日本の頂点をかけて争われる第77回全日本総合バドミントン選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)。大会4日目は、各種目準々決勝が行なわれた。ここでは、女子ダブルスのダイジェストを紹介する。
【女子ダブルス】
世界ランク一ケタのA代表3ペアが欠場の女子ダブルス。唯一出場しているA代表の櫻本絢子(上写真・右)/宮浦玲奈(ヨネックス)が、準決勝進出を果たした。
対戦相手は、代表復帰をめざす大竹望月/髙橋美優(BIPROGY)。第1ゲーム序盤から、エンジン全開で向かってきた。対する櫻本/宮浦は、「昨日とはシャトルの伸びが違って、合わせられないうちにミスをしてしまった」(宮浦)。櫻本が後ろ、宮浦が前というペア本来の形を崩され、防戦一方となるラリーが目立つ。大竹が前、長身サウスポーの髙橋が後ろという形で攻め込まれ、大竹/髙橋が21-15で第1ゲームを奪った。
第2ゲームに入ると、「こちらが飛ばないコートで、前に落としていけば相手がミスしてくれると軌道修正した」という櫻本の言葉どおり、後ろに回されていた宮浦がクリアー合戦に付き合わず、丁寧にネット前に落とし、強く打ちながら前に出るチャンスをねらう。大竹/髙橋は第1ゲームと違う展開に対応できず、第2ゲームは21-12で櫻本/宮浦が奪い返した。ファイナルゲームに入ると、櫻本/宮浦のコンビネーションがさらに際立つ。宮浦がレシーブからネット前に入り、櫻本の強打を引き出して得点。大竹/髙橋はレシーブミスや、ロブのバックアウトを連発。中盤からついた大差は詰まらず、21-10でゲームオーバーとなった。奪われた第1ゲームから修正し、最後まで集中を切らさず攻め続けた櫻本/宮浦。スコアは2-1だが、さすがA代表という勝利だった。
準決勝で櫻本/宮浦と対戦するのは、インターハイチャンピオンの山北奈緒/須藤海妃(ふたば未来学園高)。前日、100分近い長い試合で勝ち上がった川添麻依子/小西春七(丸杉)に、21-15、21-19。高校生ながら、B代表の責任感とプライドを感じて勝ち上がってきた。
高校卒3年目の21歳、B代表の加藤佑奈/廣上瑠依(再春館製薬所)は、長身の右左ペア、山藤千彩/志波寿奈(広島ガス)にストレート勝ち。終盤に追い上げられながら逃げ切った試合展開について、「後半に追い上げられてしまうことが多いけど、簡単には勝てないだろうとわかっていたので、焦らずしっかり最後までやれた」と廣上。初の準決勝に向けて、「まずは自分たちがやるべきことをしっかりやって、 それが勝ちにつながれば」(廣上)、「今日からしっかり準備して、いい形で試合に入って、結果に結びつけられたらと思います」(加藤)。二人で決めた「先を見ずに一つひとつ」を胸に、明日もコートに立つ。
ベスト4のペアで唯一代表入りしていないのが、高校卒1年目の石川心菜(上写真・右)/古根川美桜(NTT東日本)。昨年の大会はそれぞれ違うパートナーと出場して、ともに1回戦敗退。「組み始めた頃はローテーションもぐちゃぐちゃで、悩んだ部分もあったけど、最近になって穴も少なくなり安定してきた」(古根川)と手応えを感じながら勝ち上がってきた。準々決勝では、大学生で唯一勝ち残っていた青木もえ/長廻真知(筑波大)に2-0で勝利。「年齢は相手が上だけど、実業団ということで負けられない気持ちはありました」と石川。掲げてきたベスト4という目標を達成し、さらに強い気持ちでぶつかっていく。
準々決勝の結果は以下の通り。
▼準々決勝(12月28日)
加藤佑奈/廣上瑠依(再春館製薬所)②〔21-17、21-18〕0●山藤千彩/志波寿奈(広島ガス)
石川心菜/古根川美桜(NTT東日本)②〔21-12、21-12〕0●青木もえ/長廻真知(筑波大)
櫻本絢子/宮浦玲奈(ヨネックス)②〔15-21、21-12、21-10〕1●大竹望月/髙橋美優(BIPROGY)
須藤海妃/山北奈緖(ふたば未来学園高)②〔21-15、21-19〕0●川添麻依子/小西春七(丸杉)
▼準決勝(12月29日)
加藤佑奈/廣上瑠依 − 石川心菜/古根川美桜
櫻本絢子/宮浦玲奈 − 山北奈緒/須藤海妃
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取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/菅原淳