BWF世界選手権2023(デンマーク・コペンハーゲン)は、8月27日、各種目の決勝が行なわれた。
男子シングルスでは、クンラビット・ビティサラン(タイ)が、奈良岡功大とのBWF記録を塗り替える1時間48分のタフマッチを制して、頂点に立った。クンラビットは昨年東京で行なわれた世界選手権では、決勝でビクター・アクセルセン(デンマーク)に敗れて準優勝。2年連続で決勝へ進出し、今年は初優勝を果たした。
女子シングルスは、アン・セヨン(韓国)が5年ぶりの優勝をねらうキャロリーナ・マリーン(スペイン)を圧倒。21-12、21-10のストレートで勝利し、自身初の世界選手権のタイトルを手にした。
大会最終日のこの日、最初に行なわれた混合ダブルスでは、準決勝で日本の渡辺勇大/東野有紗を破った徐承宰/蔡侑玎(韓国)が、決勝でも躍動。昨年の世界選手権を含め3度の頂点を経験している鄭思維/黄雅瓊(中国)に対し、ファイナルゲーム21-18で勝利し、金メダルを獲得した。徐承宰は、カン・ミンヒュクと組んだ男子ダブルスでも、ファイナルゲームの接戦を制し、2冠を達成した。地元・デンマークの期待を背負ったアストルップ/ラスムセンは、地元での金メダル獲得はならず「銀メダルは残念だけど、彼らがすばらしいプレーをした」と勝者を称えた。
女子ダブルスは、陳清晨/賈一凡(中国)がラハユ・ラマダンディ(インドネシア)を破り、3連覇となる4度目の優勝を達成している。
以下は、注目選手の決勝後のコメント。
クンラビット・ビティサラン(タイ)
男子シングルス:奈良岡功大(日本)に19-21、21-18、21-7で勝利
「キツい試合だったけど、勝ちきれて本当によかった。でも、すごく疲れました。お互いの手の内を知り尽くした相手なので、ラリーが長くなることは覚悟していた。第1ゲームではリードしていたのに逆転され、ゲーム間にコーチには今は深く考えずに、自分のプレーと戦略に集中するように言われて、気持ちを切り替えました。奈良岡選手はスマッシュに対するディフェンスが得意なので、速い球で勝負すると不利になると思い、スピードのあるスマッシュはあまり使わないようにした。
タイに男子シングルス初の金メダルをもたらすことができて誇りに思う。バドミントンを始めた小さい時から夢見ているのは、3つの金メダル。そのうちの一つを今日手に入れることができて、本当にうれしい。残りの2つは全英オープンとオリンピック。ですから次の目標は、来年3月の全英オープンの金メダルを取ることです」
アン・セヨン(韓国)
女子シングルス:キャロリーナ・マリーン(スペイン)に21-12、21-10で勝利
「ここまでの道のりは長く感じましたが、今日金メダルが取れて、やっとここに辿り着いたという思いです。韓国の女子シングルスの歴史に名を残せて、とてもうれしい。今年はたくさんメダルを取り続けることができているけれど、どの大会も1試合目は必ず緊張するし、試合をこなしていく中で徐々に自信が湧いてくるものです」
キャロリーナ・マリーン(スペイン)
女子シングルス:アン・セヨン(韓国)に12-21、10-21で敗退
「この結果にはがっかりしています。作戦は昨日までの試合同様にありましたが、途中から感情のコントロールができなくなって、ミスが多くなり、自分の実力以下のプレーになってしまった。もっと自分に自信を持たないといけないと感じた試合でした。今日のパフォーマンスには全く納得がいかないし、失望していますが、カムバックして世界選手権で決勝に残ったことは誇りに思うべきだと感じています」
徐承宰(写真上段左より2人目)/蔡侑玎(韓国)
混合ダブルス:鄭思維/黄雅瓊(中国)に21-17、10-21、21-18で勝利
「まだ金メダルを取った実感が湧かなくて不思議な感覚でいます。歴史に名を刻むことができて、すごくうれしいです。そして誇りに思います」
徐承宰(左)/カン・ミンヒュク(韓国)
男子ダブルス:アストルップ/ラスムセン(デンマーク)に21-17、10-21、21-18で勝利
徐「地元ペアを応援する声援はすごかったけど、コート内ではプレーに集中して声援は自分たちへのものだと頭の中で思うように努力した。世界選手権で金メダルを2つ取ることができてもちろんすごくうれしいけど、こんなことが自分に起こるなんて、今でも信じられない。バドミントン選手として最高の日になった」
アストルップ(左)&ラスムセン(デンマーク)
男子ダブルス:徐承宰/カン・ミンヒュク(韓国)に17-21、21-10、18-21で敗退
「今日の対戦相手はすばらしいプレーだった。素直に彼らを祝福するよ。この1週間はすばらしい経験ができたけど、メダルが銀だったのは残念! 彼らが手にした金色がうらやましくて仕方ないよ」
陳清晨(左)/賈一凡(中国)
女子ダブルス:ラハユ/ラマダンディ(インドネシア)に21-16、21-12で勝利
「今日の試合で難しかった場面は、第1ゲームの出だしで2点先攻されて少し焦った時。でも、すぐに追いついたのでそれ以上に苦しめられることはなかった。
過去に何度も世界選手権で金メダルを取っているけど、それがプレッシャーになることはない。勝ったものにしか見えない景色を知っているからこそ、またそこをめざすモチベーションを持つことができる」
取材/ボイス春野 構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/Badmintonphoto