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【大会レポート】関東1都7県の公立高校の選手が団体戦と個人戦ダブルスで熱戦!

2024年12月21、22日および26、27日の4日間、『令和6年度関東公立高等学校バドミントン大会(第4回東京大会)』が東京都八王子市、町田市、墨田区で開催された。この大会は、関東大会出場や関東ベスト8をめざす公立高校が出場する大会で、関東の公立高校の頂点を決めるとともに、関東大会やインターハイ予選に向けて競技力やモチベーションの向上を図ることを目的に、関東の公立高校の教員有志が中心となって、令和3年度にスタート。今年は、これまでの学校対抗だけではなく、個人対抗ダブルスを実施した。

現在、関東1都7県は、中学校で活躍した選手が県内外の強豪私立高校に入学する傾向が強く、地元の選手だけで戦う公立高校は苦しい状況が続いている。そんな中でも、地元の公立高校から関東の上位や全国をめざす学校もあり、そうした選手やスタッフのモチベーションアップにつなげたいという関係者の思いで運営されている。

学校対抗は、男子は浦和北高(埼玉)、女子は川崎総合科学高(神奈川)が2連覇を達成。男子優勝の浦和北高の小島洸翔主将は「前回の先輩たちに続いて優勝できて、うれしい。自分の試合は負けてしまったが、チームメートが勝ってくれたおかげで団体として勝つことができた。4月の関東大会予選も、チーム全員で最後まで戦い切って、笑顔で終われるように練習していきたい」。女子を制した川崎総合科学高の井澤璃音主将は「昨年度に続き優勝できて、とてもうれしい。少しプレッシャーもあったが、みんなで力を合わせて勝ち切れた。今後は、私立に食らいつけるように努力したい」と話した。

男子学校対抗優勝の浦和北
女子学校対抗優勝の川崎総合科学

今年度から実施の個人戦では、男子は岡村陽/徳山彩豊(川崎総合科学2年)、女子は井澤璃音/飯島槙(川崎総合科学1年)が優勝。岡村/徳山は団体戦ベスト8だったが、二人のダブルスでは全勝しており「団体戦はよくない結果だったけど、個人戦で団体戦のぶんも取り返したいと思っていた。これを通過点として、大会で見えた課題を練習して、インターハイにいけるようにしたい」と話した。また、2冠を達成した井澤/飯島は、「目標としていた優勝をすることができて、とてもうれしく、自信になった。この自信を糧に、関東大会やインターハイで一つでも多く勝てるように励みたい」と今後を見据えていた。

男子ダブルス優勝の岡村陽/徳山彩豊(川崎総合科学)
女子ダブルス優勝の井澤璃音/飯島槙(川崎総合科学)

もちろん、優勝したペアだけでなく、出場した多くの選手にとって新たな課題やモチベーションを得た大会となったようだ。成田北高(千葉)の佐々木啓人/小泉京平は、個人戦のみの出場だったが、3回戦進出でベスト32入り。二人は「初めて関東公立高校大会に出場し、他県の公立高校のスキルが高いことに驚いたし、すごく刺激を受けた。その差を埋めるために、日々の練習にさらに力を入れていきたい」と話していた。男子団体でベスト8入りを逃した城東高(東東京)の平野真咲/長田空は、個人戦ではベスト4入り。3位決定戦で惜しくも競り負けたが、「団体では思うような結果にならなかったが、その悔しさを糧に個人戦に臨み、入賞できた。さらに成長して、関東大会やインターハイの出場を目指して頑張りたい」と意気込んだ。

また、男子ダブルス2位となった相模原弥栄高(神奈川)の山﨑勇(パートナーは髙野陽色)は、中学3年時の夏の大会では県ベスト8だったが、高校での最高成績は県2位。山﨑は「現在、公立校の生徒が県大会の上位に食い込むことは少なく、自分も高校入学前は県で上位に入るのは難しいと思っていたが、努力すれば公立でも関係なく上位に入れると感じた」と話し、公立高校で頑張りたい中学生にエールを送った。

この大会に毎年出場している小岩高(東東京)の安部裕通監督は「秋の公式戦後、冬場はトレーニングや地味な練習を継続的にやっていく中で、生徒たちにとってモチベーションを高く臨める機会になっている」と大会について語り、「試合の中で、生徒たちは自身の目標や課題を再確認することができた」と手応えを口にした。また、大会実行委員会の山田裕紹総務委員(千葉県高校勤務)は、「この大会は、関東大会の出場枠を私立が占める千葉県にとって、公立高校が千葉県代表として出場できる貴重な大会。大会のレベルが年々上がり、勝ち上がるのが難しくなっているが、公立校の選手たちが夢を持ち、夢をかなえるための大会としてあり続けていきたい」と、大会の意義を語った。

【男子学校対抗】

優勝   浦和北(埼玉)

準優勝  大宮東(埼玉)

3位     鬼怒商業(茨城)

4位     桐生商(群馬)

ベスト8   川崎総合科学(神奈川)、甲府商業(山梨)、小岩(東東京)、市立太田(群馬)

【女子学校対抗】

優勝   川崎総合科学(神奈川)

準優勝  浦和北(埼玉)

3位     市立太田(群馬)

4位     小岩(東東京)

ベスト8   鴻巣(埼玉)、大宮東(埼玉)、宇都宮中央(栃木)、相模原弥栄(神奈川)

【男子ダブルス】

優勝   岡村陽/徳山彩豊(川崎総合科学)

準優勝  山﨑勇/髙野陽色(相模原弥栄)

ベスト4   山田煌久/磯貝蓮太(宇都宮南)、平野真咲/長田空(城東)

【女子ダブルス】

優勝   井澤璃音/飯島槙(川崎総合科学)

準優勝  酒井玲菜/若林桜(川崎総合科学)

ベスト4   山本凛華/安井葵(市立千葉)、榎本涼楓/岡島小遥(大宮東)

 

小島治哉(埼玉県高校勤務)大会委員長のコメント

中学のときに上位大会を経験したことのない生徒たちが、本気で上位大会をめざしたいと思えるような環境づくりや雰囲気づくりにこだわって準備を進めました。特に、新人戦で県ベスト8やベスト16といった成績を収め、関東大会まであと一歩といった学校の選手が、春に向かって、いかにモチベーションを上げていけるか。そういった仕掛けが大人としてできることだと考えました。開会式では、優勝杯返還や選手宣誓などを行なったほか、佐賀インターハイの演出を参考に、映像を使用した出場校紹介を行なったところ「インターハイみたいですごかった」と、出場校からとても好評でした。また、審判の本格的な導入、選手のIDカードや出場校のプラカードを製作するなど、上位大会の雰囲気にできる限り近付けました。

このような本格的な運営ができたのも、審判をしていただいた学校、本部運営をしていただいた学校、プラカードを製作していただいた学校、大会に協力してくださった都立高校放送部・写真部の皆様の多大なるご協力があってこそで、本当に感謝したいです。

第4回大会では、初参加の学校も多かったですが、都県の垣根を越えて、公立高校同士で切磋琢磨しながら関東大会や全国大会をめざしていこうという思いが共有できたのではないかと感じています。最近では、大会の位置づけが確立されつつあり、「県ベスト8に入れば関東公立につながる」など、選手の間でも意識されるようになってきました。今後も、公立高校で頑張る選手のモチベーション向上のために、スタッフ一同で頑張っていきたいと思います。

レポート/関東公立高等学校バドミントン大会実行委員会

写真/都立武蔵村山高等学校写真部、安達健一、池松真澄

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