バドミントンにおいて、ラケットはプレーヤーの「手」と同じ役割を果たすといっていい。
そのラケットのなかでも「グリップ」は、選手によってテープの素材や巻き方が異なり、
独自性が出やすい部分だ。ここでは、トップ選手のグリップへの「こだわり」に迫る。
[連載] Vol.2 末綱聡子(再春館製薬所)
すえつな・さとこ◎1981年1月30日生まれ、大分県出身。
城東中―昭和女子高―NEC九州(当時。その後、ルネサスとなり、今年から再春館製薬所に移管)。168㎝59㎏、右利き、B型。
前田美順とのペアで08年北京五輪4位、11年世界選手権3位、12年ロンドン五輪出場など日本の女子ダブルスをけん引。今年から再春館製薬所のコーチ兼選手を務める。
「グリップテープは、黄色と白が一番しっくりきます」
――ラケットは何を使っていますか。
『CARBONEX35』(ヨネックス)です。一度途中で変えたことがありますが、もう5~6年は使っていますね。“卵型”のフレームが好きで、スポットが狭いんですけど、そのぶん自分の思ったところにしっかり当たるんです。いまは(フレームが)四角のものが増えてきていますが、どうしても使いづらいところがあって。
――グリップにはどういうこだわりがあるんでしょうか。
なるべく細いのが好きで、もともと貼ってある黒いテープをはがして、アンダーラップを巻いて、自分の好みの細さにグリップテープを巻いています。もともと貼ってある状態でも大丈夫なんですけど、気持ちを変えるというか、自分の感覚で張り替えたほうがいいかな、と。
――グリップテープはウエットですね。
タオルグリップはほとんど使ったことがないです。何度かちょっとだけ使ったことはあるんですけど…ダメですね(苦笑)。すべります。それがいいという人もいるんですけど、自分はダメでした。
――テープの巻き方にこだわりは?
とくにないんですが、(グリップの)下のほうがちょっと太くなるようにしています。太くしたほうが手にフィットするので。あとはテープを巻いていくときに、グリップの地の部分が見えないように、間隔を空けないようにはしています。デコボコ感が出て、握ったときの感覚が少し違ってくるので。
――テープの色は黄色ですが。
そうですね、黄色が多いですね。あとは白も結構好きです。自分のなかでは黄色と白が一番しっくりくるかな。色としては、オレンジも好きなんですけど、テープを巻いているときに伸びないというか…。巻くときにテープをある程度引っ張りながら巻くんですけど、そのときの伸びがオレンジはちょっとないかなって感じるんです。たぶん、色によって伸び方に違いはなくて、あくまで自分の感覚なんですけど(苦笑)。
――テープの張り替えのタイミングは?
どちらかというと、使い込んだくらいが手の形に合うというか、ちょうど手になじむんです。なので、ボロボロになっているくらいが、自分のなかではいいですね。3カ月とか変えないときもあります。汚いんですが(苦笑)。
昔は、試合の前に替えていました。新しいグリップは手に吸い付くような感じがして、昔はそれがよかったんです。でも、最近では手にくっつきすぎるとラケットが回らなくて、持ち替えがうまくいかなったりして。練習のときに替えて、使い込んだもので試合に出たりしています。
――グリップの感覚はやはり大事だと思いますか。
思います。ホント、手の一部というか。ラケットを使った競技で、自分の思ったようにコントロールしないといけないので、グリップの太さやラケットの重さはとても大事だと思います。
(構成/バドミントン・マガジン)