9月1日に高知県南国市・高知市で開幕した「第61回全日本社会人」は、5日に各種目決勝戦までが行なわれた。ここでは各種目ダイジェスト・準決勝&決勝戦の結果をお伝えしよう。
【男子シングルス】
準決勝は上田拓馬(写真)と小野寺裕介の日本ユニシスを制した上田が、決勝戦に進出。もう一方の山からは、2年前のファイナリストである下農走(トナミ運輸)が、新鋭の渡邉航貴(日本ユニシス)を2−0で下して決勝に勝ち進んだ。
上田と下農の決勝は、上田が第1ゲーム21-18で先制。第2ゲームは20オールの大接戦から上田が先に抜け出し26-24で勝利。全日本社会人初優勝を飾った。
▼準決勝
上田拓馬(東京)②〔21−14、21−11〕0●小野寺裕介(東京)
下農走(富山)②〔21−18、21−9〕0●渡邉航貴(東京)
▼決勝
上田拓馬②〔21−18、26−24〕0●下農走
優勝:上田拓馬
「代表が出ていないとはいえ、社会人になって初タイトルなので、とりあえずよかったですし、うれしいです。今日は低い展開が多くなると思い、ドライブに対して対抗したり、かわしたりをイメージし、うまく対策をとれました」
【女子シングルス】
優勝候補の一角とされた日本A代表の川上紗恵奈(北都銀行)が、準決勝で広島ガスの下田菜都美に0−2で敗戦。漆﨑真子(山陰合同銀行)と鈴木温子(ヨネックス/写真)の準決勝は、2年前の覇者である鈴木が、ファイナルゲーム21-18で制して決勝の切符をつかんだ。
決勝戦は優勝経験のある鈴木が第1ゲーム21-11で抑えて先制ポイントをつかむ。第2ゲームは下田がくらいついて20オールの接戦となったが、ここから2連取したのは鈴木だった。ベテランが若手の挑戦を退けてV達成。2年ぶり2度目の社会人制覇を成し遂げた。
▼準決勝
下田菜都美(広島)②〔22−20、21−17〕0●川上紗恵奈(秋田)
鈴木温子(東京)②〔14−21、21−12、21−18〕1●漆﨑真子(島根)
▼決勝
鈴木温子②〔21−11、22−20〕0●下田菜都美
優勝:鈴木温子
「勢いのある若い相手に対して、ここのところ勝てていなかったんですか、なんとか久しぶりに優勝できました。ただ、相手に対するリスペクトとは別に、できれば橋本(由衣、準々決勝で途中キケン)と決勝で当たりたかったですね。ほかの同学年も含め、私を引き上げてくれたライバルでもありますし、彼女とも『決勝でやりたいね』と話していましたから。早くケガを治してほしいです」
【男子ダブルス】
男子ダブルスの決勝戦に勝ち進んだのは、トナミ運輸の保木卓朗(写真右)/小林優吾と金子真大/久保田友之祐。日本A代表として、先輩として負けられない保木/小林は、第1ゲームを21-12で先制すると、第2ゲームも後輩ペアを10本に抑えて貫禄勝ち。3年ぶり2度目の優勝をつかんだ。
▼準決勝
保木卓朗/小林優吾(富山)②〔21−18、21−17〕0●竹内義憲/松居圭一郎(神奈川)
金子真大/久保田友之祐(富山)②〔21−17、21−16〕0●山田和司/渡邊達哉(熊本/富山)
▼決勝
保木卓朗/小林優吾②〔21−12、21−10〕0●金子真大/久保田友之祐
優勝:保木卓朗/小林優吾
小林「後輩との対戦でプレッシャーがないこともなかったですが、代表として役割を果たせて、ホッとしています。疲れもとくになく、むしろいろいろな相手と対戦して、いい経験になりました。相手は高卒1年目、ミスの多さとか(笑)、自分たちも1年目はそうだったよなぁと思い出しましたね」
【女子ダブルス】
決勝に勝ち進んだのは、社会人1年目の加藤美幸/柏原みき(ACT SAIKYO)を2−0で下した東野有紗/中西貴映(日本ユニシス)と、前回優勝を果たしている志田千陽(写真左)/松山奈未(再春館製薬所)。決勝は第1ゲームを21-16で制した志田/松山が、第2ゲームも主導権を握って東野/中西を11本に抑え勝利。昨年に続き社会人王者に輝いた。
▼準決勝
東野有紗/中西貴映(東京)②〔21−10、21−17〕0●加藤美幸/柏原みき(山口)
志田千陽/松山奈未(熊本)②〔22−20、21−15〕0●本田恵利奈/清水望(茨城)
▼決勝
志田千陽/松山奈未②〔21−16、21−11〕0●東野有紗/中西貴映
優勝:志田千陽/松山奈未
松山「試合が続いてきつかったんですが、コートに入ると体がもつものだなぁ、と思いました(笑)。去年の優勝は勢いだけでいった感じですが、フィジカル面など、去年より少しは余裕ができました。2人で話しながらプレーすることが増えてきたのも成長だと思います」
【混合ダブルス】
昨年の全日本総合準優勝の小林優吾/志田千陽(トナミ運輸/再春館製薬所)は、準決勝で井上拓斗/岩永鈴(日本ユニシス)をファイナル勝負の末に退けて決勝に進出。もう一方の山では、日本B代表の浦井唯行/宮浦玲奈(丸杉/ヨネックス)との接戦をモノにした久保田友之祐/松山奈未(トナミ運輸/再春館製薬所)が、頂上決戦に進んだ。
決勝戦は小林/志田が第1ゲームを12本、第2ゲームを14本に抑えて優勝。小林は男子ダブルス、志田は女子ダブルスと合わせて2冠を達成している。
▼準決勝
小林優吾/志田千陽(富山/熊本)②〔21−15、15−21、21−18〕1●井上拓斗/岩永鈴(東京)
久保田友之祐/松山奈未(富山/熊本)②〔21−17、24−22〕0●浦井唯行/宮浦玲奈(岐阜/東京)
▼決勝
小林優吾/志田千陽②〔21−12、21−14〕0●久保田友之祐/松山奈未
優勝: 小林優吾/志田千陽
志田「(決勝での松山との対戦は)イヤだなぁ、と思いました(笑)。前衛で強いし…。ただ小林さんがパワーもスピードもあり、カバーしてくれるので、安心してプレーできました。とにかく足を引っ張らないようにしただけです(笑)」
取材/楊順行
文/バドミントン・マガジン編集部
写真/江見洋子