毎週日曜、夕方5時30分から読売テレビ・日本テレビ系で放送されているバドミントンアニメ『ラブオールプレー』。放送スタートを記念して、バドミントン・マガジン4月号で、主人公・水嶋亮の声を演じる声優の花江夏樹さんと東京五輪メダリストの渡辺勇大&東野有紗ペアのスペシャルトークが実現した。
4月23日の第4話では、いよいよ渡辺&東野ペアがアニメ本編に登場! この第4話の放送を前に、バドマガ4月号で掲載されたスペシャルトークの一部をバド×スピ!で公開しよう。
それぞれの原点と青春時代
――花江さんは、ワタガシペアのことをご存じでしたか。
花江 知っていましたよ。試合も、見たこともあったり。ただ、僕、バドミントンについてそんなに詳しくないので、プレーを見て、単純にすごいなって。
渡辺&東野 ありがとうございます。
花江 僕は子どものころ、テニスをやっていたので、同じラケット競技を経験したっていう思い出をちょっと重ねてみたりはしていました。あとは、『ラブオールプレー』の公式ユーチューブチャンネルで、いろいろやっていますよね?
渡辺 “筒当て”とかですね。
花江 そうそう。でっかいラケットと羽根で打ち合ったりとかっていうのも見ました(笑)。お二人は何歳からバドミントンをしているんですか?
東野 私は6歳です。
花江 自分でやりたいと言って?
東野 両親が陸上選手だったので、陸上をやらせたかったみたいなんですけど、陸上のクラブチームは小学校3年生にならないと入れなかったんです。それで、1年生から入れるバドミントンのクラブチームに入ってやってみたら楽しくて。
渡辺 僕は7歳ですね。2年生くらいのときに、親の影響で。両親も高校くらいまでやっていて。僕、兄がいるんですけど、その兄と一緒に始めました。
花江 本格的にプロをめざそうもみたいに思ったのは、何歳くらい?
渡辺 バドミントン選手は、プロっていう概念があんまりないんですよ。僕らは正社員で、会社に勤めながら、バドミントンをしています。ほかの社員の皆さんがやっているような仕事はあまりしていないんですけど(笑)。練習が仕事みたいな感じで。(※この取材後、4月1日に渡辺選手はプロ転向を発表)
花江 なるほど。
渡辺 世界で勝ちたいと思うようになったのは、いつくらいだろう…。僕は、高校生くらいですかね。
花江 「世界で勝ちたい」ってカッコいいなあ! 言ってみたいな。
東野 私は勇大くんとミックスを組み始めたのが中学3年生で、勇大くんは当時2年生だったんですけど。そこからいろいろな大会に出て。高校生で勇大くんと世界ジュニアという大会で3位になってから、一緒に世界を取りたいなと思って、ずっとやってきました。
花江 なるほど。もちろん、ミックス以外の種目もあるわけですよね。
渡辺 あります。逆に、中学時代からミックスダブルスをやるっていうのは、珍しいタイプなんです。
花江 でも、早く組み始めたほうが、コンビネーションの面とかでいいのかな?
渡辺 早いほうがいいと思います。さらに、仲よしであれば、なおいいですね。
花江 ああ~。なんか、その感じが伝わってきます。
渡辺 ひとつ上の先輩なんですけど。
花江 でも、そういう感覚はあんまりない?
渡辺 はい。友達ですかね。僕が言うのもなんですけど(笑)。先輩も許してくれているので。
東野 あははは(笑)。
花江 いい関係ですね。
渡辺 花江さんは、テニスはいつから始めたんですか?
花江 僕は小学生のころ、従兄のお兄ちゃんがテニスをやっていて。それで、その影響で、スクールに通っていたんです。近くに杉山愛さん(元プロテニスプレーヤー)とかが通っていた有名なスクールがあって。小学生のころはずっとそこでテニスをしていました。でも、お二人みたいな、世界を取ろうみたいな感じではなくて。できれば、そういう気持ちでやりたかったんですけど、途中からいろんなやりたいことが自分の中で芽生えてきて。ちょっとオタクっぽいところがあって、ゲームが好きなんですよね。中学では、硬式テニス部がなかったので、軟式テニス部に入っていたんですけど、そっちのほうがひたすら楽しくなっちゃった。テニスはだんだんフェードアウトしていったって感じです。でも、一応、テニス部の副部長はやっていたんですよ。
東野 そうなんですね。
渡辺 僕も副キャプテンはやっていました。キャプテンにはなれない存在なんです(笑)。
花江 僕は、だから、スポーツを頑張っていたっていうのは、中2くらいまでかな。高校に入ってからは、文化系になったので。
渡辺 声を仕事にしたいって思ったのは、いつからですか?
花江 僕がめざしはじめたのは、高校2年生のころです。
東野 そんなに早く。
花江 高校進学のときに、好きな子と一緒の高校に行きたくて、けっこう勉強を頑張って(笑)。
渡辺 かわいいな!
花江 すごく勉強して、志望の高校に入ったんだけど、やっぱりギリギリで入ったから、まわりはみんなめちゃくちゃ頭がいいんですよ。中学のときはけっこう勉強が好きだったんだけど、なかなかついていけなくなって、「勉強はあんまり楽しくないな」ってなって。で、大学に行ってもやりたいこともそんなにないし、高校を卒業したら働こうと思ったときに、自分の中で何が好きかを探していったんですね。
東野 当時、好きだったのって…。
花江 カラオケとか。もう毎日行くくらいカラオケに行っていて、あとはゲームやアニメが好きで。もともと自分の頭の中にあることを形にするっていうことが好きだったので、そういうことを総合的にできる職業が声優なんじゃないかっていうふうに考えて、めざし始めたっていうのがきっかけですね。
東野 高校生で、そんなふうに冷静に自分がなりたいものを考えていったのがすごい。
渡辺 声を仕事にするって、そういう先生とかがいるんですか?
花江 いや、僕は独学で。まず、アニメの声をマネしてみたりとか。モノマネから始めたみたいな感覚だったんですけど。
東野 そうなんですね。
花江 本来は専門学校や養成所とかに行くんだけど、うちはそんなにお金もなかったので、どうにか別な方法はないかって母親といっしょに探して。声優の山寺宏一さんがちょうど事務所を独立して、新しく事務所をつくったばっかりのときで。母親も僕も山寺さんが好きだったので「ここにメールして、ちょっと相談してみよう」っていう話になったんです。「将来声優になりたくて、こういう声をしていて、どうしたら声優になれますか」っていう相談メールをしたところ、できたての事務所でまだあまり所属している人が少なかったということと、十代の役者が全然いなかったっていうのもあって、「1回、面接してみましょう」って返事をもらったんです。
渡辺 そんなこともあるんだ。
花江 そこで面接してもらって、話しているうちに、事務所でワークショップっていうレッスンを定期的にやっているから、そこに通ってみないかっていう話になって。高3の夏から3カ月くらい通ったんです。それで、最後にオーディションしてもらって、受かって事務所に入れてもらったんです。
東野 メールを送らなかったら…。
花江 そうそう。
渡辺 その行動する能力がめちゃくちゃ高いですよね。
花江 当時を思い返すと、本当に無謀だったなって思うんですけど。でも、それはやってよかったなと。しかも、そのメールフォームって、企業とかから仕事の依頼を受けるためのメールフォームで。一般の人には受け付けていないところに、無理やり送ったんですよ。ほかに連絡先がなかったから。それが「おもしろいね」って、社長が思ってくれたみたいで。
渡辺 そのまま、僕らの後輩たちに伝えたいです。
東野 行動力が大事だってね。
アフレコ挑戦へのアドバイス
――ワタガシペアは、このあと、『ラブオールプレー』のアフレコに挑戦するのですが、花江さんから何かアドバイスはありますか。
花江 どうしても初めてだと硬くなってしまうと思うんですけど、とにかく「楽しいんだ」っていう気持ちが大事かなって思う。二人は本人役として出るんですもんね。だから、普段話しているような感じでもいいと思いますし。アニメなので、いつもよりちょっとだけ大きめにしゃべってみると、よく聞こえるっていうのはありますね。
東野 はい、大きめですね! 緊張しそう。
渡辺 お腹とか鳴っちゃったら、まずいですか?
花江 お腹、鳴らないようにしますね。
東野 どうやってやるんですか。
花江 軽く、ご飯を食べるかな。でも、食べると逆に鳴っちゃうときもあって、難しいんですよね。これは生理現象だから、しょうがない。でも、何回も撮りなおせるから。
渡辺 いや、一発で決めようよ!
東野 一発でいきたいけど…。
花江 そこでも負けない気持ちで! それ、大事です。
花江夏樹 はなえ・なつき
1991年6月26日生まれ、神奈川県出身。2014年に、『東京喰種』金木研役、『四月は君の嘘』の有馬公生役などを務め、第9回声優アワード新人賞を受賞。以降、多くの作品で主役などを演じるほか、テレビの情報番組でMCを務めるなど多方面で活躍。社会現状を巻き起こしたアニメ『鬼滅の刃』では、主人公の竈門炭治郎を演じている。4月から読売テレビ・日本テレビ系で放送がスタートする『ラブオールプレー』では、主人公の水嶋亮を演じている。
渡辺勇大 わたなべ・ゆうた
1997年6月13日生まれ。東京都出身。富岡第一中-富岡高-日本ユニシス/BIPROGY。高校3年時にインターハイ単複制覇(2015年)を達成。男子複と混合複の2種目に取り組み、両方で世界のトップランカーに成長。多彩な攻撃と堅守が持ち味。167cm、左利き。
東野有紗 ひがしの・ありさ
1996年8月1日生まれ。北海道出身。富岡第一中-富岡高-日本ユニシス/BIPROGY。高校時代は選抜複優勝(2014年)など、団体・個人で全国優勝を経験。高い身体能力や、女子選手では珍しいジャンプスマッシュが武器。160cm、右利き。
【混合複ペアとしての主な成績】
2014年世界ジュニアで銅メダルを獲得。全日本総合では17年から20年まで4連覇。国際大会では18年・21年・22年全英OP優勝、21年東京オリンピック銅メダル、21年世界選手権銀メダルなど。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部