3月11日から15日まで開催されるBWFワールドツアー・ヨネックス全英OP(イングランド・バーミンガム/Super1000)。格式高い伝統の大会は、今回で110回目を迎える。ここでは、世界トップの誰もが憧れる全英OPの各種目の展望を紹介。第2回は女子シングルスにクローズアップする。
東京五輪前最後のビッグタイトル
全英オープン2020 CSテレ朝チャンネル2で
1回戦から決勝まで連日放送!!
【女子シングルス展望】
第1シードは、昨季7優勝の好成績を収めた陳雨菲(チェン・ユーフェイ/中国/上写真)、第2シードには女帝・戴資穎(タイ・ツーイン/台湾)が入った。前回大会の女王である陳雨菲は、初戦から韓国のホープ、アン・セヨンと激突する。難敵との勝負をクリアすれば、準々決勝で対戦しそうなのがラチャノック・インタノン(タイ)や日本の大堀彩となる。
また、陳雨菲がいる山には、2016年の全英優勝を果たした奥原希望や、昨年の世界女王プサルラ・V.シンドゥ(インド)の名前があり、準々決勝はこの2人のライバル対決が見られそう。
第2シードの戴資穎(上写真)がいる山には、キャロリーナ・マリーン(スペイン)、山口茜、何冰嬌(へ・ビンジャオ/中国)、髙橋沙也加といったランキング上位者の名前が並んだ。また、2月のスペインマスターズ(S300)決勝でマリーンを破った、タイのポンパウィ・チョチュウォンなども入っており、第1シードの山に比べて混戦の印象。日本の山口と髙橋は、ともに1回戦を勝ち上がれば2回戦で日本人対決となり、その勝者が準々決勝でマリーンと勝負することになりそうだ。
【日本選手の1回戦】
(世界ランキングは3月3日付)
山口茜(WR3位)
1回戦:サイナ・ネワール(インド/WR18位)
日本の4選手の中で、初戦が一番厳しい相手となったのが山口。1回戦では経験豊富なサイナと対戦する。
山口は1月末のタイマスターズ(S300)で優勝を果たすなど、調子は上向き傾向。世界ランクも3位をしっかりキープしている。一方のサイナは、ケガなどの影響で2019年は好結果に恵まれず、世界ランクも18位まで落としている状況。今年も4大会に出場し、2回が初戦負け。山口としては、序盤からペースを掌握して白星につなげていきたい。山口が1回戦を勝利した場合、2回戦は髙橋沙也加とエフゲニア・コセツカヤ(ロシア)の勝者と対戦する。
奥原希望(WR4位)
1回戦:ミシェル・リー(カナダ/WR10位)
4年前の全英覇者である奥原。昨年もベスト4と相性のよい大会で、2回目の栄冠をねらう。初戦の相手は、カナダのミシェル・リー。過去の対戦成績は奥原が6勝3敗と勝ち越しており、持ち味のラリー戦に持ち込めば勝機が広がそう。奥原はここを勝ち抜けば、2回戦ではピッタヤポン・チャイワン(タイ)とリーネ・フォウマーク・カエスフェルト(デンマーク)の勝者と対戦する。
髙橋沙也加(WR12位)
1回戦:エフゲニア・コセツカヤ(ロシア/WR25位)
昨年の大会では2回戦敗退に終わった髙橋。上位進出をめざす中、1回戦の相手はロシアの1番手、エフゲニア・コセツカヤとの対戦が決まった。過去の対戦成績は2戦2勝としており、実力的には髙橋が上。ここで白星をつかみ、続く2回戦以降に弾みをつけたいところだ。その2回戦は、山口茜とサイナ・ネワールの勝者と対戦する。
大堀彩(WR20位)
1回戦:キム・ガユン(韓国/WR16位)
大堀は韓国の3番手、WR16位のキム・ガユンと1回戦で対戦する。今年序盤のマレーシア&インドネシアマスターズこそ結果は振るわなかった大堀だが、1月末のタイマスターズでは地元のエース、ラチャノック・インタノンを下してベスト4の好成績を残した。最近はWRの順位を落としているだけに、高ポイントが獲得できる全英で少しでも白星を重ねてランクをあげておきたい。
その大堀の初戦は韓国の22歳、キム・ガユン。過去の対戦では大堀が2連勝をしており、その2戦とも2−0のストレート勝ちだった。ここを取りこぼしなく勝ち進めば、2回戦ではインタノンとマレーシアのソニア・チアの勝者と戦うことになる。
【全英選手権】
1899年に第1回大会をロンドンで開催。当初は男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルスの3種目で行なわれた(翌年から男女シングルスも実施)。バドミントンの国際大会としては、最も古い歴史を持つオープントーナメントとして知られている。
1977年に世界選手権が開催される以前は、世界の頂点を決める大会として世界のトップ選手が出場し、多くの名勝負を繰り広げてきた。
日本選手は1960〜70年代にかけて、女子シングルスに出場した高木紀子、湯木博恵、竹中悦子などが優勝。女子ダブルスでも相沢マチ子/竹中悦子、徳田敦子/高田幹子などが頂点に立っている。最近では2016年に女子シングルスの奥原希望、女子ダブルスの髙橋礼華/松友美佐紀が単複W制覇を遂げたほか、2018年は混合ダブルスの渡辺勇大/東野有紗が、同種目日本勢初の優勝。2019年は男子シングルスの桃田賢斗が、同種目初優勝を果たしている。※選手名は当時のもの
【過去10年の優勝者】
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/BADMINTONPHOTO