【アジア大会2023】日本が台湾を下しベスト4進出も山口茜が負傷棄権。準決勝の中国戦に暗雲<団体戦・2日目>

4年に一度、アジアの頂点を決めるアジア大会(中国・杭州)バドミントン競技は、9月29日に女子団体戦の準々決勝を行なわれた。台湾と対戦した日本は3-1で勝利をつかみ、準決勝進出とメダル獲得が決まった。

初日結果
(9月29日)

第1シングルスでは、ともに世界ランク1位経験者の山口茜(上写真・右)と戴資穎(タイ・ツーイン)が対戦。序盤から動きの鋭さで相手に上回られ、山口が主導権を握れない展開。それでも10-18から我慢のラリーで相手のバックアウトを誘発して4連続得点を挙げるなどねばりを見せたが、14-21で第1ゲームを奪われた。

第2ゲームは、序盤でリード。しかし、7-3の場面でクリアーを打った瞬間にプレーを止めた。相手の返球に反応せず7-4。右足首の治療を受けた後にプレーを再開したが、相手のロングサービスに対して再びクリアーを打つと同時にプレーをストップ。7-5で山口が棄権を申し入れた。右足を少しひきずるような仕草でコートを後にした。

思わぬアクシデントで急に試合が終わり、少し間を置いて第2試合を開始。第1ダブルスの志田千陽/松山奈未(上写真・左)は、レシーブの堅い李佳馨(リー・チャーシン)/林琬清(リン・ワンチン)と対戦。松山が「すべて強打でいかずにできた」と話したとおり、強弱をつけた攻撃で主導権を掌握した。トップ&バックになってもなかなか強打は決まらなかったが、時折、志田がねらいすましたストレートスマッシュを鮮やかに打ち抜くなど、攻撃の姿勢を崩さずに11本、12本の2-0で勝利を挙げた。

再春館製薬所のチームメートでもある山口の負傷棄権により、急に出番が回ってきたことや、1敗した状況で試合を迎えることへの不安など、動揺した部分もあったという2人。志田は「やるべきことは変わらない。練習してきたことをしっかり出していこうと思ってコートに入り、それがうまくできた」と平常心で力を発揮できた手応えを語った。

第2シングルスは、大堀彩(上写真)が許玟琪(シュー・ウェンチー)にストレートで勝利。過去1勝1敗で「実力は五分五分かなという相手。勝ちたい、勝たないと、という一つのヤマだった」というカードだったが、序盤から相手の動きをよく見て強打を打ち込むなど主導権を渡さず、第1ゲームは11本で抑える強い勝ち方。第2ゲームは中盤に追い上げられたが、シャトルの消耗で強打が決まりにくくなっている展開を冷静に判断。持ち味である上からのショットに頼らず、我慢のラリーで相手のミスを誘発。21-14で逃げ切った。

第2ダブルスは、福島由紀/東野有紗(上写真・右)。福島のパートナーである廣田彩花が負傷で戦線離脱をしていた2021年ユーバー杯やフランスOPで組んだことがあるが、普段から組んでいないため、第1ゲームは連係ミスが目立ち苦戦。13-8のリードから7連続失点で逆転を許した。それでも17オールから福島が強烈なスマッシュを相手のボディに叩き込んで18点目を奪うと、東野が前衛で鋭い跳びつきを見せて21-18で押し切った。第2ゲームは、2人の間をねらわれた球の処理を話し合って解決した。終始リードを保ち、14点目を奪う場面では、ネットインで前に落ちた球をダイビングレシーブで拾った東野が、倒れたところをねらってきたスマッシュをカウンターで返すなど存在感を発揮。相手を11本に抑え、ストレートで勝利を収めた。日本は山口の棄権があったものの、台湾に3-1で勝利。日本がベスト4入りを決めた。

準決勝は、隣のコートでインドネシアを破った地元の中国と対戦する。完全アウェーの雰囲気の中、シングルスのエース山口を欠く可能性もあり、暗雲漂う状況に。それでも東野は「茜に頼り過ぎてもよくない。茜がいなくても勝って安心させてあげたい気持ちがある。自分が試合に出たら絶対に取る気持ちで臨みたい」とカバーし合って乗り越える決意を語った。チーム一丸での奮闘が期待される。

▼準々決勝(9月29日)

日本 3-1 台湾

WS1 山口茜●0〔14−21、7−5、キケン〕◯戴資穎25分

WD1 志田千陽/松山奈未②〔21−11、21−12〕0●李佳馨/59分

WS2 大堀彩②〔21−11、21−14〕0●許玟琪47分

WD2 福島由紀/東野有紗②〔21−18、21−11〕0●許雅晴/鄧淳薫61分

▼準決勝(9月30日)

日本 − 中国

韓国 − タイ

取材・構成/平野貴也

写真/BADMINTONPHOTO

投稿日:2023/09/29
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