10月11日に、大学日本一を決める第75回全日本学生選手権(インカレ/京都府京都市・長岡京市・城陽市)が開幕。今年からインカレは個人戦と団体戦の日程を分けて実施しており、先に個人戦が島津アリーナ京都で行なわれた。大会最終日の16日は、混合ダブルスを含めた5種目の決勝戦が実施された(混合ダブルスは準決勝も実施)。ここでは男子シングルスの決勝戦の結果をお伝えする。※団体戦は11月15〜17日まで、群馬県前橋市のALSOKぐんまアリーナで開催
【男子シングルス】
2年ぶりの王座返り咲きをめざす宮下怜(明治大)と、昨年優勝の藤原睦月(明治大)を準決勝で破り初の日本一をねらう増本康祐(法政大/上写真)の決勝戦。大学での対戦成績はこれまで4勝4敗の五分だ。どちらも譲れない 185センチ対188センチの“大型対決”は、パワフルでダイナミックな見応えある攻防戦となった。
昨年は3回戦で敗れて連覇に遠く届かなかった宮下(上写真)は、「あの経験があったので、この1年は負けないように、負けないようにと戦ってきた」と結果にこだわり続け、今年も関東学生選手権と東日本インカレで優勝して臨んだ今回のインカレだ。エイト決めで今越健太(早稲田大)に1ゲームを許したものの、ここまでは満点の勝ち上がりでもあった。
宮下の王座奪還への執念が見えたのが、第1ゲームの終盤だった。20-14からいったん追いつかれた上、逆に22-21で一度は増本にゲームポイントも握られたが、25-23で攻め勝った。しかし、追い込まれてから6ポイントを連取した増本の土壇場の強さに最後まで苦しめられることになる。
増本(上写真)は「気持ちは切り替えられました。1ゲーム目は無理に攻めすぎたところがあったので、相手のタイミングをはずしながら、つないでチャンスをねらうようにした」と戦術の修正を試み、それが功を奏した。第2ゲームは増本が21-10と圧倒。しかし、試合の流れは簡単には定まらない。ファイナルゲームは再びのシーソーゲームとなり、前半は宮下の11-10。後半は増本がリードして宮下がそのつど追いつく展開となった。
しかし、それも16オールまで。宮下のイージーなミスが続いたところから増本が一気に攻勢を強め、連続ポイントで畳み掛けるようにチャンピオンシップ・ポイントを握る。最後は宮下のショットがサイドラインを割るのを見届けると、コートに仰向けに倒れ込み、バドミントン人生で初めての全国制覇の味をかみしめた。
優勝
増本康祐
(法政大)
「全国タイトルは中学、高校含めて獲ったことがなかったので、気持ちはかなり入っていました。決勝で勝つ自信があったわけではないですけど、(宮下に)負けるときは、いつもあっさり負けて、競ったら自分が勝つというパターンが多かったので、ファイナルに持ち込めたときにはいけるかなと。4年生の意地というか、自分のプレーを最後までできたのがよかったと思います。
大会前は腰を痛めて2カ月くらい練習ができなくて、ほとんどぶっつけ本番という感じでした。でも、練習できない間もトレーニングはしていて、特に下半身を鍛えていたので、今日のような足がつりそうな展開でも、なんとか体がもったのはその成果だったのかなと思います」
▼決勝(10月16日)
増本康祐(法政大)②〔23−25、21−10、21−16〕1●宮下怜(明治大)
取材・文/山口奈緒美
写真/三野良介
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