現地時間8月3日に行なわれたパリオリンピック・バドミントン競技(ポルト・ドゥ・ラ・シャペル・アリーナ)8日目。後半のセッションでは、女子ダブルス3位決定戦および決勝が実施され、志田千陽/松山奈未が3位決定戦を制し、銅メダルを獲得した。試合直後のコメントを紹介する。
志田千陽&松山奈未
3位決定戦結果:ピアリー・タン/ティナー・ムラリザラン(マレーシア)に2-0で勝利
――おめでとうございます。今の心境を
志田 試合前は気を抜いたら、涙が出てしまうような状況で。昨日、準決勝で負けてから切り替えるのが難しかったんですけど、勝って終われたことがすごくうれしいですし、すごくほっとしています。
松山 今日は本当に試合をするのが怖くて、自分自身にも自信がない状態だったんですけど、絶対勝ちたいし…という本当にメンタルが難しい状況だったんですけど、やっと試合が終わってすごくホッとしています。
――試合は、序盤からシダマツらしい速い展開で攻めた
志田 やっぱり自分らしさを出して、出だしから相手よりも先に落として攻めるという展開をつくれたらいいねと二人で話していて。昨日はそれがあまりできなかったんですけど、今日は昨日とは全然違う展開になるかなと思っていたので、そこは自信をもって二人で出だしから自分たちらしくいこうと話して試合に入りました。
――試合後、松山選手はかなり涙を流していたが
松山 やっと終わったという気持ちで…。昨日は負けたけど、「明日も頑張んなきゃ」とかいろんな感情と気持ちがあったんですけど、今日はもうこれで全部終わりだっていう、ホッとした気持ちで、もうさらけ出して泣きました。
――志田選手はどんな声を松山選手にかけた?
志田 もう「ありがとう」という気持ちで。私も泣けたんですけど、奈未が泣きすぎていて、驚いて涙がもう出てこない(笑)。
――東京五輪後の3年間、頑張ってきて、この舞台で、最後に笑顔で終われたことについて
志田 もちろん金メダルをめざしてやってきたので、昨日の負けというのはすごく悔しいですけど、こうやって最後に笑って終われたというのは、自分たちが頑張った成果だと思うので、そこは素直に喜びたいなと思います。
松山 自分たちは東京五輪には出られなくて、パリで金メダルを取るために二人でどんなことも乗り越えてきたので、東京に出られなかったから、今回このメダルが取れたと思います。金をめざしたけど、今回は銅で終わってしまって、やっぱり少し悔しい気持ちは残りますけど、まずはメダルを持って帰れることをうれしく思います。
――女子ダブルスとしては2大会ぶりのメダル獲得。この種目でメダリストの系譜を引き継いだことについて
志田 私は小さいときにオリンピックをテレビで見て、こんな選手になりたいなと思っていた記憶があります。社会人1年目にリオオリンピックを客席で見て、タカマツペアが優勝した。社会人になってからは、あらためてオリンピックに出る難しさというのをすごく感じて、自分たちがそこに行けるのかという不安もありながらの毎日でした。最後にメダルを取って帰れるというのは、実感は湧いていないですけど、うれしいです。
松山 フジカキペア、タカマツペアとは色は違いますし、同じメダリストに自分たちがなるという実感が正直まだないんですけど、自分たちのようになりたいという子どもたちやたくさんの人が喜んでくれる姿を見たいなと思います。
取材・構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/JMPA