パリオリンピック・バドミントン競技（会場：ポルト・ドゥ・ラ・シャペル・アリーナ）に出場した日本代表選手が、熱戦の地となったフランスから帰国。8月9日に空港内で行なわれた記者会見に参加した。ここでは、記者会見後の囲み取材に応じた選手たちのコメントを紹介する。
山口茜
女子シングルス
5位入賞
――今できることは、出し切れた大会だった
そうですね。今できることはやれたかなと思います。自分なりには、精いっぱいやれてよかったです。
――3回目の五輪を終えて
終わったときの感じ方は、それぞれで違うものになったと思います。特に、東京五輪後の3年間は、なんだかんだ頑張ってきた。（今回は）東京の時よりもオリンピックに対していいイメージを持って終われたので、そこが一番よかったです。
――苦しんだ東京五輪の後、なぜパリをめざそうと思えたか
そんなにハッキリめざそうと思ってやってきてはいませんでしたが、まわりの選手にとっては一番にめざしている、すごく特別なものだったので。なんというか、刺激されたところもあると思います。
あとは、自分のまわりにいる人が自分の気持ちを理解しようとしてくれて、結果がすべてじゃなくて、 自分のベストパフォーマンスをめざすことで喜んでくれる人がいると、3年間でより思えるようになったことも大きかったと思います。「楽しんでおいで」とか「茜ちゃんのプレーをすればいいよ」と言ってくれる人がたくさんいたので、それがモチベーションというか、 しっかりと自分のバドミントンをしようという気持ちにつながったと思います。
――五輪に対してよくなかったイメージとは
東京の時は、自国開催やコロナ禍など環境的な面でいろいろと考えすぎてしまって、なかなか思い切ったプレーができませんでした。オリンピックは特別な舞台だからこそ、普段より歓声がすごくて、いつも以上に楽しめたらと思うんですけど、東京はそれが無観客で、あんまり感じられなかった。自分にとっては結構大変とか、つらいというイメージがついてしまいました。
それが今回はたくさんの歓声があったし、東京は結果で（恩を）返すというのが一番の考えになっていたのが、今回は、自分のベストや全力を出すことが恩返しになるという考えでした。精いっぱいやれたので、そこが一番違う部分だと思います。
――オリンピックを楽しいと感じられた？
難しいなというのが強いですけど（苦笑）、一番は歓声があって、自分もプレーで楽しめた部分があった。会場が沸くようなプレーを出せたということが、自分にとっては一番大きかったと思います。
――コンディションの面では不安があったままだった
そうですね。でも、やるしかなかったです。スピードを上げて、全然勝負ができないというより、（アン・セヨンとの準々決勝も）1ゲームを取れたり、2ゲームもちょっとチャンスはあったりというところまでやりきれた。そこは自分の成長であり、まわりの人にたくさん支えてもらったり、いろんな言葉をかけてもらったりしたおかげだと思います。応援してくれた人にも、そういうプレーを見せられたのが一番よかったのかなと思います。
――4回目のオリンピックについて
今のところはないですね。正直、まだまだ自分の中でいろんな気持ちがあります。これからに対してではなく、今回のオリンピックに対してです。たくさんの方に支えてもらえている喜びだったり、その中で試合ができた幸せだったりという充足感みたいなものがあれば、やっぱり試合に勝てなかった悔しさだったり、自分に勝ってもらいたい、メダルを取ってほしいと心から願ってくれて、一緒に戦ってきた人たちに、悲しい表情をさせてしまったという気持ちもある。そういう、いろんな感情が、まだ自分の中で消化しきれていません。
昨日やっと帰国して、オリンピックからちょっと離れられたかなという感じです。なかなか一人になる時間がなかったので、もうちょっと自分の中でいろんな気持ちを整理して、消化して、どんな気持ちになっていくのかなっていうところだと思います。
取材・写真／平野貴也
構成／バドミントン・マガジン編集部
【お知らせ】
パリ五輪特集は、バドミントン・マガジン9月号（8月22日発売）に掲載します！現地で取材した記者による熱戦レポートをお楽しみに！
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