日本の頂点をかけて争われる第78回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)。大会4日目は、各種目の準々決勝が行なわれた。ここでは、混合ダブルスのダイジェストを紹介する。
【混合ダブルス】
新たなペア対決として注目を集めた、渡辺勇大/田口真彩(BIPROGY/ACT SAIKYO)と、古賀輝(上写真・右)/福島由紀(NTT東日本/岐阜Bluvic)の対決。男女ダブルスA代表として活躍してきた古賀/福島が、2−0で制した。ストレートでの決着といっても、スコアは23−21、24−22。1時間を超える激闘だった。
初戦から調子を上げてきた19歳の田口が、序盤から積極的なプレーを披露。「田口選手の前衛の思い切りがよくて、プレッシャーを感じた」と古賀。前日まではシャトルを大事にさわるようなシーンが目立った田口が、ネット前からしっかりラケットを振って強く打ち込み、拳を握って声をあげた。
対する古賀/福島には、世界レベルの技術がある。特にレシーブは鉄壁で、渡辺の強打もクロスレシーブで返し、左左ペアの渡辺/田口を何度も崩していく。渡辺/田口の攻撃力も光ったが、渡辺が上から放つショットにいつもよりミスが出るなど、流れに乗りきれなかった。それでも、気落ちすることなく第2ゲームも積極的にプレー。「個人能力がすごく長けている選手たち」と渡辺が讃えるほどの相手と、最後まで互角に戦った。23−22、古賀/福島のマッチポイントは、フォア奥に回された福島に、古賀が「行けるよ!」と声をかけ、福島がクロススマッシュ。田口が返しきれず、ゲームオーバーとなった。福島は午後に行われた女子ダブルス準々決勝でも勝ち、2種目でベスト4入りを果たした。
準決勝で古賀/福島と対戦するのは、B代表ペアの西大輝/佐藤灯(龍谷大/ACT SAIKYO)。5月の日本ランキングサーキットで負けている下農走/大澤陽奈(金沢学院クラブ/ACT SAIKYO)に、ストレート勝ち。「どうしてもリベンジしたい気持ちが大きかった。今日は戦略的に勝てたかなと思う」(西)、「相手の女子より前でさわって、西に上から打たせるパターンを多くつくれば絶対取れると思っていた」(佐藤)と、しっかり対策を立てての見事な勝利だった。大学生の西は、男子ダブルスと2種目でベスト4入りを果たしている。
この日、一番乗りでベスト4進出を決めたのは、唯一のA代表ペア、緑川大輝(上写真・左)/齋藤夏(NTT東日本/ACT SAIKYO)。西川裕次郎/今井優歩(滋賀県スポーツ協会/YAMATO奈良)に、2−1で勝利した。元NTT東日本の西川は、緑川にとって先輩にあたり、齋藤と今井は女子ダブルスでペアを組む。お互いやりづらさがあるだろう中、今大会はスロースタートが目につく緑川/齋藤が、第1ゲームを14本で先取。第2ゲームを西川/今井が17本で取り返し、勝負はファイナルゲームへ。終盤まで競り合う展開を、緑川/齋藤が21−18で勝ちきった。緑川は男子ダブルスでも準決勝進出を果たしている。
緑川/齋藤の準決勝の相手は、緑川と同じチームの柴田一樹/篠谷菜留(NTT東日本)。B代表ペアの霜上雄一/保原彩夏(日立情報通信エンジニアリング/ヨネックス)に、ファイナルゲーム、78分の激闘を経て勝利した。男子ダブルスB代表の柴田が長身からジャンプスマッシュを打ち込み、混合ダブルスA代表としてプレーしてきた篠谷が速いタッチで勝負する。柴田にとって、緑川と齋藤は埼玉栄高の後輩だが、「相手は世界の上でやっているプレーヤー。僕はそういう選手ではないので、スマッシュを思いきり、いっぱい打ち込めたらいいかなと。自分のプレーを出して暴れるだけ」。昨年、山下恭平(NTT東日本)とのペアで初優勝を遂げて涙を流した篠谷は、「いま、ミックスは楽しくやる種目。去年まではそんなわけにいかなかったけど、今年は楽しく、やってきたこと、やれることを出していきたい」。力みのない二人が、準決勝のコートでも暴れそうだ。
準々決勝の結果と準決勝の組み合わせは、以下の通り。
▼準々決勝(12月28日)
緑川大輝/齋藤夏(NTT東日本/ACT SAIKYO)②〔21−14、17−21、21−18〕1●西川裕次郎/今井優歩(滋賀県スポーツ協会/YAMATO奈良)
柴田一樹/篠谷菜留(NTT東日本)②〔18−21、21−13、21−18〕1●霜上雄一/保原彩夏(日立情報通信エンジニアリング/ヨネックス)
西大輝/佐藤灯(龍谷大/ACT SAIKYO)②〔21−10、21−14〕0●下農走/大澤陽奈(金沢学院クラブ/ACT SAIKYO)
古賀輝/福島由紀(NTT東日本/岐阜Bluvic)②〔23−21、24−22〕0●渡辺勇大/田口真彩(BIPROGY/ACT SAIKYO)
▼準決勝(12月29日)
緑川大輝/齋藤夏 − 柴田一樹/篠谷菜留
西大輝/佐藤灯 − 古賀輝/福島由紀
取材/バドミントン・マガジン編集部、吉井信行、平野貴也
写真/井出秀人