2019年、73戦67勝6敗、年間勝率91.8パーセントという圧倒的な成績を残した桃田賢斗。絶対王者として君臨した、その桃田から、1勝を奪っているのがインドネシアのジョナタン・クリスティだ。
クリスティは、地元インドネシアのジャカルタで開催された2018年アジア大会の金メダリスト。バドミントンに関しては、強豪選手がひしめくアジアで頂点に立つことは、世界選手権を制する栄誉にも匹敵する。当時、世界ランキング15位にすぎなかった彼が、決勝を制し、シャツを脱ぎ捨てて喜びを爆発させた瞬間は、バドミントン界の新たなスターの誕生を予感させたものだ。
鍛え上げられた肉体に、爽やかな笑顔。地元インドネシアでは、ひとたび彼がコートに現れると、黄色い声援が会場に響き渡る。
クリスティのインスタグラムのフォロワーは、バドミントン界ナンバーワンの183万人を超える。インドネシアはバドミントンを国技とするだけに、その注目度は日本とは比較にならないほどだろう。
アンソニー・S・ギンティンとともに、バドミントン王国の期待を担う存在だが、一方で、注目が大きければ大きいほど、批判にさらされることも多い。競技の成績が振るわなければ、なおのことだ。容赦ないコメントがSNSへ殺到する。
誰にとっても、そのようなコメントを目にするのは楽しいわけはないが、クリスティは彼なりのやり方でSNS上のネガティブなコメントを力に変える方法を身につけているのだという。
彼が語った、彼なりの流儀は、ぜひバドミントン・マガジン7月号をご覧になっていただければと思うが、SNS上での批判や非難が大きな社会問題になっている昨今だけに、編集者としても、とても興味深い内容だった。実際は、クリスティのような強いメンタルを持つ人ばかりではないのは事実だが、彼のように批判や非難に対しても冷静な目線を持つことは、現代のトップアスリートにとって必要な能力なのかもしれないとあらためて感じさせられた。
バドミントン・マガジン7月号
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文/バドミントン・マガジン編集部