5月25日から、サイデン化学アリーナ(埼玉県さいたま市)で開催中の「2019年日本ランキングサーキット」は大会最終日。各種目決勝が行なわれ、それぞれ優勝者が決まった。ここでは、男子シングルスのダイジェストと結果をお伝えしよう。
B代表対決となった男子シングルス決勝。五十嵐優(日本ユニシス)が、サウスポーの下農走(トナミ運輸)に2−0で勝利。中央大3年生だった2016年以来の優勝を勝ち取った。
五十嵐のスピードと、下農の反射神経。鋭い切れ味のスマッシュを放つ五十嵐と、重さを感じさせるスマッシュを叩き込む下農。今大会はともにパフォーマンスがいい両者、それぞれの持ち味を生かして得点を重ねていく。折り返しは11−10で五十嵐と、まさに互角の展開。しかし、ゲーム中盤から下農がミスを重ねてしまう。ロブがアウトになってゲームポイントを握られ、最後はバックドライブがネットにかかる。第1ゲームは21−17で五十嵐が奪った。
第2ゲームに入っても五十嵐のスピードは衰えない。素早くシャトルの下に入り、鋭いスマッシュでノータッチエースを決めていく。下農を前後左右に振り、あいたスペースに決め球を叩き込むラリーに、コーチ席に座る上田拓馬コーチから「いいコースだ」の声が飛ぶ。下農も天才的な反応で食らいつくが、序盤から中盤にかけてネットにかけるミスが多く、点差を離されてしまった。厳しいコースも確実に入れていく五十嵐の19点目は、クロス気味のスマッシュがノータッチエースに。下農のつなぎ球がネットにかかってマッチポイントを迎えると、最後はスマッシュから、ネット前に浅く返ってきたところをバックプッシュ。会心のラリーで優勝を決め、雄叫びをあげた。
◆結果
五十嵐優(日本ユニシス)②〔21−17、21−12〕0下農走(トナミ運輸)
【選手コメント】
優勝 五十嵐優(日本ユニシス)
「決勝の序盤は緊張してプレーが小さくなってしまいましたが、中盤から自分の動きがよくなってきて、コートを大きく使えたことが勝因だと思います。3年前に優勝したときはガムシャラでしたが、いまは背負うものがあって、プレッシャーもある。この大会では、自分が優勝しなければいけないという日本代表としての意地もあったので、そういったプレッシャーをはねのけて優勝できたのはよかったです。
自分は思い切りのよさと、スピードと、我慢強さが武器。最近は自分のプレーを見失いつつありましたが、今回は覚悟を持って、やると決めたことを貫き通せた。それが勝ちにつながったので、今後も自分のプレーを信じてやっていきたいです」
準優勝 下農走(トナミ運輸)
「全日本総合で対戦したとき(2回戦)は勝てたので、ネット前でプレッシャーをかけていこうと思っていました。でも、予想以上に相手もネット前を意識していて、そこに対して自分が引いてしまってミスが出たのが、1ゲーム目の最後に離された要因。2ゲーム目は切り替えようと思いましたが、全体的に引いていた自分がいたかなと思います。
初タイトルがかかっていたので…準優勝は悔しいです。でも、負けたくないと思って臨んだ古賀選手(穂/NTT東日本)にも勝ちましたし、A代表の坂井選手(一将/日本ユニシス)にも勝てたので、そこは自信にしていきたい。個人戦では、海外の小さい大会でも、国内の大会でも、まずは1回優勝することが目標です」
取材・文/バドミントン・マガジン編集部、平田美穂
写真/井出秀人