日本の頂点をかけて争われる第78回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)。大会3日目は、各種目の2回戦と女子シングルスの3回戦が行なわれた。ここでは、女子ダブルスのダイジェストを紹介する。
【女子ダブルス】
パリ五輪銅メダルながら、全日本総合の優勝がない志田千陽(上写真・左)/松山奈未(再春館製薬所)。目標は優勝と明言する二人は、須藤海妃/遠藤美羽(ヨネックス)と対戦。21−15、21−10で勝利を収めた。中盤までは点を取り合ったが、相手を削りながらチャンスをつくり、確実に仕留めていくシダマツ。「昨日は2ゲーム目が単調になり、ただ返すだけになってしまった。今日は終始、目的を持ってやろうとコートに入った」と志田。強いショットを打ち込むだけでなく、あいたスペースにシャトルを送る、相手の取りづらい位置に打ってミスを誘う、つなぎ球を読んで前でたたくなど、点を取るための豊富なバリエーションを披露。若い須藤/遠藤は、後ろからしっかり打ち込みながらついていったが、長いラリーになるとシダマツの流れだった。
ペアを組み替えて予選から出場している福島由紀(上写真・左)/松本麻佑(岐阜Bluvic/ほねごり相模原)は、インカレ準優勝の中出すみれ/田邉裕美(龍谷大)と対戦。大学生ペアは、レシーブでねばりながら果敢にネット前に出たり、ペア歴の浅い二人の真ん中にスマッシュを決めたり、明確な意図のあるラリーを展開。その挑戦を受けた福島/松本は、スピードとパワーとショット力で圧倒してストレート勝利を収めた。同じくペアを組み替えて挑んでいる櫻本絢子/五十嵐有紗(ヨネックス/BIPROGY)も、2-0で準々決勝進出を決めている。
70分を超える激闘になったのが、篠谷菜留/山北奈緖(NTT東日本)と矢﨑月子/内山真希(岐阜Bluvic)の対戦。第1ゲームは21−9で篠谷/山北、第2ゲームは21−19で矢﨑/内山が奪い、勝負はファイナルゲームへ。矢﨑/内山は、ロングレシーブで後衛を左右に走らせる展開で終盤までリード。篠谷/山北には苦しい時間が続いたが、ひるまずスマッシュを打ち込んでいく。左右に動かされ続けた山北が、フォアから渾身のクロススマッシュを放って21−20。マッチポイントのラリーは、篠谷がラケットを立ててバックサイドに押し込み、相手のドライブがネットにかかってゲームオーバー。「ここで終わりたくないという気持ちが、ちょっとだけ勝ったのかなと思う」(篠谷)、「第2ゲームからは緊張する場面しかなかったけど、緊張に勝ってやろうと思った」(山北)と長い戦いを勝ちきり、ベスト8をつかみ取った。準々決勝では福島/松本と対戦。同い年の篠谷と福島は、混合ダブルスと2種目でのベスト8入りだ。
大澤佳歩/田部真唯(BIPROGY/山陰合同銀行)は、B代表の廣上瑠依/加藤佑奈(再春館製薬所)に21−12、21−9で勝利。違う所属チームながらペアを組み、ロサンゼルス五輪への挑戦を表明している二人は気合十分。準々決勝は、代表復帰をめざしている大竹望月/髙橋美優(BIPROGY)と激突する。同じく所属チームが異なるペア、今井優歩/齋藤夏(YAMATO奈良/ACT SAIKYO)もストレート勝利。混合ダブルスA代表の齋藤とタッチの速さが光る今井は、準々決勝で志田/松山に挑む。
▼2回戦(12月27日)
志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)②〔21−15、21−10〕0●須藤海妃/遠藤美羽(ヨネックス)
今井優歩/齋藤夏(YAMATO奈良/ACT SAIKYO)②〔21−16、21−16〕0●舟橋佳歩/山口萌(レゾナック)
大澤佳歩/田部真唯(BIPROGY/山陰合同銀行)②〔21−12、21−9〕0●廣上瑠依/加藤佑奈(再春館製薬所)
大竹望月/髙橋美優(BIPROGY)②〔21−12、21−14〕0●山藤千彩/志波寿奈(広島ガス)
福島由紀/松本麻佑(岐阜Bluvic/ほねごり相模原)②〔21−11、21−15〕0●中出すみれ/田邉裕美(龍谷大)
篠谷菜留/山北奈緖(NTT東日本)②〔21−9、19−21、22−20〕1●矢﨑月子/内山真希(岐阜Bluvic)
櫻本絢子/五十嵐有紗(ヨネックス/BIPROGY)②〔21−12、21−11〕0●伊藤朱里/伊瀬友花(山陰合同銀行)
中原鈴/広瀬未來(筑波大)◯〔棄権〕●古川彩乃/重信萌夏(Cheerful鳥取/柳井商工高教職員)
▼準々決勝(12月28日)
志田千陽/松山奈未 − 今井優歩/齋藤夏
大澤佳歩/田部真唯 − 大竹望月/髙橋美優
福島由紀/松本麻佑 − 篠谷菜留/山北奈緖
櫻本絢子/五十嵐有紗 − 中原鈴/広瀬未來
取材/バドミントン・マガジン編集部、吉井信行、平野貴也
写真/井出秀人