日本の頂点をかけて争われる第78回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)。大会最終日の12月30日は、各種目の決勝が行なわれた。ここでは、男子シングルスのダイジェストを紹介する。
【男子シングルス】
決勝の舞台に立ったのは、3年ぶり2回目の総合優勝に王手をかけた田中湧士と、初優勝に挑む武井凜生。NTT東日本で切磋琢磨する2人は学年こそ違うが、2022年に一緒に入部した同期だ。それぞれの思いを胸に、センターコートで激突した。
第1ゲーム、先行したのは武井(上写真)だ。「ある程度プラン通りにできた」と、11-6のリードで折り返す。中盤は、互いに持ち味の攻撃を出すタイミングを見計らいながらのラリーとなったが、ここでペースをつかんだのは田中。「スマッシュ以外の選択肢を取るというのを、自分の中では意識した」と、我慢強く武井のアタックを返しながら、要所でスマッシュを叩き込む。10-14から8連続得点で逆転に成功した田中が、そのまま押し切り21-19で第1ゲームを先取した。
第2ゲームに入ると、再び我慢勝負の展開に。どちらもスピードのメリハリをつけながら、相手のミスを誘うラリーが続き9オール。すると、ここから田中が一気にスピードを上げる。ねばる武井を左右に揺さぶり5連続得点。「我慢しきれず、自分が先にアウトに出したり、仕掛けてミスをしてしまった」と武井が振り返るように、後半も安定したフットワークとねばり強さが光った田中がリードを守り、最後は21-17で勝利。「打てるとこもあえて打たず、ラリーで我慢することができた」という田中が、再び日本一の称号をつかんだ。
▼決勝戦(12月30日)
田中湧士(NTT東日本)②〔21−19、21−17〕0●武井凜生(NTT東日本)
取材/バドミントン・マガジン編集部、吉井信行、平野貴也、楊順行
写真/井出秀人