8月19日より開催されている『第25回世界選手権』(スイス・バーゼル)。大会最終日の25日は、各種目の決勝が行なわれた。ここでは日本代表対決となった松本麻佑/永原和可那と福島由紀/廣田彩花の女子ダブルス決勝をレポートする。
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大会最終日、決勝の第1試合を飾った松本/永原と福島/廣田の一戦は、この日、会場がもっとも盛り上がった熱戦だった。
第1ゲームは先に攻撃のフォーメーションをつくった松本/永原が21-11。続く第2ゲームは福島と廣田も本来の動きを取り戻し、レシーブから攻撃をつくって接戦に持ち込む。福島が強烈なスマッシュを放って、22-20。
迎えたファイナルゲーム。第2ゲームを接戦の末に落としていた松本/永原だったが、「1本1本が楽しかった」(永原)と振り返ったように、二人の表情には笑顔があった。中盤まで2ポイントと離れない接戦。ねらいすました永原のレシーブ、またドライブ戦でポイントを重ねてリードすると、そのリードがさらに二人の思い切りのよさを呼び込んだ。
ラリーから永原がネット前へ跳び込んで得点。長いラリーにも我慢し、得点につなげた。
持ち味である上からの連続攻撃で20-15とチャンピオンシップポイント。しかし、「勝ちが見えて力が入った」という松本と永原は、明らかに動きが硬くなり、ここからミスを連発する。
そうなれば食らいつく福島/廣田も攻撃的なプレーで反撃し、20-20。さらに廣田がネット前で押し込み21―20と逆王手だ。
流れは明らかに福島と廣田に傾きつつあったが、この余裕のない場面でも、永原の笑顔は消えなかった。「開き直った」と、劣勢に思い切りのいい攻撃が復活。上からの連続攻撃、レシーブから松本がスマッシュで決めて、22-21と再びチャンピオンシップポイントを握ると、最後は永原がドロップを決めて、歓喜の瞬間を迎えた。
ミックスゾーンで記者たちから取材を受けた永原は「いつもであればスマッシュを打っていたんですけど、なぜか体が勝手に反応しました」と、また笑顔だった。
去年は勢いでの優勝だったが、今年は「この優勝に向けて1年間調整してきていたので、それが大きな違い」と松本はいう。大舞台での2連覇は、どの種目よりも厳しい五輪出場レースを戦っていく上で大きな自信になるのは、間違いない。
敗れた福島/廣田は、3年連続の銀メダル。「お互いに力を出しきれた試合だった。あと1点が取れなかったところは、こちらに運が転がってこなかった。金メダルはまだお預けなのかな、という思い」(福島)、「今日は目の前の1点、1点を取りにいくことができた。でも、そこで勝ちきれなかったのも実力だと思う」(廣田)と、すっきりとした表情で語った。
「3度目の正直」とはならなかったが、力が拮抗する強豪ペアがひしめく中、この大舞台で、3年連続で決勝へ進むことがどれだけ難しいかを考えれば、十分に称賛に値する。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原 淳