明日5日からバドミントン国内最高峰のリーグ戦である『S/Jリーグ』が開幕する。ここでは、バドミントン・マガジン11月号で掲載された女子リーグの展望を紹介しよう。
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日本ユニシスが2年ぶり4度目の優勝をアベックVで飾った15年シーズン。今季は、昨年の上位2チームが頭一つ抜けている感はあるものの、中位のチームも着実に力をつけてきており、気の抜けない3カ月となりそうだ。
優勝候補の本命は、やはり日本ユニシスだろう。チームの大黒柱・髙橋礼/松友と、単の奥原希望という単複に五輪メダリストをそろえる布陣に隙はない。また、多くのチームが課題とする第2複も、リオ五輪混合複8強の栗原文音をはじめ、14年総合複2位の篠谷菜留や若手の東野有紗などを自在に組める強みがあり、他チームにとっては脅威となる。
ユニシスに迫りたいのが、昨季2位の再春館製薬所だ。チームの強みは、14年総合複優勝の福万/與猶、昨季5勝を挙げた福島/廣田とダブルス2本が確立されていること。加えて、北京、ロンドンと五輪に2大会連続で出場した前田美順もいる。単もリオ五輪8強の山口茜に、今年のランキングサーキットを制した峰歩美など層が厚い。再春館製薬所としての初優勝に向け視界は悪くない。
そして、優勝争いに加わりたいのが、14年の覇者・NTT東日本。13年総合単優勝の三谷美菜津と、12、14 年社会人単優勝の橋本由衣の実績ある2人がそろう単がチームをけん引する。ここでの勝利を、新玉/渡邉と川島/尾﨑を中心としたダブルス陣がどれだけチームの勝ち星につなげていけるかで、順位が大きく変わりそうだ。
また、昨季の4位以下を見ると、初のAクラス入りを果たした北都銀行はダブルスに米元/田中と松本/永原、シングルスに川上紗恵奈という若手中心の構成ながら、ナショナルB代表選手が名を連ねる。爆発力を見せれば、昨年より順位を上げることも可能だ。
昨季5位のヨネックスは、ロンドン五輪代表の佐藤冴香に総合単を2度制した今別府香里など、シングルスは上位陣にも引けを取らない。ナショナルA代表の内藤真実を中心としたダブルス陣が、順位を左右するカギになりそうだ。
そのほか、昨季、1部リーグ参戦1年目で6位に入ったACT SAIKYOは、15年高校選抜単優勝の齋藤栞が新人として、16年IH複優勝の川島美南が内定として加わるなど、強化が進む。13年世界選手権16強の江藤理恵やロンドン五輪複8強の程チェン文ウェン欣シ ンら、強力なダブルスを要する岐阜トリッキーパンダースも侮れない。トップカテゴリー初参戦の山陰合同銀行も、1部リーグでの経験もある久後/横山や15年社会人単2位の漆﨑真子など1年目から勝負できるメンバーがそろっている。
中盤戦から優勝争いが激化
北海道札幌市で行なわれる11月5、6日の開幕節での注目は、日本ユニシスや再春館製薬所といった上位陣の初戦もさることながら、この2日間でヨネックス、日本ユニシスと強敵との連戦となる北都銀行の戦いぶりだろう。昨年初のAクラス入りを果たし、若手の成長次第ではさらに上位をねらえるチームだけに、重要な試合となる。
また、ACT SAIKYOと山陰合同銀行の新旧トップカテゴリー昇格組の対戦にも注目だ。年内開催の序盤戦の中では、12月23日の石川大会でNTT東日本とヨネックスという優勝経験のあるチーム同士の対戦が見逃せない。
年明けからの中盤戦に目を向けると、1月の22日と29日にNTT東日本が再春館製薬所と日本ユニシスの連戦に挑むことになる。NTT東日本にとってはもちろんのこと、対戦する昨年の上位2チームも、ここを勝って最終節へと突き進めるかが優勝争いに大きく関わりそうだ。優勝争いはこの辺りから本格化してくるだろう。
そして、最終節の東京大会では、日本ユニシスと再春館製薬所の対戦が組まれている。ともにここまでのシーズンを順調に勝ち進んでいれば、S/Jリーグ初代女王の座をかけた大一番になる。また、NTT東日本と北都銀行の対戦なども、上位の順位を争う戦いになることが予想される。
■過去3大会の結果(日本リーグ1部)
◆2015年
1位 日本ユニシス
2位 再春館製薬所
3位 NTT東日本
4位 北都銀行
5位 ヨネックス
6位 ACT SAIKYO
7位 岐阜トリッキーパンダース
8位 広島ガス
◆2014年
1位 NTT東日本
2位 日本ユニシス
3位 ルネサス
4位 ヨネックス
5位 北都銀行
6位 岐阜トリッキーパンダース
7位 広島ガス
8位 七十七銀行
◆2013年
1位 日本ユニシス
2位 ルネサス
3位 NTT東日本
4位 ヨネックス
5位 岐阜トリッキーパンダース
6位 広島ガス
7位 北都銀行
8位 七十七銀行
文/吉井信行(バドミントン・マガジン11月号・P38-39)