【熊本マスターズジャパン2023】「最後まで諦めなかった気持ちが一番大きかった」(渡邉航貴)<3日目/選手コメント-8>

11月16日、BWFワールドツアー・熊本マスターズジャパン(熊本県立総合体育館/Super500)が行なわれた。今年から新設された同大会は、国内ではジャパンOP(S750)に次ぐレベルで、日本A・B代表や海外のトップランカーが参戦。ここでは、試合を戦った選手たちのコメントを紹介する。

渡邉航貴

男子シングルス:2回戦は翁泓阳(中国)に2-1で勝利

――連続得点、連続失点とジェットコースターのように流れ大きく変わることが多かった展開

本当にそうですね。でも、最後まで諦めなかった気持ちが一番大きかったですね。ファイナルゲームは点差が開いたけど(12-19と7点差)、最後はやりやすい方のエンドで競ったら関係なかった。向こうからは飛ぶので、低いロブを打ったらバンと(一発で)攻められてしまう。だから諦めず、ロブなどに自信を持ってラリーをするようにした。しっかりとスピードを上げて、相手より先にさわる、ネット前の球をさわるとやっていたら、運よく(勝てた)という感じです。

――2ゲーム目は、相手のラウンド側に球を集めていた

相手が諦めてくれるかなと思ったら、本当に諦めてくれた。ファイナルゲームの最初は、やりにくい方(追い風)のエンド。ここで競れば最後にいけるだろうと思ったけど、勝てるチャンスを感じたら、手が震えて消極的になってしまいました。

――ベスト8進出

前の自分だったら、多分ここで満足して「よかった。明日は頑張ればいいや」となっていたと思います。でも、今は正直ベスト4に入りたい。結果を残したいので、(2回戦を勝って)何かホッとしています。勝つことによって明日につながって、チャンスができた。もっと上をめざして頑張りたいです。

――A代表になっても結果が出ず、苦しんだ時期があった。結果を気にせず楽しむと話していた時期もあった。どのタイミングで、もう一度結果にこだわりたいと思えた?

昨年の1年間は、本当にダメで、日本代表も自分から辞退しようかというくらいの気持ちでした。インターネットの評判は、やっぱり見てしまうし(結果を出せない選手がA代表にいることを批判する)アンチもたくさんいた。でも、最終的には、バドミントンを楽しくやりたいと思いました。スイスでSuper300を勝った時も、優勝できたけどまたまだな、というくらいの感覚でした。

――今年のジャパンオープンで負けた時、結果にこだわる姿勢に戻っていた?

ジャパンOPの1回戦で桃田先輩に勝った時点で、あの人を超えたとは思っていませんでしたけど、オレが憧れた人に勝てたのだから、上をめざすしかないという覚悟ができました。やれるはずだ、という自信もつきました。あれがきっかけに、オレはもっと頑張らないといけないと思えました。桃田先輩の存在は、オレの中では本当に大きいです。いなかったら、バドミントンも辞めていたと思う。本当に(強さを)追い求めてきた人だし、ストイックだし、プレーも好き。桃田先輩が頑張っているから、今、自分も頑張っていると思います。

加藤佑奈/廣上瑠依

女子ダブルス:2回戦はタン/ティナー(マレーシア)に0-2で敗戦

――試合を振り返って

加藤 今日は自分たちのプレーを出し切ることができなかったです。もっとできたかなって思ったけど、熊本でベスト8に入るのが目標だったので、ここを勝ちきれなかったのがすごい悔しいです。

廣上  過去に1度対戦して、その時はファイナルゲームまでもつれて負ける展開でした。この熊本で勝ちたかった気持ちがすごく大きかったのと、まだまだ自分たちのやり方が甘かったので、そこがすごく悔しいです。

――癖のあるペアへの対策や作戦はあった?

廣上 お互い攻めのプレーをしようとする中で、自分たちよりも決めきる展開を持ってるペア。自分たちのレシーブ場面が多くなると思っていました。あとは、昨日よりパワーがある選手で、風もあった。そこで押し切れなかった場面も多く、レシーブを頑張ろうとは思っていたけど、それに対応できませんでした。

――今回は17本、16本のストレート負け1

加藤 前回の試合では、ファイナルゲーム18点までいっていたので、 だからこそ、今日勝ちきりたかったです。 1ゲーム目も追いついた場面があったので、そこでやっぱり取り切れるようにならないと、勝ちは見えてこないと思います。

――試合を通して見えてきた課題

加藤 今大会に限らず海外の大会を多くまわって、 勝ち切るところまでいけないかったと感じています。自分たちが上の相手とやる時も、ここで点数を取りたいところでとれずに ゲームを落としてしまったり、それが敗因につながることがすごく多かった。来年は勝ち切ることを目標に、しっかり上の相手にも向かっていきたいです。

廣上 自分たちは攻めのプレーが多いスタイル。パワーをもっとつける必要があるし、決めるためのローテーションだったりをもっと2人でつくり上げなきゃいけないと思います。

――勝ちきれないもどかしさがあると思うが、具体的に何が必要か

廣上 海外を1年間まわって、自分たちのやり方が通用する手応えもある。その中で、自分たちには経験値が少ない。その中で、やっぱり(点数を)欲しがってしまう場面が多くて、その場面でもっと落ち着いて冷静にプレーできる時間帯を増やさないといけないと思います。もちろん、攻めクオリティやレシーブもまだまだ甘い。相手が決めきれないくらいのレシーブをもっとつけないといけないと思います。

西大輝/佐藤灯

混合ダブルス:2回戦は蒋振邦/魏雅欣(中国)に0-2で敗戦

――ワールドツアーでも活躍しているペアとの対戦。試合を振り返って

西 サービスまわりから、相手に先手を取られて強打された。世界でもトップレベルの強打を持つ相手に対して上げてばっかり。一発で決められることが多かったです。2ゲーム目のイレブンを折り返してからは、少しゆっくりの展開ができて相手のミスも増えたけど、自分たちのやりたいことがまったくできなかった。これが世界トップの壁だなって思いました。

佐藤 強いのはわかりきったうえでの戦い。自分たちのテンポが遅れているのを、ラリー中も感じていました。それでも、全部が悪い状況ではなかったと思う。この舞台で戦えたことを見つめ直して、もう一度この舞台に帰ってこれるようにしたいです。

――トップを相手にする中で通用した部分は?

西 マジでないですね。相手がミスして点数が入ったという感じだった。

――どこで点数を取りにいこうとしたか

佐藤 自分が前で勝負しないとチャンスが上がってこない。たまに1、2と連続でさわれて時に、西がいい体勢で打つ場面はあって、それが決まったり、相手を崩せたりした球はありました。

――強い相手と戦って、どこを伸ばすことが必要と感じたか

西 テンポもそうですし、お互いパワーがまだ足りない。決めきるところで、世界のトップはちゃんと決めている。そこで点数が取れている。自分たちは、そこで点数が取れないから、そこを話し合いながら強くしていきたい。いろんな大会に出て、経験を積んでいくしかないと思います。あとは、自分の場合はパワー。本当にパワーが必要だと感じました。

佐藤 自分はサービスまわりですね。Super100の大会なら通用することが、まったく通用しなかった。サービスの次とか、サーブレシーブを打った次とか、2、3(球目)までを考えるのではなく、その5本ぐらい先まで考えないとやっていけないと思います。

取材・構成/平野貴也、バドミントン・マガジン編集部

写真/平野貴也

投稿日:2023/11/16

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