東日本）は、それぞれ得意とする攻撃の形を披露して2−0で勝利。B代表の岡村洋輝／小野寺雅之（BIPROGY）、西田陽耶／目崎駿太郎（トナミ運輸）、混合ダブルスA B代表が組む山下恭平／緑川大輝（NTT東日本／早稲田大）もストレート勝ちを収め、2回戦進出を決めた。
この日、最後の試合となったのが、全日本総合準優勝の井上拓斗／三橋健也（BIPROGY）と、ペアを組み替えて臨んでいる馬屋原大樹／村本竜馬（ジェイテクト）の対戦。結果は2−1で馬屋原／村本が勝利。第1ゲームを21−19で奪い、第2ゲームは17−21で奪い返されるも気持ちを切らさず、ファイナルは21−9と圧倒。男子ダブルスらしいスピードとパワー全開のプレーを、2回戦以降も期待したい。
【女子ダブルス】
日本A代表の松本麻佑と永原和可那（北都銀行）はペアを組まず、松本は曽根夏姫、永原は江里口玲奈とのペアで出場。いずれもファイナルゲームとなり、松本／曽根は勝ったものの、永原／江里口は敗れた。
昨年末の全日本総合優勝ペア、宮浦玲奈／保原彩夏（ヨネックス）、準優勝の櫻本絢子／鈴木陽向（ヨネックス／NTT東日本）は、持ち前のスピードとパワーで相手を圧倒し、2−0で勝利。互いに勝ち上がれば、準決勝で激突することになる。
昨年、この大会で準優勝している川添麻衣子／今井莉子（丸杉）は、朝倉みなみ／永井瀬雰（NTT東日本）に2−1で敗戦。ファイナルゲーム、先にマッチポイントを握った川添／今井だったが、追いつかれて20−21と逆転を許す。最後は朝倉が左サイドのハーフ球に対し、ラケットを上げてラウンドで入り、相手コートに落としてゲームオーバー。混合ダブルスで悔しい負けを喫していた朝倉は、その場に座り込んで泣き崩れ、観客席からの拍手を浴びて立ち上がった。
【混合ダブルス】
第1シードは昨年末の全日本総合優勝ペア、日本B代表の緑川大輝／齋藤夏（早稲田大／ACT SAIKYO）。大学生ペアをスピードと組み立ての巧さで圧倒し、7本、14本で勝利した。
大熱戦となったのが、仁平澄也／朝倉みなみ（NTT東日本）と、馬屋原大樹／柏原みき（ジェイテクト／ACT SAIKYO）の対決。1ラリーごとに観客席から拍手が起こる激闘の結末は、ファイナル21−18で馬屋原／柏原の勝利。最後は馬屋原が得意のスマッシュを叩き込み、B代表の仁平／朝倉は悔しい初戦敗退となった。
その他のB代表ペアは、山田尚輝／池内萌絵（NTT東日本／七十七銀行）、西川裕次郎／尾﨑沙織（NTT東日本）が、いずれも2−0で勝ち、2回戦進出を決めている。
取材・文／平田美穂
