大学生の日本一を決める全日本学生選手権(奈良県・ロートアリーナ奈良)は、10月21日に大会最終日を迎え、男女ともに個人ダブルスとシングルスの準決勝、決勝戦が行なわれた。ここでは男子シングルスのダイジェストでお伝えする。
2018年インカレ2位の大林拓真(早稲田大)や、19年優勝の田中湧士(日本大)といった優勝候補が最終日を待たずに姿を消すなど、混戦模様となった男子シングルス。ベスト4には野田統馬(日体大)、百上拓海(明治大)、緑川大輝(早稲田大)、嶺岸洸(法政大)が勝ち残った。そして準決勝の結果、野田と緑川が決勝戦へと勝ち上がる。
日本B代表に名を連ねる緑川(上写真)だが、代表ではダブルスプレーヤー。加えて、ダブルスでも決勝を戦っていた緑川にとって、シングルスの決勝はこの日の4試合目。疲れも見え始めていた。それでも、緑川は第1ゲームからスピードを上げて勝負を仕掛ける。野田も角度のある強烈なスマッシュなどで得点を重ねたものの、第1ゲームは17本で緑川が先制に成功した。
迎えた第2ゲーム。緑川は終盤に向けてリードを奪い、19-15とタイトル獲得まであと一歩まで迫ると、20-17でマッチポイント。勝負あったかに思われたが、野田がここから4連続得点で逆転。ゲームポイントを奪い、ファイナルゲームへ望みをつなごうと意地を見せた。しかし、体力的に厳しい緑川は、ファイナルゲームへもつれ込んだら勝機は薄いと判断。「ここで決めなければ負けだと思った」(緑川)と気力を振り絞り、20-21からの3連続得点で一気に決着。ダブルス決勝での雪辱を果たした緑川が、あらためて存在感を示した。
優勝
緑川大輝
(早稲田大)
決勝はファイナルゲームにいったら絶対にキツイと思っていたので、2−0で勝てるように最初からスピードを上げていきました。まさか自分がシングルスで優勝するとは思っていませんでした。ダブルスもしっかり勝てるように頑張ったんですけど、相手が強かった。そこで切り替えて、シングルスを勝つことができてよかったです。
準優勝
野田統馬
(日本体育大)
3位
嶺岸洸
(法政大)
3位
百上拓海
(明治大)
▼準々決勝
野田統馬(日本体育大)2−1 田中湧士(日本大)
百上拓海(明治大)2−0 永渕雄大(筑波大)
緑川大輝(早稲田大)2−0 橋本瞬次郎(龍谷大)
嶺岸洸(法政大)2−0 増本康祐(法政大)
▼準決勝
野田統馬②〔21−19、21−17〕0●百上拓海
緑川大輝②〔20−22、21−14、21−81〕1●嶺岸洸
▼決勝
緑川大輝②〔21−17、23−21〕1●野田統馬
取材・文/吉井信行
写真/宮原和也