まさに夢の競演だ。林丹(中国)、リー・チョンウェイ(マレーシア)、ピーター・ゲード(デンマーク)、タウフィック・ヒダヤット(インドネシア)。スーパースターが立ち上げた「レジェンド・ビジョン」が日本初上陸。競技の世界的な人気を高めようと4人が各国をめぐるこの活動は、2015年からヨネックスのサポートで行なわれ、各地で喝さいを浴びている。
9月10日、会場となった町田市立総合体育館の照明が落ちると、客席を埋めた約3,200人の観客から早くも歓声があがる。そこへいきなりサプライズ。世界女王・奥原希望ら日本代表が高度な基礎打ちを披露して熱気が高まる。
次はいよいよレジェンドたちだ。デンマークの永遠の貴公子、ゲードがラケットを掲げて現れる。照れたような笑みを浮かべてインドネシアの至宝、タフィーが入場。「キング・オブ・バドミントン」、中国の林丹が堂々とした足取りでファンとハイタッチすれば、マレーシアの英雄、チョンウェイがクールに登場。今回加わった韓国のスター、李龍大は優しい笑顔だ。
幕開けは子どもたちとの特別クリニック。一人ひとりに声をかけるピーター・ゲードは「みんないい目をしている」と笑った。続いてパラバド選手たちとペアを組んでのダブルス。この日直前に行なわれたパラ国際大会の優勝者・藤原大輔と組んだチョンウェイは、「たくさんのことを学べた。感謝します」とパートナーの肩を抱いた。
盛り上がったのは林丹/チョンウェイ対ゲード/タフィーの対戦。インドネシアと韓国ダブルスの名手だった、レキシ―・マイナキー、柳延星も加わり、3対3で高速ラリー。前衛に入ったタフィーとチョンウェイがラリー中に入れ替わって沸かせる。さらには今年のインターハイ王者・大林拓真(埼玉栄)と林丹の対戦。そして最後、林丹対チョンウェイの11点マッチでは、ネット前での芸術的な球さばきに観客からため息がもれた。
贅沢すぎる2時間半。バドミントンの楽しさを新たに伝えたレジェンドは、一様に満足そうな表情を浮かべた。日本再訪の日が今から待ち遠しい。
取材・文/江國晴子