ダイハツ・ジャパンオープンは、24日に横浜アリーナで各種目の準決勝を行ない、日本勢では女子シングルスの山口茜(再春館製薬所)が決勝に進出した。
パリ五輪の決勝トーナメント1回戦で破っているスパニダ・カテトン(タイ)との再戦で、第1ゲームは中盤から引き離して21-14。第2ゲームは14-11から7連続失点を喫し、14-18と苦しい展開に追い込まれたが、冷静な戦術変更で流れを変えた。
「ストレートで終わりたい気持ちもあり、自分が(積極的に)いきすぎているところもあった。2ゲームはもっていかれたかなという気持ちもあり、一回落ち着いてラリーをして、次につながる展開を探した方がいいかなと思ったら、相手が嫌がっている雰囲気だった」と振り返った山口。じわりじわりと追い上げ、18オール。最後は、1点ごとに会場から後押しの拍手や声援が起きる中、22-20で勝ち切った。
体力面の不安もあるため、「ストレートで勝ち切れてホッとした」と話した山口は、カメラマンのリクエストに応え、はにかみながら、ピースサイン。試合後は「今日は、出だしから、観客の方から盛り上げてもらっている感覚があった。最後は、会場のお客さんも、あっ、やばいなという雰囲気で、拍手も起きて、応援してくれて(追いつかれる展開だったので)意図せずにですけど、盛り上がるような展開になって、よかったかなと思います」と苦笑いを浮かべながら、観客の後押しに感謝を示した。
もう一方の準決勝は、ヒザを痛めていた戴資穎(台湾)が棄権したため、ブサナン・ンバルンパン(タイ)が不戦勝で勝ち上がった。山口は、勝てば4度目の優勝。初代女王の李玲蔚(中国)が持つ最多優勝記録に並ぶ。
女子ダブルスの中西貴映(写真左)/岩永鈴(BIPROGY)は、世界ランク2位の李紹希/ペク・ハナ(韓国)に0-2で敗れた。
第1ゲームは、相手の連続強打を粘りの守備で返したが、点を取り切れない苦い展開で20-22。第2ゲームは、ペースを握れないまま12本で押し切られた。岩永は「最初は、こっちが100パーセントを出して互角くらいだったけど、第2ゲームは相手が慣れて、それよりも上のプレーをしてきた。自分たちのペースが落ちたのもあるかもしれませんが、相手が上回ってきた印象」と悔しそうな表情を浮かべた。対戦成績は6戦全敗となる悔しい敗戦だが、成長の糧になる。これまでのジャパンオープンでは早期敗退だったため、「お客さんが少ないと感じていた」と苦笑いをした中西は「たくさんのお客さんが見に来てくれて、すごくうれしかった。声を出して応援してくれる方もいて、楽しく試合ができました。また来年、強くなった姿を見せられるように頑張りたい」とステップアップのきっかけとする意欲を示した。
男子シングルスで初の4強に進出した奈良岡功大(NTT東日本)は、周天成(台湾)に0-2で敗れた。序盤は丁寧なラリーで互角に見えたが、第1ゲームの14-12から9連続失点。さらに第2ゲームの出だしで6連続失点。合計15点も続けて奪われる展開となり、試合のペースをつかめなかった。
パリ五輪の決勝トーナメント1回戦で敗れた相手との再戦だったが、突破口は見出せず、対戦成績は5連敗となった。試合後の奈良岡は「勝ち方が、全然わからないです」とお手上げだった。パリで初めての五輪挑戦を経験し、2028年ロサンゼルス五輪に向けて躍進が期待される、日本男子のエース。「4年後に向けて体を作り直したい。負けない体をつくるか、もっと動き回るか。まだまだやることは、多い。練習が必要」と出直しを誓っていた。
最終日の25日は、各種目の決勝戦が行なわれ、女子シングルスの山口は最終試合に登場する。
【男子シングルス】
▼準決勝(8月24日)
奈良岡功大●0〔14−21、16−21〕②周天成(台湾)55分
【女子シングルス】
▼準決勝(8月24日)
山口茜②〔21−14、22−20〕0●スパニダ・カテソン(タイ)44分
【女子ダブルス】
▼準決勝(8月24日)
中西貴映/岩永鈴●0〔20−22、12−21〕②李紹希/ペク・ハナ(韓国)44分
取材・文/平野貴也 構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/黒崎雅久