大会初日の8月7日、スーパー高校生・山口茜を擁し注目を集める勝山が、初戦の2回戦・3回戦を3-2で撃破しベスト8入りを決めた。激戦となった2試合を振り返るとともに、山口の初日終了後のコメントを紹介する。
◆初戦(2回戦)
勝山(福井) 3-2 常総学院(茨城)
第3シングルス・西江の“挽回”で白星つかむ
薄氷の勝利だった。
山口の単複2本は固かったが、計算していた朝倉みなみ/西江彩花のダブルスが20-22、18-21で敗戦。トップシングルスの川村紗瑛子も敗れ、勝負は第3シングルスまでもつれた。
そこで登場したのが、ダブルスで敗戦を喫した西江だ。期待されていたダブルスを落とし、小林陽年監督はダブルスの試合後に一喝したという。「お前が挽回しないとダメだ」。
物腰が柔らかく、試合中もしきりに笑顔を見せる小林監督だからこそ、この一喝が“効いた”のだろう。西江は気持ちを引き締めてコートに入ると、21-3で1ゲームを奪取。このとき、試合の流れはたしかに勝山に傾きかけた。
しかし、2ゲーム目から常総学院の大手綾花が調子を取り戻し、勝負はファイナルゲームへ。そのファイナルゲームは終盤まで競り合う大接戦となった。マッチポイントが行ったり来たり――まさに“手に汗握る”展開となったが、西江が最後まで攻めきって27-25で見事に制した。
「普段は気持ちが強いほうではない」と小林監督はいうが、ダブルス敗戦の悔しさを胸に奮起した西江。「気持ちが切れそうだったけど、やるしかないと思った。みんなの応援のおかげで頑張れました」。
◆3回戦
勝山(福井) 3-2 倉敷中央(岡山)
山口がシングルスで1ゲームを失うも、最後は貫録の勝利
西江の体力を鑑みて、小林監督はダブルス2つを組み替える勝負に出た。選抜ダブルス優勝の山口/鈴木咲貴のペアを崩し、第1ダブルスと第2ダブルスに振り分けたのだ。結局、白星を手にしたのは山口/朝倉のみで、続く第1シングルスは倉敷中央が勝利し勝山はあとがなくなったが、体力を温存した西江がシングルスで再び躍動。勝負を2-2のタイに戻してみせた。
しかし、この試合中、隣のコートで行なわれていた山口が第1ゲームを失うピンチ。倉敷中央の青山は、強い気持ちでねばり強く、山口の配球に食らいついていた。
「西江の試合が気になって、集中力が欠けていた」と第1ゲームを冷静に振り返った山口は、第2ゲームは「しっかりガマンしよう」と集中力を取り戻す。すると第2ゲームを危なげなく奪い返し、ファイナルは序盤から突き離して力の違いを見せた。
崖っぷちからの勝利の連続に、「やはり団体戦はみんなで勝たないといけない。選手たちはよくやってくれた」と小林監督は安堵の表情。
8日の準々決勝では、聖ウルスラ学院英智を下してコマを進めてきた、勢いのある園田学園と激突する。
■山口茜 初日コメント
「初戦は状況的にヤバいかなというのがいっぱいあったので、いままでで一番悪い成績になっちゃうのかな…と正直覚悟しました。でも、3シンの西江がしっかりガマンして勝ってくれたので、そこは自分もきっちり2本取って頑張りに応えなきゃいけないと思いました。3回戦は、最初の1ゲーム目は隣のコート(西江の試合)を気にして集中力がなくて、しっかり頑張ろうと思った頃には遅かった感じでした…。2ゲーム目前半は厳しい試合でしたけど、しっかり自分が我慢して、相手が取りに行けないところまで集中してやれたので、ファイナルもいい流れでいけたと思います。
2ゲーム目は点数がなかなか離れなくて…でも、『キツイな』って思うと体もキツくなるからガマンしてファイナルは最初から離せたので、落ち着いてできました。
最近は国際大会で、“挑戦者”というのは変わりないですが、『負けてもともと』という気持ちから『勝負できる』という気持ちに変わってきたと思います。だから、相手に『向かって行く』という気持ちよりも、『勝負できる』という気持ちでいるので、挑戦を受ける立場になっても“勝負に行く”意識でいますし、プレーで押し返すぐらいの気持ちでやっています。
今回の団体の目標は、去年と一昨年に3位に入っているので、まずは同じところに行きたい。“みんなで”頑張りたいと思います!」