12月1日に開催された第73回全日本総合選手権(東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館)最終日は、各種目の決勝戦が行なわれた。ここでは男子ダブルスのダイジェストを紹介しよう。
【男子ダブルス】
園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)の2連覇か。それとも遠藤大由(上写真・右)/渡辺勇大(日本ユニシス)による2年ぶりの優勝か――。世界ランク上位ペア同士による決勝戦は、総合のタイトルにこだわる両ペアの意地が激しくぶつかる戦いとなった。
第1ゲームを先制したのは園田/嘉村。「すごくいい形でプレーができた」と嘉村が振り返るように、得意の低空戦から園田のアタック、嘉村のネット前からの攻撃でポイントを重ねる。前日の準決勝では、若手相手に余裕のある試合運びを見せていた遠藤/渡辺も、「一方的に攻撃されていた」(遠藤)と、スピードにうまく対応しきれない。連続得点で突き放した園田/嘉村が21-11とし、優勝に王手をかけた。
第2ゲームは、スピードに順応しはじめた遠藤/渡辺が、持ち味の堅い守備からリズムを作る。園田/嘉村(上写真・左)のスピードが一気に落ちた隙を見逃さず、12-16の場面から5連続ポイントなどで逆転に成功。「2ゲーム目も劣勢ではありましたが、諦めず、自分たちのプレーを変えずにやり通せた」(渡辺)と、1−1のイーブンに戻して運命のファイナルゲームに臨んだ。
多くの観客が固唾を飲んで試合を見守る中、ファイナルゲームに入っても園田が精彩を欠く動き。「2ゲーム目の前半、11点を取るまでの間で、園田の呼吸の仕方がいつもと違うように感じた」と嘉村。体調を崩す園田を支えながらのプレーとなったが、相手は百戦錬磨の遠藤/渡辺。戦力ダウンの状態では、さすがに通用しなかった。
「園田選手がいきなり疲れたのはわかりました。…でも、勝負の世界ですから。もし僕がそうなったら、決して手を抜かず、スッキリ終わらしてくれるのも一つの礼儀だと思う。それに、弱点を攻めるのは勝負事ではやらなきゃいけない」と遠藤。園田を後ろに下げて、甘い攻撃をカウンターで仕掛けながら得点を重ね21-8で勝利。遠藤/渡辺が、2年ぶりの頂点到達。遠藤は早川賢一(現日本ユニシス&B代表コーチ)との優勝を合わせ、5回目の日本一となった。
一方、試合直後にはコートサイドに倒れ込みしばらく動けなかった園田は、のちに熱中症だったことがわかった。試合後、一人で表彰式、囲み取材に応じた嘉村は途中キケンの考えについて聞かれ「啓悟はやめたくなかったと思うし、自分がやめようといっても結果は変わらない。だったら、しっかり戦いきって、最後までやったほうが、相手も気持ちのいい優勝になる。相手をリスペクトしながら最後まで戦いました」と、プレー続行の真意を語っている。
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▼決勝
遠藤大由/渡辺勇大(日本ユニシス)②〔11-21、21-18、21-8〕1●園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳