5月25日から、サイデン化学アリーナ(埼玉県さいたま市)で開催中の「2019年日本ランキングサーキット」は大会最終日。各種目決勝が行なわれ、それぞれ優勝者が決まった。ここでは、女子シングルスのダイジェストと結果をお伝えしよう。
大会最終日、唯一のファイナルゲームとなった女子シングルス。社会人2年目の髙橋明日香(写真/ヨネックス)が、ふたば未来学園高校の1学年下の後輩、水井ひらり(NTT東日本)との激闘を制した。
試合序盤は完全に髙橋のペース。鍛え上げてきたフィジカルから力強く安定したショットを放ち、11−1で折り返す。しかし、ここから水井が驚異の追い上げを見せる。序盤はアウトを連発していたショットがラインをとらえはじめ、徐々に点差を詰めていく。何度も追いつかれそうになった髙橋だが、一度も追いつかせることなく踏ん張り、21−17で第1ゲームを取りきった。
ともに、まだ10代とは思えないほどパワフルかつダイナミックなプレーで、見応えのあるラリーが続く第2ゲーム。相手を振り回しては力強いスマッシュを打ち込む勝負で、主導権を握ったのは水井だった。厳しいコースをねらった髙橋のミスも目立ち、序盤からのリードを守った水井が21−14で第2ゲームを奪い返した。
ファイナルゲームは序盤から水井が飛ばして5−1とリードし、折り返しは11−9で水井。髙橋が点差を詰めて12−12でスコアが並ぶと、そこからは取っては取り返す、まさにシーソーゲームに。ラリー間はつらそうな表情や仕草を見せる二人だが、スタンドからの「明日香、一本!」「ひらり、一本!」の声に押されてシャトルを追いかけ、チャンスと見るとスマッシュを打ち込む。まったく点差が開かない終盤、18−18から水井のショットが連続してネットを越えず、ついに、20−18で髙橋がマッチポイント。スタンドからの「集中!」の声に、髙橋が何度もうなずいてスタートしたラリーの最後も、水井がネットミスしてゲームオーバー。先輩として負けられない対決を制した髙橋が、初優勝を勝ち取った。
◆結果
髙橋明日香(ヨネックス)②〔21−17、14−21、21−18〕1水井ひらり(NTT東日本)
【選手コメント】
優勝 髙橋明日香(ヨネックス)
「優勝を目標に大会に挑んだので、うれしいです。ファイナルは前半で相手にリードを許したのですが、優勝したいという気持ちが強かったので、1本1本という思いでプレーできたことで流れを引き寄せられたと思います。大会を通して振り返っても、そこで我慢をできたというのが成長した部分。対戦相手が高校の後輩で、同じB代表というのもあって、負けたくないという気持ちも強く、その気持ちを全面的に出せた試合でしたし、同時に、そう簡単にはいかないというのをあらためて感じた試合でした」
準優勝 水井ひらり(NTT東日本)
「決勝ということを意識し、試合序盤は固くなって足が動かなかったのですが、ラリーをすることを意識して動きがよくなりました。2ゲーム目は、ロブ、クリアーをしっかり飛ばすこと、また、上から打てるときはしっかり攻撃することができたと思います。(足の裏の水膨れにより)最後は痛みもあって、踏み込もうとは意識しましたが、踏み込みきれなくなってしまった。最後まで力を出しきれず、勝つチャンスもあったので、もったいなかった。大会序盤よりもプレーでは手応えがあったので、さらに精度を上げていくことが課題です」
取材・文/バドミントン・マガジン編集部、平田美穂
写真/井出秀人