「第49回全国高校選抜大会」の競技2日目、26日は、福島県郡山市の宝来屋郡山総合体育館で男女団体の準々決勝~決勝戦が行なわれた。その結果、男子は埼玉栄(埼玉)が3年ぶりの優勝を達成。女子は柳井商工(山口)が初優勝に輝いた。ここでは、男子団体のダイジェストをお伝えする。
【男子団体ダイジェスト】
準々決勝からスタートした団体2日目。準決勝に一番乗りを決めたのは、過去最多11度の優勝を誇る埼玉栄だ。ここまで3-0を重ねてきた名経大市邨(愛知)を寄せつけず、盤石の勝ち上がり。その一方で、地元優勝をめざすふたば未来学園(福島)は、強豪の瓊浦(長崎)に3-2と辛勝。第2複、第1単を落として後がなかったが、第1複を2-1で制したエースの武井凜生と1年生の齋藤駿が、シングルスでも踏ん張って勝利。苦しみながらも難敵を退けた。
そのふたば未来は、準決勝で東大阪大柏原(大阪)を、埼玉栄は高岡第一(富山)をそれぞれ3-0のストレート勝ち。これまで幾度も全国大会の決勝戦を争ってきた2校の対決は、第3単までもつれる激闘となった。
3面同時に始まった決勝。先に王手をかけたのは埼玉栄だ。ここまで負けなしの馬屋原光大郎/宮下怜が第2複で荻原聖也/吉田翼を15本、13本で仕留めると、エースの野口翔平/森口航士朗も武井/齋藤を25-23、21-17で振り切って勝利。第1単の大垣空也は岩野滉也を相手にファイナル勝負に持ち込み、一気に優勝を決めるかと思われた。
しかし、土壇場でふたば未来がねばりを発揮。この勝負を岩野が19オールから抜け出して後続にバトンをつなげると、第2単の武井が気迫の勝利をつかむ。同時に試合をしていたふたば未来の齋藤も、この時点でファイナルゲームに持ち込んでおり、流れはふたば未来に傾きかけた。
だが、このねばりを上回る気持ちの強さを見せたのが埼玉栄のエースでありキャプテンの森口だ。「相手は1年生。応援してくれるチームメートや支えてくれる先生方のためにも負けられない」と気合十分でファイナルゲームのコートに立つと、足をつりかけながらも攻めの姿勢を崩さず21-15で勝利。最後は雄叫びとともにコートに倒れ込み、埼玉栄は歓喜の瞬間を迎えた。
【優勝コメント】
◆大屋貴司 監督
「今年は誰が見てもふたば未来の方が力は上。武井選手と齋藤選手のシングルスがあるので、勝つなら3-0だと思っていました。今回の優勝の立役者は森口ですね。第1単、第2単を落としながらも、最後によく取りきってくれました。相手はうち以上にドローが厳しかったですから、夏も今回のように勝てるとは思っていません。今回の優勝は一度忘れて、また一からやっていきたい。夏に“本物の優勝”ができるように、また頑張っていきたいと思います」
◆森口航士朗キャプテン
「個人的に日本一になったのが初めてなので、素直にうれしいです。試合に入る前から足をつりかけていてきつかったけど、支えてくれる人がたくさんいたので、踏ん張ることができました。大会前に相手をしてくれた3年生やOBの方々に、優勝という形で恩返しできてよかったです。でも、このままでは夏はリベンジされてしまうと思うので、もっと体力をつけていきたい。夏も優勝できるように頑張っていきたいです」
【26日の試合結果】
▼準々決勝
ふたば未来学園(福島) 3―2 瓊浦(長崎)
東大阪大柏原(大阪) 3―1 金沢市立工(石川)
埼玉栄(埼玉) 3-0 名経大市邨(愛知)
高岡第一(富山) 3-1 新田(愛媛)
▼準決勝
ふたば未来学園 3-0 東大阪大柏原
埼玉栄 3-0 高岡第一
▼決勝
埼玉栄 3-2 ふたば未来学園
野口翔平/森口航士朗②〔25-23、21-17〕0●武井凜生/齋藤駿
馬屋原光大郎/宮下怜②〔21-15、21-13〕0●荻原聖也/吉田翼
大垣空也●1〔17-21、21-19、19-21〕②岩野滉也
野口翔平●0〔15-21、20-22〕②武井凜生
森口航士朗②〔21-12、21-23、21-15〕1●齋藤駿
◆男子団体初日(1回戦~3回戦)の結果はこちら
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取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/井出秀人