11月29日に開催された第73回全日本総合選手権(東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館)4日目は、各種目の準々決勝が行なわれた。ここでは男女シングルスのダイジェストを紹介しよう。
【男子シングルス】
準決勝に駒を進めたのは、世界トップの舞台で戦うA代表の4選手だった。
第1シードの桃田賢斗(NTT東日本)は、富岡高校(現ふたば未来学園高)、そしてチームの後輩でもある古賀穂と対戦。「きつい場面でも足を運んでラリーができた」という桃田が第1ゲームを13本で抑えると、続く第2ゲームも相手の追い上げをしっかり振り切って21-13で勝利。「彼の頑張りを身近に見ている分、“世界はそんなに甘くないぞ”というのを見せつけられたと思う」と、先輩として、世界王者としての貫禄で、後輩の挑戦をはねのけた。
第2シードの西本拳太(トナミ運輸)は、インターハイ王者の奈良岡功大(浪岡高)の挑戦を受けた。第1ゲームを先制した西本だったが、第2ゲームは奈良岡にリードを許す展開。「第2ゲームは相手の作戦にはまってしまった」(西本)と、ファイナルゲームに持ち込まれてしまったが、その最終ゲームは相手のペースに乗らずフィジカル勝負で押し切り勝利。「怖い存在でした」という若き挑戦者を下し、西本が準決勝へと勝ち進んだ。
今大会で現役引退を公言している古財和輝(龍谷大職員)と対戦した常山幹太(トナミ運輸)は、第1ゲームから落ち着いたラリーでポイントを稼ぎ、一桁台で先制。第2ゲームも、後半に追い上げる古財をきっちり振り切って、2−0のストレート勝利。前回に続きベスト4入りを決めた。また、坂井一将(金沢学院クラブ)は、日本ユニシス時代の後輩でもある五十嵐優とのファイナル勝負を25-23で勝利。終盤の勝負所でも焦らずラリー勝負に徹し、若手のミスを誘って勝利のポイントをつかんだ。
明日の準決勝では、桃田と坂井、常山と西本が対戦する。
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【女子シングルス】
男子と同じく、女子シングルスもA代表の4選手がしっかり上位進出を果たした。前回王者の山口茜(上写真/再春館製薬所)は、B代表の髙橋明日香(ヨネックス)を相手に2−0で勝利。第2ゲームは6-14と大きくリードを許す展開だったが、ここから山口は5連続ポイントなどで追いつき20-19と逆転に成功。20オールとなってからの接戦も、最後は山口が2連取して決着をつけた。
4年ぶりの優勝をねらう奥原希望(太陽ホールディングス)は、前日に元総合女王の三谷美菜津(NTT東日本)を下した大家夏稀(NTT東日本)と対戦した。試合は終始奥原ペース。「我慢比べになるかと思ったけど、相手が簡単なミスをしてくれた」と、同じタイプの相手の動きを封じて2−0で快勝。貫禄の試合運びで準決勝に進出を決めている。
同じトナミ運輸の後輩、仁平菜月との勝負に挑んだ大堀彩は、緩急をうまく使ったラリーでポイントを重ね2−0で勝利。なんなくベスト4入りを決めた。また、峰歩美(再春館製薬所)との勝負に挑んだ髙橋沙也加(日本ユニシス)も、持ち味の強打が光り2−0で快勝。試合後に「コンディションはあまりよくなかった」と語った髙橋だが、地力の高さを見せてベスト4を確保した。
明日の準決勝は山口茜と大堀彩、奥原希望と髙橋沙也加が対戦する。
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【選手コメント・注目試合】
3日目(11月28日)
2日目(11月27日)
初日(11月26日)
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記者会見(11月25日)
桃田賢斗、園田啓悟、嘉村健士のコメントはこちら
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳