ダイハツ・ヨネックスジャパンOP(東京・武蔵野の森スポーツプラザ/Super750)の最終日となった7月28日、各種目の決勝が行なわれた。以下は、男子シングルスで2連覇を果たした桃田賢斗(NTT東日本)の優勝記者会見でのコメント。
――試合を振り返って。
「決勝の相手のクリスティ選手は、昨日までいいパフォーマンスをしていましたが、自分は疲労が溜まっている状態で不安がありました。先週のインドネシアオープンでは早く負けて自信がなくなっていましたし…。でもたくさんの応援のおかげで戦い抜くことができました」
――テレビの優勝インタビューで感極まった理由は。
「昨年は勢いでの優勝でしたが、今年は第1シードとして相手の勢いを1試合、1試合感じながらの試合でした。それら全部をしっかり跳ね返せたことがうれしかったですし、苦しいときの“桃田1本!”という応援に後押しされた思いもありました。それで泣くはずではなかったのに泣いてしまいました」
――大会中「優勝したい」と何度も強い思いを口にしていた理由は。
「平日からたくさんの方が会場に足を運んでくれて、自分が入場するときも大きな声援を送ってくれました。日本で試合をする機会があまりないので、生の試合で恩返しをしたくて今回は絶対に優勝したかったんです」
――決勝戦、1ゲーム目を振り返ると。
「クリスティ選手は1ゲームの出だしから攻めてくると思っていたんですが、思いのほか、ラリー勝負にもっていくことができました」
――全体的にはクリスティ選手のネットプレーがよかった。
「もともとネット前の球をすごく上で取ってくる選手なんです。つねに主導権を握りながら、どんどん低い展開で攻め込んでくる印象があります。今回、自分はクリスティ選手に高い位置でシャトルを取られても、しっかり後ろまで動かすことができたので、そこから攻撃されても自信を持ってレシーブできました。そこが勝因です。要所では自分もヘアピンで切り込めました」
――第2ゲーム9-8の場面でスマッシュを決めたあと、8連続得点に成功した。
「自分がリードしてから相手が攻撃してきそうな姿勢が見えたので、ここはガツンと行こうとスマッシュを打ちました。それがたまたいい場所で決まってくれたので、相手がカウンターを警戒して攻めずに慎重にくるようになりました。そこから勢いに乗ることができたと思います」
――優勝することの難しさとは。
「優勝するということは5試合をしっかり戦い抜くということ。絶対に苦しい場面が出てくるのできついのですが、先を見据えて一試合一試合を大事に戦わなければなりません。今回、強い気持ちでその苦しさを乗り越え、2連覇を達成できたことは自信になりました」
――では、“2連覇”の難しさとは。
「去年は勢いでの優勝でよくあんな簡単に5試合を戦い抜いたなと思います。でも実際は、やっぱりきつかったはずなんですよ。だから振り返ると心が折れそうな気持ちがあって、弱気になってしまう部分もありました。そこから逃げずに2連覇するといいましたが、プレッシャーのなかで自分のプレーを貫くのは難しいですね」
――来年の東京五輪で勝つのはまだ難しいと話していた理由は。
「ジャパンオープンは2連覇できましたが、先週のインドネシアオープンはSuper1000と大きい大会だったから負けてしまった部分があります。勝ちたい気持ちが強すぎて空回りしてしまいました。来年の東京オリンピックではもっとプレッシャーがかかるはずですが、いまの自分がそれを乗り越えられるかというと、まだまだ全体的に準備が足りないです」
――東京オリンピックに向けて感じたことは。
「今日は少し納得いくプレーができたので、楽しんでもらえるような試合ができました。たくさんの方に拍手をもらって気持ちがよかったです。コートの感覚もシャトルの感覚もすごくよかった。オリンピックに出ることができたら、たくさんの人に楽しんでもらえるような、恩返しできるような試合をしたいと思いました。頑張っていきたいです」
取材・構成/鈴木快美
写真/菅原 淳