堅実なレシーブもデンマークペアの特徴
もちろん、世界を勝ち抜く理由は攻撃だけではない。このデンマークペアには堅いディフェンス力も備わっており、それも強さの理由にはヨーロッパのバドミントン文化が関わっている。
欧州では男女がペアを組んで同じコート、同じルールで戦う、混合ダブルスが人気種目とされている。女子選手は男子選手のスマッシュを受けなければならず、また、主にネット近くに立ってプレーするため(前衛の役割)ヘアピン、プッシュなど繊細な技術が求められる。女子ダブルスに比べれば、試合のスピード感も大いに違ってくる。
リターユール/ペデルセンは混合ダブルスを経験しており(ペデルセンは混合でも世界ランク4位)、男子の強烈なスマッシュにも慣れている。前述した通り、トップ選手であれば直線的に速いスマッシュであれば、レシーブできる力が十分ある。欧州選手はこれまで攻守のバランスに偏りがある傾向が強かったが、リターユール/ペデルセンは攻守ともに大きな穴がないのが強みといえよう。
多彩な攻撃でプレッシャーをかける
このデンマークペアと髙橋/松友は対戦することになるが、日本ペアの勝機はもちろんある。これまでの対戦成績を見ても7勝4敗と勝ち越しており、特段苦手意識を持っているわけでもない。最近では5月の世界国別対抗戦・ユーバー杯の準々決勝で対戦しており、このときは23−21、21−16でタカマツが勝利をあげている。戦う状況も心境も、普段の大会とは異なるのがオリンピックの舞台。しかし、このデータが示す数字もきっと2人の追い風となる。
また、前回コラム「タカマツの強さの理由を紐解く」でも紹介した通り、タカマツの攻撃バリエーションは多彩だ。強打もあれば、相手の意表をつく攻撃パターンもある。今大会では攻撃型の韓国ペアをレシーブで抑え、勝利をつかみとってきた。デンマークペアの特徴にも負けない戦術や技術を日本ペアは擁しており、また、彼女たちにはこれまでスーパーシリーズで中国選手を打ち破りつかんだ「優勝」の成功体験が豊富だ。
以前は“大舞台で勝てない”というマイナスイメージを持たれていたが、今年は格式の高い全英オープンで優勝し、その声を払拭した。そして何より、世界ランク1位の重圧を押しのけて決勝のセンターコートに立つ事実こそが、2人にとって大きな自信となるはずだ。
それは、五輪準決勝後の2人の言葉からも感じ取れる。
「世界ランク1位のプレッシャーもいまはない。適度な緊張のなかでいいプレーができています」(髙橋)
「中国やデンマークの選手と試合がしたくていままで練習してきた。決勝も強い選手との本気の試合を楽しみたいです」(松友)
女子ダブルスの決勝戦は、本日18日の夜23:50を予定している。金メダルをめざすタカマツにとって、相手に不足はない。真っ向勝負で、表彰台の一番上をねらってほしい。