日本の頂点をかけて争われる第78回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)。大会最終日の12月30日は、各種目の決勝戦が行なわれた。ここでは、男子ダブルスのダイジェストを紹介する。
【男子ダブルス】
5月の日本ランキングサーキット、9月の全日本社会人を制した山下恭平(上写真・左)/緑川大輝(NTT東日本)が、霜上雄一/野村拓海(日立情報通信エンジニアリング)に2−0で勝利。混合ダブルスで優勝経験のある2人が、男子ダブルスを初制覇した。
混合ダブルスで代表入りしてきた山下と緑川は、男子ダブルスでの代表入りが目標であると公言。B代表ペアの霜上/野村が、「相手のほうが球出しがよくて、自分たちのやりたいプレーをやっていた」(霜上)と振り返ったように、第1ゲーム序盤から気合十分で攻めまくる。
どちらも身長は高くないが、驚異的な身体能力を誇り、高く跳んで角度あるジャンプスマッシュを連発。また、守りの場面からでも積極的にチャンスをうかがい、ラケットを立てて押し込みながら前に出ていった。
すると、山下/緑川の攻撃に押し込まれる野村/霜上(上写真・右)が、ラリーの最後にアウトを連発するなどして、一時は1−8とリードを許す。そこから、野村の強烈なクロススマッシュ、霜上の素早いネットプレーなど得意のカタチで立て直し、中盤以降は1点差まで詰め寄った。しかし、「追いつかれそうになったところで我慢できた」と山下。いいカタチで点を取られた次のラリーは、お返しとばかりに強烈なショットを打ち込んで取り返す。第1ゲームは山下/緑川が一度もリードを許さず、21−17で奪った。
第2ゲームに入っても、山下(上写真・左)/緑川の勢いは止まらない。「自分が前に入って、(山下)恭平さんが後ろというカタチを最後までつくれた」と緑川。連続スマッシュを放ち、レシーブでも前へ前へと行けるのは、お互いに混合ダブルスで培ったカバー力があるから。「攻めるところで攻められたけど、先に前に出てこられてちょっと引いてしまった部分がある」(野村)という霜上/野村は、流れをつかむことができない。霜上がメディカルを要求して太もも付近にスプレーをかける場面もあり、フルパワーで攻めてくる山下/緑川が点差を離していく。
霜上/野村は、野村の強烈なスマッシュやドライブ戦などでいい攻撃も見せたが、中盤以降はサービスまわりでもミスが重なった。最後は、野村がサービスリターンをネットにかけて、21−11でゲームオーバー。山下/緑川が、念願だった男子ダブルスでの総合優勝を果たした。
これで国内タイトル三冠を達成した山下/緑川。今後については、「二人でオリンピックをめざして頑張りたい。上にはホキコバ(保木卓朗/小林優吾)ペアがいるので、追いつけるように、追い越せるように頑張っていきたい」(緑川)。混合ダブルスで世界を知る二人が、新たな挑戦のスタートラインに立った。
▼決勝(12月30日)
山下恭平/緑川大輝(NTT東日本)②〔21−17、21−11〕0●霜上雄一/野村拓海(日立情報通信エンジニアリング)
取材/バドミントン・マガジン編集部、吉井信行、平野貴也、楊順行
写真/井出秀人