4年に一度、アジアの頂点を決めるアジア大会(中国・杭州)のバドミントン競技が、9月28日に開幕した。大会初日は男女の団体戦が行なわれ、日本男子がトーナメント方式の緒戦、シンガポール戦に3-0で勝利。準々決勝に駒を進めた。
日本は、シングルスのエース奈良岡功大を温存。第1シングルスは、西本拳太(上写真)が2021年世界選手権覇者のロー・ケンイゥと対戦した。第1ゲームは、西本が序盤にネット前の攻防で先手を取れず強打を打たれて7-11の折り返し。インターバル後は、積極的にネット前へ出ることで相手の持ち味を消し、14オールで追いつき、一進一退となった。ゲーム終盤は、スピードを上げた相手にドライブで押し込まれて17-21で先取された。しかし、第2ゲームは、ロー・ケンイゥがコントロールに苦戦。強打のアウトが目立つ。西本が11-6のリードから21-14で押し切り、ファイナルゲームに持ち込むことに成功した。
最終ゲームは、序盤からネット前への素早い対応で西本が6-1でリード。相手の持ち味を消す戦いに成功し、21-9で逆転勝利に成功した。相手エースを破った西本は「捨てシンだと思われたくなかったし、それは結果で示すしかない。勝ててよかった」とプライドをのぞかせた。日本は、前回大会で銅メダル。男子はダブルスが世界的に混戦でどこも互角な上、シングルスで奈良岡や西本が相手エースと互角以上に戦えれば、前回以上の成績も期待できる。西本は「日本にも絶対に優勝のチャンスはあると思うので、コートの中でも外でも、みんなでしっかり一丸となって、優勝をめざしてやっていきたい」と初優勝にかける意気込みを語った。
続く第1ダブルスは、保木卓朗/小林優吾(上写真・手前)がローKH/クウェクと対戦。格下ペアに対し、保木/小林は先手争いを制して何度も連続得点を奪い、2ゲームとも失点を10本に抑えてストレートで勝利を収めた。第2ゲームの折り返しは11-8と大差はなかったが、小林は「相手のロー選手は、団体戦でノープレッシャーになるとすごく早いタッチで振り回してくるところがある。何が飛んでくるかわからなくなる怖さがあるので、その分、常にリードして、1点差、2点差に詰め寄られても大丈夫なように意識していました」とリードを十分に生かした意識とプレーでプレッシャーを回避。相手に試合の主導権を渡すことなく勝ち切った。団体戦は、リレーのような要素もあるため、保木は「団体戦の初戦で少し緊張するかなと思っていたが、第1シングルスの西本選手がポイントを挙げてくれたので、やりやすい形で入ることができた」とチームメートの勝利に感謝を示した。
第2シングルスは、常山幹太(上写真)が出場。テー・ジャヘン・ジェイソンを2-0で破り、チームの勝利を確定させた。第2ゲームは16-9から17オールで追いつかれる苦しい展開になったが、最後は26-24で勝利。相手のプッシュをカウンターで返した25点目の後、相手の強打がミスとなり、決着がついた。パワーのある相手の強打に苦しんだが「決められてしまう場面もあったけど、何回か取ったのが大事。1回取るか、取らないかで、相手の体力を削っていかないと」と持ち味のディフェンスを生かした戦術で接戦をモノにした。
シンガポールに3-0で快勝した日本は、ベスト8入りが決定。29日の準々決勝は、タイとの大激戦を3-2で制した香港と対戦する。
▼1回戦(9月29日)
日本 3-0 シンガポール
MS1 西本拳太②〔17−21、21−14、21−9〕1●ロー・ケンイゥ69分
MD1 保木卓朗/小林優吾②〔21−10、21−10〕0●ローKH/クウェク40分
MS2 常山幹太②〔21−16、26−24〕0●テー・ジャヘン・ジェイソン78分
▼準々決勝
インドネシア – 韓国
インド – ネパール
日本 – 香港
中国 − 台湾
取材・文/平野貴也
写真/BADMINTONPHOTO