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「目の手術をしてから、思い描いたプレーと今できることの差があり、苦しかった」<桃田賢斗記者会見-02>

桃田賢斗が4月27日から開催されるトマス杯を最後に、日本代表活動から引退することを発表した。4月18日、記者会見で、桃田が自身の口で、代表引退を決意した経緯や今後について語った。

記者会見-01 より続く

――「世界トップをめざすのは厳しい」と実感したということだが、具体的には

目の手術をしてから、正直、思うように見えない部分もあったり、思うように体を動かせないだったり、普段の練習でそれまでなら疲れないくらいの練習量でもすごく疲労を感じたりだとか……。そういった中で、僕なりにトライはしたんですけど、ちょっともう…世界のトップの選手たちと戦うレベルにはもう厳しいのかなと思いました。

――事故後は自分の思うようなプレーがなかなかできなかったと。それでも、ここまで続けてくることができた理由、思いは

自分の思い描いているプレーと、今自分ができることの差というのが、自分にとって一番しんどかった部分でしたけど、本当にいろんな人がサポートしてくれたり、メッセージをくれたり、そのおかげで、何回もくじけそうなところを続けてこられたと思います。でも、やっぱり一番は、自分のバドミントンが好きっていう気持ちが、続けてこられた理由かなと思います。

――代表を引退しようと決断した時期、なにかきっかけになるような出来事はあったか

正直、事故があってから、自分としてはちょっと厳しいかなというのは感じてはいたんですけど、その度にいろんな人に声をかけてもらって、また頑張ろうと思ってトライして……と、その繰り返しでした。その中で、この前(2月)のアジア団体に参加させていただいて、自分の中で、今、日本代表引退を決断しても後悔することがないだろうなと思ったところが一番だと思います。

――周りから見ても「あの事故がなかったら」と思うが、事故については、桃田選手自身はどのようにとらえているか

事故があった当初は、なんで自分なんだろうなというのを、思っていないと言えば嘘になりますし、正直、本当にしんどいことだらけ、つらことだらけだったんですけど、そのつらいことを事故のせいにしたくなかった。それすらはじき返したかった。その気持ちだけで。あとは、周りの人たちの心強いサポートのおかげで、ちょっとだけ踏ん張ることができたかなと思います。

――代表活動を自分からやめるということに関しては、すごく葛藤があったと思うが

僕一人の考えとして、代表を引退しようというのは簡単だったと思うんですけど、やっぱり今まで支えてくれた人たちへの感謝の気持ちというのは、コートの中でしか表現できないという思いがあったので、その人たちの前で簡単に諦めたくないなという気持ちもたくさんありました。僕自身、すごくいろいろ考えて、いろんな葛藤があったんですけど……、やっぱりやるからには世界一をめざしたいなというのは、ずっと思っていて。正直、今の自分じゃ、もう厳しいかなと思ったところで、次は今まで支えてくれた人たちや応援してくれた人たち、自分に憧れてバドミントンを始めた子どもたちに恩返しができるようなことをしていきたいなと思ったので、日本代表を引退することを決断しました。

――パリ五輪レース前、「もう一度、オリンピックの舞台に立ちたい」という言葉もあった。それほど特別な舞台だったと思うが、東京オリンピックはどんな場所だったか

今思い返しても悔しい思いしかないですね。すごく攻撃的な相手に対して、気持ちが引いてしまった。そこに対して、自分の気持ちの準備ができていなかったという部分がすごくあります。でも、自分が昔から憧れていたオリンピックの舞台に立てたというのは、すごくいい経験ができたなと思っています。

――パリ五輪の選考レースでは、ライバルとなる日本選手が活躍する中、苦しい状況で戦っていたが、どんな気持ちだったか

出だしから奈良岡(功大)選手、西本(拳太)選手がポイントを稼いでいく中で、自分は腰のケガなどで、初めからすごく厳しい状況ではあったんですけど、試合に出させていただける限りは自分のすべてを出し切ろうと思っていましたし、それが結果につながらなかったのはすごく悔しいですけど、後悔はないです。出場できる二人には、出られなかった人たちのぶんまで頑張ってもらいたいなと思います。

ーー桃田選手にとって、オリンピックというものはどんなものか。代表引退により、その舞台を目指さなくなるということについては

バドミントンを始めてから、オリンピックという舞台は憧れの舞台でしたし、出場できたのはすごくうれしかったです。そのオリンピックで結果を出せなかったというのはすごく悔しい気持ちでいっぱいです。ですが、日本代表を引退して、もうオリンピックを目指さなくなるということに関しては、もう今は、後悔などというのはないです。

取材/バドミントン・マガジン編集部 写真/菅原 淳

 

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