5月28日に開催された2024年日本ランキングサーキット(埼玉県・サイデン化学アリーナさいたま)4日目は、各種目準決勝が行なわれた。ここでは男女シングルスの戦いをレポートする。
【男子シングルス】
第1シードで日本B代表の田中湧士(NTT東日本/上写真)は、サウスポーの川本拓真(BIPROGY)にストレート勝利。序盤は川本が豪快なジャンピングスマッシュを叩き込み、中盤までリードする展開。田中は体のバネを生かしたジャンピングスマッシュで対抗しながら、レシーブを徐々に合わせていく。自分の流れがくるまで我慢した田中が、21-16で第1ゲームを奪った。第2ゲームは完全に田中の流れ。コースやスピードに変化をつけた多彩なスマッシュでノータッチエースを奪い、クロスカットで川本の足を止める。最後は川本のクリアーがバックアウト。21-4と思わぬ大差で決着がついた。
大会初優勝をめざす田中の相手は、NTT東日本の先輩、古賀穂(上写真)。2021、23年と優勝経験のあるベテラン左腕は、B代表の小川翔悟(ジェイテクト)に2-1で勝利。長いラリーからチャンスを確実に仕留め、手に汗握る最終盤にはフェイントショットで点を奪い、観客席をどよめかせた。第1ゲームを14本で奪われた小川は、第2ゲームから立て直し、ねばりが身上の古賀に負けないねばり強さを発揮。ファイナルゲーム18本まで迫る底力を見せた。
▼準決勝(5月28日)
田中湧士(NTT東日本)②〔21-16、21-4〕0●川本拓真(BIPROGY)
古賀穂(NTT東日本)②〔21-14、19-21、21-18〕1●小川翔悟(ジェイテクト)
▼決勝(5月29日)
田中湧士(NTT東日本) − 古賀穂(NTT東日本)
【女子シングルス】
B代表の二人、髙橋明日香(ヨネックス)と水津愛美(ACT SAIKYO)の対決は、お互いを知り尽くす者同士、長く美しいラリー勝負となった。ダイナミックで安定したフットワークと、厳しいコースに決まる力強いショットの応酬。心技体を高めてきた二人の勝敗を分けたのは、ほんの少しのアウトやネットミスだった。力強く着実に点数を重ねていく髙橋に対し、点差を離されてもあきらめない水津。最後の一本は、フォアで飛びついたスマッシュがネットを越えなかったもの。水津の攻める気持ちがあふれ出たミスショットだった。
髙橋との決勝を熱望して実現させたのが、同じチームの後輩、木村百伽(ヨネックス/上写真)。準決勝の相手となった小西春七(岐阜Bluvic)は、昨年の大会は女子ダブルスで優勝。全日本社会人は女子シングルスで優勝と、単複をこなす身体能力とセンス、強い気持ちの持ち主だ。低いクリアーを使ったラリーに苦しみながら、しっかり対応してストレート勝利を収めた木村。社会人初タイトルをかけて、憧れの先輩に挑む。
▼準決勝(5月28日)
髙橋明日香(ヨネックス)②〔21-16、21-16〕0●水津愛美(ACT SAIKYO)
木村百伽(ヨネックス)②〔21-16、21-18〕0●小西春七(岐阜Bluvic)
▼決勝(5月29日)
髙橋明日香(ヨネックス) − 木村百伽(ヨネックス)
取材・文/平田美穂
写真/黒崎雅久